【えんじの新風 早稲田佐賀】(上) 守りの要「三本の矢」

調整に励む森田直哉(右)、安在悠真(中央)、松隈晴基の3投手
調整に励む森田直哉(右)、安在悠真(中央)、松隈晴基の3投手
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 マウンドへと向かう森田直哉(3年)に、気負いはなかった。佐賀大会準決勝の佐賀工戦。先発の安在悠真(2年)と五回から継投した松隈晴基(3年)が打ち込まれ、7-7と追い付かれた六回表。なおも2死二、三塁という窮地に登板した森田は130キロ台の直球でしのぎ、九回まで無安打に抑えて12安打ずつを放った打撃戦に終止符を打った。

 「スタミナに乏しい自分でも、2人がいるから全力で投げられる」。森田は試合後、笑顔の2投手を見てあらためてそう感じた。

 昨秋と今春の九州地区高校野球佐賀大会は腰と右足首を痛めて投げられなかった。今夏の佐賀大会は19回1/3を投げてわずかに1失点。自他共に認めるエースだが、監督の古賀一則(37)は「精神的に繊細なところがある」。その森田を支えるのが安在と松隈だ。

 今大会4試合に先発した安在は昨秋、森田のけがを機にベンチ入りした。「森田さんと違って故障しないエースを目指します」と本人を前に冗談を飛ばす心臓の強さは折り紙付き。決勝の鳥栖戦でも初回に1失点したが崩れなかった。

 右腕の松隈はスライダー、シンカーなど切れのある変化球で丁寧にコーナーを突く技巧派。初戦の東明館戦では、七回まで無失点と好投した先発の森田が八回に乱れて1点を失った。後を託された松隈は持ち味の打たせて取る投球で九回を三者凡退に抑え、“火消し”に成功した。「第三の男、松隈がいるから安心して投げられる」。森田、安在の左腕コンビは口をそろえる。

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 古賀には忘れられない苦い思い出がある。4年前の佐賀大会決勝。有田工に1点先行して迎えた九回裏2死の場面で、4連打を浴びて同点に。さらに十回裏に再び2死から3連打され、5-6でサヨナラ負けを喫した。甲子園初出場の夢は目前でついえた。

 「4年前はエース頼みのチームだった。体力的にも、精神的にも1人に負担をかけ過ぎた」と古賀。今夏は5試合中4試合を3投手の継投で乗り切った。

 「3人は投げる球も、性格もまったく違う。足りないところを補い合う3人がそろったからこそ、強いチームができた」。それぞれの女房役を務める捕手の坂元清彦(3年)は評する。 (敬称略)

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 創部8年目で甲子園への切符を初めて手にした早稲田佐賀(唐津市)。層の厚い投手陣と切れ目のない打線、共同生活で培った団結力を武器に大舞台での活躍を誓うナインの姿を追った。

=2017/08/02付 西日本新聞朝刊=

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