4キロ団体追い抜き大分チーム完勝V11 九州地区プロ自転車競技大会

4キロ団体追い抜きで11連覇を達成した大分チーム。左から安東宏高、小岩大介、鈴木栄吉、池部壮太
4キロ団体追い抜きで11連覇を達成した大分チーム。左から安東宏高、小岩大介、鈴木栄吉、池部壮太
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4キロ団体追い抜きで11連覇を達成した大分チーム
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兄弟で1キロタイムトライアルに挑んだ林大悟(右)と慶次郎
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チームスプリントで優勝した地元の長崎チーム
チームスプリントで優勝した地元の長崎チーム
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 絶対王者が今年も王座を防衛! 九州の競輪選手が覇を競った「第44回九州地区プロ選手権自転車競技大会」(主催・日本競輪選手会九州地区本部)が10月25日、佐世保競輪場(長崎県佐世保市)で開催され、7種目の自転車競技が行われた。4人が先頭を交代しながらタイムを競う4キロ団体追い抜き(団抜き)で、安東宏高(35)、小岩大介(33)、鈴木栄吉(33)、池部壮太(24)の大分チームが11年連続の優勝を達成。メンバー変更を経ても強さは変わらず。黄金期はまだまだ続きそうだ。 (後藤正則)

■新戦力・池部が奮闘

 あらためてタイムを確認する必要などなかった。おそらく、観戦した全ての人が同じ気持ちだったに違いない。それくらいの完勝劇だった。団抜きの大分チームが11年連続のVを達成。それでも4人に派手なガッツポーズはなく、淡々と喜びをかみしめる姿が印象的だった。

 「10」から「11」へは、決して順風満帆だったわけではない。5月の全プロ(全国大会)終了後、長年チームを支えた加藤大輔が今大会への不参加を表明。2年目の池部壮太が新たなメンバーとして加わった。チームワークが最重要の競技だが、それぞれ本業である競輪で全国を飛び回るため、「4人で一緒に練習ができたのは、実は大会の前日だけ。それも基礎的なことしかできなかった」。ほぼぶっつけ本番だったと、小岩大介が明かしてくれた。

 それでも王座はどこにも譲らなかった。小岩の第一声は「ホッとした」。笑顔はなく、硬い表情で言葉を紡ぎ出す。「もう挑戦者ではないので。勝たなければならないのは苦しい。ただ、きついのを我慢できたチームがタイムを出せて勝つ。毎年、どんどんきつくなるけど。こうやって結果を出せて、全プロ、そしてまた来年へと頑張っていける」。そして、小岩と安東宏高が声をそろえて「池部が思った以上に頑張ってくれた」と新戦力の奮闘を喜んだ。

 新たなピースが加わり、さらにたくましさを増した大分チームが、来年5月に青森競輪場で行われる全プロ大会、地元の別府競輪場で開催される来年の九州地区プロ選手権でも猛威を振るうのは間違いないだろう。黄金時代・第2章の幕が上がった。

■最年長の安東語る チームの強さは「経験値」「層の厚さ」

 団抜きとともに、「ひそかに優勝を狙っていた」個人競技のエリミネーションも制して初の2冠を達成した安東宏高。ここでは団抜きの舞台裏について聞いた。

 「勝って当たり前、というのがすごく難しい。今大会は風が強いコンディションだった。あらかじめ設定していた目標タイムで走ると空中分解してしまう可能性もあったので、タイムを少し落として臨んだ」

 冷静な判断で見事にV11を成し遂げた。大分チームの強さの源とは。

 「個人競技と団体競技では(優勝の)意味合いが違う。息の合わせ方や経験値、そして層の厚さで他のチームを上回れていると思う。誰かがケガをしてしまうと、急きょ違うメンバーで走らないといけないし、数年前には実際にそういうケースもあった。それでも勝ち続けることができた。今回のように、コンディションに応じて臨機応変に走り方を変えられることも強み」

 メンバー変更にも動じない結束力の高さに加えて戦術ビジョンにもたけている。そして話は徐々に団抜きの奥深さへ進んでいく。

 「たった4人で10周するだけの競技だけど、その中にも走っている人にしか分からないドラマがあるんです。個々の意識もそう。競輪の練習をしながら、中距離のトレーニングが必要になる。相手のことを思うと手を抜くことなんてできない。1人で勝つよりも、団体競技で勝つ方が難しいけど、それが魅力であり、面白さですね」

 最後は今後への展望。いったい連覇はどこまで続くのだろうか。

 「4人で走れる限りは続けたい。あと3年くらいは同じくらいのタイムで戦えると思う。あとは年齢の壁と、相手次第。経験値とバランスで負けないようにしたい。まあこれだけ続くというのは、結局、仲がいいんでしょうね」

 最後に漏らしたなにげないひと言。これが大分チームの最大の強みなのかもしれない。

 鈴木栄吉「まずは11連覇を達成できて良かった。3人に迷惑を掛けなくてなにより。全プロも頑張りたい」

 池部壮太「チームの一員になれて光栄。10年間、勝ってきたチームはやっぱりすごい。レース後、急に体が重くなった。無意識のうちに、いろいろな重みを感じていたんだと思う。また頑張りたい」

■安東、佐藤が初の2冠達成

 安東宏高(大分)と佐藤幸治(長崎)が初の2冠を達成。安東は4キロ団体追い抜きとエリミネーション、佐藤は1キロタイムトライアル(TT)とチームスプリントを制した。

 佐藤は「風が強かったけど(1キロTTは)自己ベストのタイムを出せた。優勝は初めて。地元のバンクでいい結果を出せてうれしい」と喜んだ。

■林兄弟TT参戦 大悟4位 慶次郎6位

 1キロタイムトライアルには、福岡支部の林兄弟(大悟、慶次郎)がそろって参戦。兄の大悟は1分6秒938で4位。弟の慶次郎は1分10秒225で6位だった。ともに入賞を逃したが、層が厚い福岡の予選を勝ち抜いてこの舞台に立てただけでも立派だ。大悟は「前半はいい感じだったが、後半で失速した」と反省。慶次郎は「(1分)7秒台を狙ったが、風も強くて難しかった。この経験を今後に生かしたいし、競輪でも生きてくると思う」。早くも視線は前に向いていた。

■2017年九州地区プロ選手権ドキュメント

 午前10時0分 選手が入場し、開会式が始まる。地元の瀬戸晋作(長崎)が力強い選手宣誓を行う=写真。

 10時17分 大会委員長の四元慎也(宮崎)が開会宣言。

 10時30分 「4キロ個人追い抜き」で競技開始。松岡孔明(熊本)が9年ぶりの優勝。昨年覇者の成松春樹(佐賀)は2位で惜しくも連覇ならず。

 11時10分 「スプリント」に出走の小原将通(大分)の自転車不良で発走時間が遅れる。その後、無事に発走するも、地元の瀬戸晋作に敗れ、ゴール前で「あ~っ」と絶叫。スタンドでは、勝った瀬戸に対して大声援が送られる。

 11時35分 「ケイリン」の予選が開始。V候補の山田英明(佐賀)、松岡貴久(熊本)がそれぞれ白星で決勝へ。

 正午 「4キロ団体追い抜き」で大分チームがV11を達成し、午前の競技が終了。

 午後1時5分 「1キロタイムトライアル」で午後の部が開始。

 1時36分 最終走者の金ケ江勇気(佐賀)が整備不良で出走不可に。佐藤幸治(長崎)の初Vが決まる。

 2時6分 「スプリント」準々決勝、実力者の荒井崇博(佐賀)と中川誠一郎(熊本)らが順当に白星で準決勝へ。

 2時15分 「エリミネーション」がスタート。18人がバンクを疾走。

 2時27分 「エリミネーション」が大詰め。3連覇中の松尾信太郎(福岡)と安東宏高(大分)の一騎打ちで、安東が松尾を振り切って初優勝。団抜きとの2冠を達成する。

 2時45分 表彰式第1部。入賞者に賞状と商品が贈られる。

 3時5分 「スプリント」準決勝、2組目の前田義和(鹿児島)が車体故障で再発走。場内が騒然となる。

 3時20分 「チームスプリント」が開始。

 3時39分 5組目の長崎チームが好タイムで暫定1位に立つ。残すは熊本チームのみ。

 3時42分 最終組の熊本チームは2位。地元の長崎チームのVが決まり、場内は大歓声に包まれる。佐藤幸治は、1キロタイムトライアルとの2冠に。

 3時56分 「ケイリン」決勝で、松岡貴久が初優勝。ゴール後は、同じ熊本支部の選手の声援に両手を上げて応える。

 4時5分 最終種目の「スプリント」決勝は3連覇中の荒井崇博がリオ五輪出場の中川誠一郎を下して4年連続のV。「誠一郎に勝っただけで満足」と笑う。

 4時40分 表彰式第2部が終わり、閉会式。総合優勝の熊本チームへ、日本競輪選手会九州地区本部長の藤田剣次(福岡)から優勝旗が授与される=写真。


 ▼スプリント(1)荒井崇博(佐賀、4年連続6度目)(2)中川誠一郎(熊本)(3)魚屋周成(大分)

 ▼ケイリン(1)松岡貴久(熊本、初)(2)山田英明(佐賀)(3)大塚健一郎(大分)

 ▼1キロタイムトライアル(1)佐藤幸治(長崎、初)1分5秒933(2)山崎賢人(長崎)(3)下沖功児(宮崎)

 ▼4キロ個人追い抜き(1)松岡孔明(熊本、9年ぶり4度目)4分55秒564(2)成松春樹(佐賀)(3)田中弘章(福岡)

 ▼4キロ団体追い抜き(1)大分(安東宏高、小岩大介、鈴木栄吉、池部壮太)4分35秒093(2)福岡(小川賢人、柳詰正宏、西田大志、鶴良生)(3)佐賀(坂本晃輝、好永晃、佐々木翔一、古川貴之)

 ▼エリミネーション(1)安東宏高(大分、初)(2)松尾信太郎(福岡)(3)西川親幸(熊本)

 ▼チームスプリント(1)長崎(井上昌己、佐藤幸治、山崎賢人)1分15秒948(2)熊本(松本大地、本郷雄三、森山智徳)(3)福岡(坂本健太郎、小川勇介、林大悟)


 ◆地区プロとは 全国8地区(北日本、関東、南関東、中部、近畿、中国、四国、九州)で開催されるオール競輪選手の自転車競技大会。各地区とも例年、秋に行われ、主催も運営も出場選手も監督も現役の競輪選手。九州地区プロは、福岡、佐賀、長崎、熊本、大分、鹿児島(宮崎、沖縄を含む)の6チームに分かれ、スプリント、ケイリン、1キロタイムトライアル、4キロ個人追い抜き、4キロ団体追い抜き、エリミネーション、チームスプリントの7種目で競う。成績上位者は、「全日本プロ選手権自転車競技大会」(全プロ、次回は来年5月28日、青森競輪場)に九州地区代表として出場。G1寛仁親王牌の出場権にもつながる。

=2017/11/21付 西日本スポーツ=

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