ガールズ2期生 九州勢2人に迫る

頂点を狙うため「勇気を持ってペダルを踏む」と意気込む矢野光世
頂点を狙うため「勇気を持ってペダルを踏む」と意気込む矢野光世
写真を見る
腰痛から復帰した手柴敦子。8月の地元熊本戦に意欲を見せる
腰痛から復帰した手柴敦子。8月の地元熊本戦に意欲を見せる
写真を見る

 3月29日に日本競輪学校(静岡県伊豆市)を卒業した女子の104期生18人が、5月10日から全国で順次デビューする。西日本スポーツでは、そのうちの九州勢の2人、矢野光世(22)=福岡=と手柴敦子(28)=熊本=をクローズアップ。昨年7月、48年ぶりに復活した女子競輪(ガールズケイリン)の第2期生として、デビューの時を待つ乙女の素顔と意気込みに迫った。 (森川和也)

矢野 誰にも負けぬ自転車愛

 競輪学校の集大成の卒業記念レースに、矢野光世はひそかに、そしてしっかりとした目標を立てて臨んでいた。「決勝戦まで勝ち進んで、表彰台に上がりたい」

 上向きだった調子も相まって、予選を(1)(2)(2)の好成績で駆け抜け、決勝は3着。目標は達成された。しかし、終わってみれば満足はできなかった。決勝の3着は確かな勝負勘で好位置を確保してのもの。それでも「最後は自分で仕掛けたかったのに、それができなかった…」。表彰台の端っこで見せた表情はどこか浮かなかった。

 自転車の格好良さに小学生で魅了された。飯島直子と草なぎ剛が主演の映画「メッセンジャー」がきっかけ。専門学校卒業後には自ら、そのメッセンジャーの仕事を始めた。

 メッセンジャーとはバイク便の自転車版。バイク以上の機動性で、書類などをより早く送り届けるのが任務だ。時には1日に100キロ以上を駆け回ることもあり「ご飯どころか、トイレに行く暇もないぐらい」。そんな激務も「自転車が好きなことだけは、誰にも負けない」という熱い思いがあればへっちゃらだった。競輪選手への道も「大好きな自転車でもっと稼ぎたい」と飛び込んだ進路。競輪学校の厳しい訓練も「メッセンジャーとして働いている時と比べたら楽でした」。無類の自転車好きは、どこまでも頼もしい。

 競輪学校の成績は6位と上位。ただプロとなれば、「好き」という以上の「攻撃性」が必要だと自認する。だからこそ、卒業記念決勝で「強い人との脚力差を考えてしまい、動けなかった」ことは、自分の課題を再認識させられた胸に刺さる結果だった。「もっと練習して、勇気を持ってペダルを踏み込みたい」。好きだからこそ、その境地にはすぐにでもたどり着けるだろう。そのとき、今度こそは表彰台のてっぺんにも上がっているはずだ。

 ◆矢野光世(やの・てるよ)1991年3月3日生まれ、22歳。162センチ、60キロ。O型。福岡市出身、博多工高-中村調理製菓専門学校。師匠は藤田剣次(85期)、ホームバンクは久留米《在校時成績》200メートル12秒77、400メートル26秒36、1000メートル1分17秒07、1・2・3・着外=16・18・14・20、HS11回、BS11回、卒記(1)(2)(2)(3)、在校6位《デビュー戦》5月10日~京王閣(東京)

手柴 元高校教師 プロの舞台へ

 競輪学校の成績は下から数えた方が早い16位。1着もたったの1回。それなのに手柴敦子の笑顔はとびっきりに明るい。「まだまだの部分もあるけど、みんなと同じくらいに走れるようになりましたから」。視線の先には希望しか広がらない。

 マイナスから始まった競輪学校での訓練だった。昨年5月の入学直後、選手の職業病ともいえるヘルニアによる腰痛を発症。夏休み前には内視鏡手術を受け、自転車に乗れなかった。「みんなからどんどん置いていかれる。私の卒業は、次の期に先送りになるかも」。不安だらけのつらい日々。しかし、状態は順調に回復。元来の確かな能力もあって、同期と一緒の卒業にこぎ着けた。

 大学では自転車競技に力を注いだ。名桜大(沖縄県)4年時には長距離系の種目の一つのポイントレースで、全日本学生選手権3位の実績も残し、「もっと上も目指せる」と手応えをつかんだ。ただそこで、部活動は終了。どこか燃え切れない気持ちを残しながら沖縄に残り、北中城高校で教員になった。

 不完全燃焼の炎は、そこで再燃した。名門の同校自転車部の監督を務める中で、夢中で競技に打ち込む生徒たちの姿が、自分の忘れ物を思い出させてくれた。「私は競輪選手になりたい」

 女子復活第1期生の102期こそ不合格だったが、「やっぱりなりたい」とそれがかえってバネになった。そして2期生の104期に合格し、競輪学校に入学。先生は再び生徒となり、夢への扉を開いた。

 8月には、地元熊本では初めてとなるガールズケイリンの開催が決まっている。「出場できたら、火の国の選手らしく、燃えるような先行勝負で頑張りたい」。トレードマークの眼鏡の奥で、黒い瞳が赤く輝いた。

 ◆手柴敦子(てしば・あつこ)1984年10月21日生まれ、28歳。158センチ、52キロ。AB型。熊本市出身、千原台高-名桜大。師匠は西島聡一(56期)、ホームバンクは熊本《在校時成績》200メートル13秒13、400メートル28秒31、1000メートル1分20秒74、1・2・3・着外=1・6・15・46、HS1回、BS2回、卒記(4)(4)(3)(2)、在校16位《デビュー戦》5月11日~松戸(千葉県)

九州のレース情報は西スポ

西日本新聞のイチオシ [PR]

ホークス下剋上日本一!西スポ2018アーカイブス

西日本新聞のイチオシ [PR]