【えんじの新風 早稲田佐賀】<中> 寮生活が培う団結力

付設寮の食堂で談笑する早稲田佐賀の野球部員たち
付設寮の食堂で談笑する早稲田佐賀の野球部員たち
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 佐賀大会準決勝の佐賀工戦。三回裏、主将の占部晃太朗(3年)は中前打を放ち、この回一挙3得点する口火を切った。「あの時の助言のおかげ」。占部は振り返る。

 「右手をしっかり前に出して」。3月、早朝のグラウンドで占部は統括寮長の米村正幸(63)に声を掛けられた。昨年夏、新チームになって打撃が振るわず、今春の九州地区高校野球佐賀大会では先発を外れた。米村の教えた通りにするとバットが振り切れるようになり、成績も徐々に上向いた。今大会は4番を任されるまでに成長した。

 全国から生徒が集まる中高一貫制の早稲田佐賀は、生徒の6割が寮生活を送る。野球部員も47人のうち41人が寮生。米村は、この夏21年ぶり6回目の甲子園出場を決めた東筑(北九州市)野球部のOB。東海大、社会人野球を経て2011年、早稲田佐賀の統括寮長に就いた。全般の生活指導のほか、調子を落とした選手の自主練習にも付き合う。

 「打力はチーム1」と監督の古賀一則(37)が太鼓判を押す宇都宮匠(3年)もその一人。6月のNHK杯準決勝の唐津商戦を球場で観戦した米村から「ボールから目を離すのが早い」と指摘され、その癖を直すと、うそのように三振が減った。佐賀大会の20打席中、三振は2回だけだった。

 「厳しいけど優しい。寮で野球を教えてくれるありがたい存在」。遊撃手の権藤晋平(3年)も言う。

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 野球部員の寮の門限は午後8時。そのため放課後の練習時間は2時間程度。夕食、入浴後は自習時間だ。各自慌ただしい日課の合間を縫って素振りなどの自主練習に励む。そんな姿を米村は温かく見守る。「みんな文武両道で頑張っている。自分の経験が役に立てば」

 「あそこはヒットを狙うべきだった」「いや、犠打で塁を進めて正解」。試合後、部員同士の意見がぶつかることもある。だが寮に帰れば食事も、風呂も一緒。いつも身近に仲間がいて語り合えるのが集団生活の魅力だ。試合前は一室に集まり、対戦相手の録画を見て対策を練ってきた。

 「チームワークの良さでは負けない」と占部。スクールカラーのえんじと白のユニホームに身を包み、間もなく夢の舞台で躍動する。 (敬称略)

=2017/08/03付 西日本新聞朝刊=

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