競輪学校男子111期、女子112期九州勢紹介(下)

卒記レース決勝2着の山崎賢人(左)。中央は優勝した南潤(和歌山)、右は3着の出沢拓也(神奈川)
卒記レース決勝2着の山崎賢人(左)。中央は優勝した南潤(和歌山)、右は3着の出沢拓也(神奈川)
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在校成績2位の結果を残し、将来が期待される111期の山崎賢人
在校成績2位の結果を残し、将来が期待される111期の山崎賢人
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111期と112期の九州勢。(前列左から)山口龍也、照屋将貴、大久保花梨、吉原菜那、内村舞織、中野真吾、林慶次郎(後列左から)白浜一平、島村匠、山崎賢人、境啓亨、鶴良生、金ケ江勇気、平尾一晃
111期と112期の九州勢。(前列左から)山口龍也、照屋将貴、大久保花梨、吉原菜那、内村舞織、中野真吾、林慶次郎(後列左から)白浜一平、島村匠、山崎賢人、境啓亨、鶴良生、金ケ江勇気、平尾一晃
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 日本競輪学校(静岡県伊豆市、滝沢正光校長)を3月に卒業した男子111期生61人、女子112期生17人が、いよいよ7月に全国各地の競輪場でデビューする。このうち九州勢は男子11人、女子3人。前回の(上)では女子と福岡勢の男子3人を掲載した。今回は(下)で、男子8人を紹介する。1が並ぶ縁起がいい期だけに、初出走から1着続きの完全Vを期待したい。

 ◆プロフィル (1)生年月日(2)出身地(3)出身校(4)ホームバンク(5)師匠(6)在校順位(7)身長・体重・血液型(8)デビュー予定の月日と場

 ●山崎賢人 卒記R準V在校2位の大器

 人生は何が起こるか分からない。山崎賢人(やまさき・けんと)は大学時代の2013年、立川競輪場で行われたKEIRINグランプリを生で観戦。「自分もこの舞台で活躍したい、自分の力を試してみたい」と競輪選手への歩みを進めた。

 競輪学校へは一発合格。中学校から大学卒業まで10年間続けたバレーボールで培った身体能力を存分に発揮して、能力評価ではA評価を連発。在校成績は2位の好結果を残した。

 卒業記念レースでは、在校1位の奥村諭志(岡山)が負傷で欠場。優勝を義務づけられた戦いで、予選から準決勝の3戦を全て白星で突破。決勝も得意の捲りを決めたが、山崎をマークしていた南潤(和歌山)にゴール前でかわされて、Vを逃した。在校成績も卒業記念レースも、あと一歩で頂点に届かず。だが、111期生でもっとも輝いていたのは間違いない。

 あと一歩の悔しさは、プロデビュー後に晴らせばいい。身近には、輪界の頂点を経験した井上昌己がいる。「九州を代表する先行選手になりたい」との思いを胸に、今度は金網越しの若者へ、感動を与える存在になる。その時は、九州ではなく、日本を代表する選手になっているはずだ。さあ伝説の幕が上がる。

(1)92・12・17(2)長崎県諫早市(3)日大(4)佐世保(5)山口幸太郎・99期(6)2位(7)173・77・A(8)7/9久留米

 ●白浜一平 教師の夢から一転輪界入り

 佐世保で生まれ育った小柄なファイター・白浜一平(しらはま・かずひら)。名門の日本大学自転車部と競輪学校でさらに大きく成長し、佐世保に帰ってきた。夢の「賞金王」への戦いが始まる。

 高校の自転車部の恩師が元競輪選手の豊岡弘(69期・引退)。さらに、ひと足先にデビューしている瀬戸ツインズ(晋作・107期と栄作・109期)は同級生でともに汗を流した仲間だ。教師を志して大学に進んだが、競輪への思いが日に日に増していき、大学在学中に一念発起。見事に一発で競輪学校に合格してみせた。

 中学時代は陸上競技で基礎体力をつくり「ダッシュ力には自信がある」と話す、典型的なスプリンター。長崎が生んだスターの「井上昌己さんのように、先行、捲りで活躍できるように」。井上も世界に羽ばたいたスプリンター。自慢のスプリント力で、大目標の先輩のように競輪界を席巻する。

(1)93・8・19(2)長崎県佐世保市(3)鹿町工高(4)佐世保(5)池田大輔・80期(6)42位(7)164・68・B(8)7/19富山

 ●平尾一晃 憧れだった父のバトンつなぐ

 偉大過ぎる師匠、そして憧れの存在だった父のように-。平尾一晃(ひらお・かずあき)は、父の昌也(58期・引退)の背中を見て育った。テレビの前で家族で父のレースを応援し、幼稚園の頃には「自分もいつかは競輪選手に」の思いを抱いていた。

 父は2014年に引退。バトンは息子の一晃に渡された。アマ時代は自転車経験がなく、競輪学校の入学時は同期にあらゆる面で劣ったが、地道な努力で着実に成長。ウエートトレーニングで体重は約10キロ増え、脚力も磨きをかけた。

 競輪学校を卒業後は、一日も練習を欠かさずにデビューの日を待っている。師匠の井上昌己はG1を2度制し、08年にはグランプリを制覇。04年のアテネ五輪ではチームスプリント競技で銀メダルも獲得した、長崎が生んだ大スターだ。「その場にいるだけで空気が変わる」と称する偉大な師匠を、レースで引っ張るのが目標だ。その日が来るまで、努力は惜しまない。

(1)96・7・29(2)長崎市(3)長崎日大高(4)佐世保(5)井上昌己・86期(6)25位(7)177・77・B(8)7/18防府

 ●境啓亨 苦労人最大の武器は反骨心

 苦労人が念願のプロデビューを果たす。境啓亨(さかい・ひろあき)の幼い頃からのヒーローは、競輪選手の父・博文(53期)だった。憧れの職業へは、実に6回目の挑戦で競輪学校に合格。「一度も諦めるつもりはなかった」と執念が実った。

 卒業記念レースでは、金網の向こうに父の姿があった。「親孝行がしたいんです」と話すナイスガイは、決勝に進む姿を父に見せるのが一つの目標だった。3着までが決勝行きとなる準決勝で、惜しくも5着敗退。レース後は、検車場で人目をはばからず涙した。

 デビュー後は、この「反骨心」が大きな武器になるだろう。これまでも、打ちのめされても立ち上がり、強くなっていった。松川高大(94期)が中心になる練習グループには、野口大誠(105期)や、瓜生崇智(109期)らイキのいい若手が豊富で、強くなるには絶好の環境だ。大目標の「熊本記念優勝」へ、復興へ歩みを進める故郷に勇気と感動を与える選手を目指す。

(1)92・8・29(2)熊本市(3)九州学院高(4)熊本(5)境博文・53期(6)24位(7)172・78・A(8)7/6松阪

 ●山口龍也 名門仕込みの脚で先行勝負

 山口龍也(やまぐち・りゅうや)は、兄が自転車競技をやっていたことで関心を持ち、長崎の名門・鹿町工自転車競技部の門をたたいた。インターハイや国体で入賞も果たし、「競輪にも興味を持ち、選手をかっこいいと思いました」。4回目の受験で合格した。

 自らの特徴を「高校時代に培った地脚には自信があります。自分のペースで駆けられれば、最後まで持ちます」と、真面目に、丁寧に答えた。その言葉通り、在校中のレースは先行を中心に真っ向勝負で挑んだ。1着こそ2回だが、2着9回、3着11回と、最後まで粘り強く踏み続けた。

 プロでの目標は「地元の佐世保記念で、師匠や兄弟子(瀬戸晋作・107期)の前を走ること」。地元記念に出るには、まずはS級への昇級が必要。兄弟子や同県同期の3人に負けないように、実直に力と技を積み上げていく。

(1)95・1・3(2)長崎県松浦市(3)鹿町工高(4)佐世保(5)佐藤幸治・92期(6)38位(7)167・67・B(8)7/18玉野

 ●中野真吾 30歳ルーキー「還暦」目指す

 夢は競輪でかなえる。プロ野球選手を志し、白球を追い続けていた中野真吾(なかの・しんご)。高校卒業後も夢を追いかけたが、実現することはできなかった。それでも野球で鍛えた自慢の脚力を生かせる職業を目指し、競輪学校を受験。自転車競技の経験はなかったが、4回目の受験にして適性で合格。プロのアスリートとしての道を、諦めずにこじ開けた。

 入学後は初めてのことばかりだった。「パワーには自信があったが、なかなかうまく踏めなくて…。でも30歳と年齢的なものもあるし、苦しいとか言っている場合じゃなかった」と試練に耐え続け、「徐々にタイムも出るようになって、強くなれたことが楽しかった」と成長を実感できた。

 競輪学校では1着がなかったが、本当の戦いはこれから。「30年現役を続けたい」。30歳ルーキーが間もなく聞く号砲は、還暦レーサーへの長い旅のスタートだ。

(1)86・10・19(2)佐賀県唐津市(3)厳木高(4)武雄(5)秋山貴宏・89期(6)54位(7)171・80・B(8)7/6和歌山

 ●金ケ江勇気 闘志満々強気の甲子園球児

 野球のグラウンドで養った体力を、バンクで発揮する。金ケ江勇気(かねがえ・ゆうき)は、4年前に有田工が夏の高校野球佐賀大会を制し、創部114年目にして初の甲子園に出場したときのベンチ入りメンバー。2年生で甲子園での出番はなかったが、3年時には主軸としてチームをけん引した。しかし競輪場で間近にレースを見て、「すごいスピードで走る競輪選手に憧れました」と迷わず飛び込んだ。

 自転車の経験は3年にも満たず「まだまだ弱すぎるんで、セールスポイントはありません」。それでも、卒業記念レースでは在校2勝目を挙げるなど成長の証しを見せた。物おじしない性格で、「8億円稼ぎたい」と闘志は満々だ。

 尊敬する選手は深谷知広(96期)。「グランプリでも先行で勝ちにいく姿はさすが。自分もデビュー戦では先行します」。地元での初陣は、がむしゃらに風を切る。

(1)96・5・8(2)佐賀県有田町(3)有田工高(4)武雄(5)古川貴之・93期(6)53位(7)176・86・O(8)7/21武雄

 ●照屋将貴 沖縄の新星7年半ぶり誕生

 照屋将貴(てるや・まさき)は、97期の屋宜浩二以来7年半ぶりに誕生する沖縄の選手だ。幼い頃から野球やラグビーで鍛錬を積んだ。中学の時に自転車競技に触れて、憧れだったプロスポーツ選手が、はっきりとした目標になった。

 高校で脚力を磨き、卒業後も仲松勝太に師事しながら3度目の受験で合格。沖縄期待の新星は、「まだまだ自力で動ける力が足りないが、しっかり脚力を付けていきたい」と、向上心は尽きることがない。

 沖縄を中心にトレーニングを続けている佐藤慎太郎(福島・78期)と、練習で一緒になることもある。ビッグレースを3度制している超一流に胸を借り「慎太郎さんと一緒にもがいて、すごく勉強になります」。もちろん、佐藤らと同じ舞台での活躍が近い将来の目標だ。「3年以内でS級に上がりたい。S級で活躍したい」。競輪界に南風を巻き起こす。

(1)95・5・1(2)沖縄県名護市(3)北中城高(4)沖縄県総合運動公園自転車競技場(練習地)(5)仲松勝太・96期(6)45位(7)165・69・B(8)7/9久留米

=2017/06/06付 西日本スポーツ=

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