福岡B1昇格「バスケ王国」の意地 亡き恩師の四十九日に「思い届いた」

B2プレーオフ準決勝第2戦でFE名古屋を破り初のB1昇格を決め、歓喜に沸く福岡の選手やスタッフ
B2プレーオフ準決勝第2戦でFE名古屋を破り初のB1昇格を決め、歓喜に沸く福岡の選手やスタッフ
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第4クオーター、パスを出す福岡・石谷(右)
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胴上げされ笑顔の河合ヘッドコーチ
胴上げされ笑顔の河合ヘッドコーチ
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 2年で悲願成就!! バスケットボール男子のBリーグ2部(B2)プレーオフ準決勝(2戦先勝方式)は13日、福岡市民体育館などで第2戦が行われ、西地区覇者のライジングゼファー福岡が中地区を制したFE名古屋を94-72で撃破。2連勝で19、20日の決勝(CNAアリーナ★あきた)へ進み、来季の1部(B1)初昇格を決めた。昨季3部からスタートした福岡は2季連続での昇格。当初はリーグ参入も危ぶまれたクラブが「バスケ王国」の意地を見せた。

 ワイルドカードで出場した熊本ヴォルターズは65-99で東地区1位の秋田に2連敗し、FE名古屋との19、20日の3位決定戦(名古屋市千種スポーツセンター)に回った。3位決定戦とB1下位との入れ替え戦を制すれば初昇格できる。

■「王国」の意地

 B3からスタートして2年。B1昇格の目標を達成し、思いの丈をぶつけた。「一丸となって戦うことができた。福岡、最高です!!」。試合直後にマイクを向けられた山下主将は叫んだ。

 「一丸」の言葉通り、ベンチスタートの3人が突破口を開いた。2点を追う第1クオーター終了間際。石谷と加納督の激しい守備からボールを奪うと、ペッパーズも加えた3人で速攻を仕掛け、ペッパーズの3点シュートで逆転した。

 「重要な試合ほど、守備や球際でボールを多く取れるかが大事になると声を掛け合っていた」と石谷。第2クオーターも3人を軸とした堅守で相手の得意な3点シュートを封じ込め、前半で17点のリードを築いた。

 3人はbjリーグ時代の福岡にも在籍。資金不足に苦しむクラブの歴史を知る。クラブは2015年6月、同リーグとナショナルリーグ(NBL)を統合した新リーグへの参入を一度は断念した。当時青森に在籍していた石谷は、福岡の選手たちが参入を願う署名活動をしていると聞き「地元チームがなくなるのは悔しい」とSNSを通じて全国の友人に協力を呼び掛けた。

 前日の第1戦でも劣勢で石谷や加納督が率先して「もっとボールを回そう」と鼓舞。チームを立て直した。河合ヘッドコーチが「出場時間に関係なく全員が意見を出し合っていた。僕が一から十まで言う必要はなかった」と結束力を強調すれば、山下主将は「(bjリーグ参入からの)11年間支え続けてくれたいろんな方のおかげです」と感謝した。

 河合ヘッドコーチは続投予定で、クラブは現有戦力をベースにしてB1を戦う方針だ。山下主将は先を見据えた。「B1は全てにおいてレベルが高く、今のままじゃいけない。まずはB2で優勝し、来季はもっと強くならないと」。ここはあくまで通過点。だから誰もうれし涙を流さなかった。 (末継智章)

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山下、小林、堤の「大濠高OB」 亡き田中総監督へ「思い届いた」

 「大濠OB」が亡き恩師に昇格をささげた。試合終盤に福岡大大濠高出身の山下と小林、堤がそろって交代出場。終了のブザーが鳴ると、互いに握手を交わした。福岡大大濠高を何度も全国タイトルに導いた田中国明総監督が3月23日に75歳で急逝。昇格を決めたこの日が四十九日だった。山下は「勝って先生に昇格を届けたかった。少しは思いは届いたと思う」と喜びと寂しさが入り交じった表情で語った。

 山下と小林が2016年夏にB3の福岡へ移籍すると、田中総監督から「おまえら(ライジングゼファー)が弱いから、地元の選手が流出する。頼んだぞ」とB1昇格を託された。小林は「少しは先生の気持ちは安らいだかな。B1に残留し続け、地元の有望な選手が残る基盤をつくりたい」と誓った。

 ◆ライジングゼファー福岡 社会人のスーパーリーグに所属していた福岡レッドファルコンズの解散を受け、2006年に設立。07~08年シーズンからプロのbjリーグに加入し、12~13年シーズンには準優勝に輝いた。Bリーグが発足した16~17年シーズンは資金面の不安を指摘されてB3からスタート。年間勝ち点1位でB2昇格を果たし、今季も西地区優勝を果たした。ライジングは死後「雷神」と化した伝説を持つ福岡県太宰府市の太宰府天満宮の祭神菅原道真が由来。Bリーグ参入時にギリシャ神話で「西の風の神」として登場する「ゼファー」を加えた。本拠地は福岡市民体育館。今秋から同市東区に建設中の同市総合体育館「照葉 積水ハウスアリーナ」がホームになる。

 ◆B1のライバルたち 福岡が来季戦うB1は全国18チームが3地区に分けてレギュラーシーズン60試合を戦い、各地区上位2チームとワイルドカード2チームがプレーオフの「チャンピオンシップ」に進出。年間王者を懸けてトーナメントで争う。

 福岡は来季西地区に入る予定で、今季同地区王者の琉球などがライバル。地区の振り分けは毎シーズン変わるため、昇降格チーム次第では比江島慎(福岡県古賀市出身)と橋本竜馬(同県飯塚市出身)の日本代表コンビを擁する三河も同地区となる可能性がある。他地区との試合もあり、元NBAプレーヤーの田臥勇太(栃木)が福岡でプレーする機会もあるかもしれない。

=2018/05/14付 西日本スポーツ=

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