大瀬戸一馬、地元企業で輝き再び 陸上男子100メートル元高校記録保持者

安川電機陸上部初の短距離選手となった大瀬戸
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故安川第五郎氏の像と記念品の前で意気込む大瀬戸
故安川第五郎氏の像と記念品の前で意気込む大瀬戸
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2012年ロンドン五輪の男子マラソンで6位入賞を果たした中本
2012年ロンドン五輪の男子マラソンで6位入賞を果たした中本
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■あすGP川崎で社会人初戦

 北九州から東京五輪へ! 陸上男子100メートルの元高校記録保持者、大瀬戸一馬(22)が今春、安川電機に入社した。本社がある北九州市に隣接する福岡県苅田町の出身で、五輪2大会連続で男子マラソン日本代表を輩出した同社陸上部では初の短距離選手だ。21日のセイコー・ゴールデングランプリ川崎(川崎市等々力陸上競技場)の100メートルが社会人初レース。大学時代は不振も経験した逸材が、2020年東京五輪へ、新たな一歩を踏み出す。

 地元企業の看板を背負い、東京五輪への新たなスタートを切る。法大を卒業して今春、安川電機に加入した大瀬戸が、国内外のトップスプリンターが集まるゴールデングランプリで今季初レースに臨む。「注目度も高く、安川電機での初戦としてはありがたい」と号砲が待ちきれない様子だ。

 1974年創部の安川電機陸上部で、短距離選手の入部は初めて。地元ゆかりの選手で、今後の活躍を期待されて採用された。2012年ロンドンの中本健太郎、16年リオデジャネイロの北島寿典と、五輪2大会連続でマラソン代表を送り出した男子長距離の強豪。東京五輪には、前回1964年大会に同社創業者の故安川第五郎氏が大会組織委員会会長を務めたという縁もある。東京で2度目の五輪が開催される2020年、会社としてもマラソンだけでなく複数種目での代表輩出を目標に掲げる。

 大瀬戸は東京支社に勤務し、母校法大を拠点に活動する。先日あった陸上部の歓迎会ではロンドン五輪男子マラソン6位で、今夏の世界選手権にも出場する中本にもあいさつ。「オーラがすごい」と圧倒された。種目は違えど、現役トップの実績を誇るマラソン選手に「狙ったレースで結果を残すため、どうしているかを聞いてみたい」と目を輝かせる。

 日本人初の9秒台が現実味を帯びて活気づく男子スプリント界。かつて大瀬戸は「将来のエース候補」として期待された。福岡・小倉東高3年時の2012年、10秒23の高校新記録を樹立してロンドン五輪の参加標準記録B(10秒24)も突破。だが五輪を目指さずに、同時期にある高校総体を優先した。

 翌年に1学年下の桐生祥秀(東洋大)が10秒01をたたき出した。その後は桐生、山県亮太(セイコー)、ケンブリッジ飛鳥(ナイキ)らの台頭で陰に隠れた。昨年、高校時代の自己ベストをようやく更新したものの、リオ五輪には届かなかった。

 リオを逃したことで、ロンドンに挑戦しなかった後悔もよぎった。「(リオのレースは)正直、最初は見ることができなかった」。だからこそ、世界への思いは強い。「5年前の決断が間違ってなかったと言えるのは、五輪に出てから」。リオ五輪400メートルリレー銀メダルのメンバーは25歳以下(当時)。さらに2年前の世界ユース選手権で100メートルと200メートルの2冠に輝いた18歳のサニブラウン・ハキーム(東京陸協)ら年下の選手の成長も著しい。東京への争いが厳しいのは覚悟の上。勝ち抜いてみせる。 (伊藤瀬里加)

 ◆大瀬戸一馬(おおせと・かずま)1994年8月5日生まれの22歳。福岡県苅田町出身。南原小2年から陸上を始める。男子100メートルでは、新津中3年時に全国中学校大会優勝。福岡・小倉東高2年時に世界ユース選手権2位、3年時に全国総体優勝。法大進学後は男子400メートルリレーで2015年の世界選手権に出場。日本選手権の100メートルは4位(14年、16年)が最高成績。自己ベストは10秒19。179センチ、77キロ。

=2017/05/20付 西日本スポーツ=

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