伊万里、選抜21世紀枠 焼き物の里野球でも「全国区」へ

21世紀枠での選抜大会出場が決まり、帽子を投げて喜ぶ伊万里ナインら
21世紀枠での選抜大会出場が決まり、帽子を投げて喜ぶ伊万里ナインら
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 「焼き物」の里に春がやって来た!! 第90回記念選抜高校野球大会(3月23日から13日間・甲子園)の出場校を決める選考委員会が26日、大阪市内であり、文武両道を掲げる伊万里(佐賀)が21世紀枠で選ばれた。春夏通じて初の甲子園出場で、九州からの同枠での選出は2014年の大島(鹿児島)以来だ。地元自治体や市民と一丸となってつかんだ夢切符。エース右腕の山口修司(2年)は長崎・清峰高時代に選抜大会を制した今村猛(現広島)から魂の投球を伝授されており、恩返しの旋風を誓った。一般選考枠で創成館(長崎)富島(宮崎)延岡学園(同)東筑(福岡)の出場も決まった。

■小6の野球教室で剛速球目の当たり

 吉報が6限目の授業中に届いた。校長から校内放送で選抜出場決定が伝えられ、各教室から歓声と拍手が湧き起こる。「胸にグッと来るものがあって泣きそうになった」。県内有数の進学校でもある伊万里のエース山口修は夢にまで見たマウンドに思いをはせた。

 山口修が大志を抱いたのは2013年1月、伊万里市の南波多少年野球クラブに通っていた小学6年の冬だった。地元ケーブルテレビ局の企画で、伊万里商出身の迎祐一郎(現広島打撃コーチ)や今村ら「赤ヘル軍団」の選手たちによる野球教室が開かれ、今村の剛速球を目の当たりにした。

 「体格は大きい。球も速い。コントロールだって正確だった。プロはすごいなあと」。球速は今でも最速125キロとスピードで勝負するタイプではない。その分、コースの内外に投げ分けられる制球力を武器に、準優勝した昨秋の佐賀大会では甲子園で優勝経験のある佐賀商や佐賀北を撃破。135季ぶり出場の九州大会では初戦で沖縄尚学に0-8で敗れたが、07年の小城以来選抜出場がなかった佐賀勢にとって「全国最長ブランク」の不名誉な歴史にピリオドを打った。

 地域のプッシュも大きかった。選手の県外流出を止めようと、伊万里市は13年に「『目指せ!甲子園』プロジェクトチーム(PT)」を発足させ、社会人チームの西部ガス(福岡市)を招いて野球教室を開いた。山口修ら現在の高校2年生は当時中学1年生。犬塚晃海主将は「高い意識を持って野球の練習に取り組むようになった」と振り返る。

 1日の練習時間はわずか90分。40分間限定にした紅白戦では全打者、2ボール2ストライクのカウントで打席に立つなど練習の効率化を図ってきた。11年夏に唐津商を率いて甲子園に出場した吉原彰宏監督(42)は「時間がない分、密度の濃い練習をしてきた。例年になくガツガツとした子が多い。PTのおかげで地元の子たちが伊万里に残るようになったのは大きい」と周囲の後押しに感謝する。

 伊万里商、伊万里農林を含めた市内の公立校で甲子園出場がなかったのは伊万里だけだった。次の目標は市内の学校で初の甲子園1勝だ。野手陣は年明けから学校近くで伐採した約2メートルの竹ざおをバット代わりに体幹を強化。山口修も筋トレなどで下半身を鍛え、体重が昨秋から7キロ増の75キロまでアップした。09年の選抜V腕となった今村の投球をテレビ観戦した山口修は「僕も今村さんのように選抜で勝つ」と言い切った。伊万里が名産の磁器に負けない「全国区」になる。 (末継智章)

=2018/01/27付 西日本スポーツ=

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