東筑 夢へ再挑戦(上)切磋琢磨 競争意識「1勝」へ進化

10日の門司学園戦で、安打を放つ東筑の阿部泰晟選手。3安打と復調の兆しを見せた
10日の門司学園戦で、安打を放つ東筑の阿部泰晟選手。3安打と復調の兆しを見せた
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 23日に開幕する第90回選抜高校野球大会に、県勢は東筑が出場する。昨年の「夏」に続く連続出場。春夏合わせて9度目の甲子園となるが、1985、98年に出場した選抜大会ではいずれも初戦敗退。昨夏の甲子園も初戦で敗れた。「春の初勝利と昨夏の借りを返そう」を合言葉に、練習に打ち込む選手たちを追った。

 鋭い打球が三遊間を真っ二つに割った。東筑にとって、今年初の対外試合となった10日の門司学園(北九州市門司区)戦。甲子園を目前に控えながら、調子を落としていた阿部泰晟中堅手(3年)は、復調へ、覚悟を持って打席に臨んだ。八回表無死一塁の場面、得点につながる会心の一打を放つことができた。

 「やっと自分らしい打撃が戻ってきた」。この日は5打数3安打。背番号「8」に、久しぶりの笑顔が戻った。東筑では一桁の背番号を背負う選手も、レギュラーを確約されているわけではない。調子を落とせば、すぐに控えの選手がスタメンに上がる。

 阿部中堅手は、昨夏の甲子園を経験した6人の一人。初戦敗退したものの大飛球をフェンスにぶつかりながら好捕し、ピンチを救ったシーンが何度もテレビで放送された。しかし、最近は著しい打撃の不調に苦しみ、チームの紅白戦では安打が出ずにいた。ひたすら、打撃フォームの修正に打ち込んだ。

 一方、中堅のポジションを狙う控え選手たちは、好調をアピールしていた。4日の紅白戦では、斉藤彪河選手(3年)が三塁打、和田羅文選手(3年)は本塁打をそれぞれ放った。

 危機感をバネに奮起するレギュラー陣。「スタメンを奪いたい」と、はい上がろうとする控え選手。チームは切磋琢磨(せっさたくま)しながら、レベルアップしている。その様子を青野浩彦監督(57)は凛(りん)とした視線で見守る。

 「先入観は持たない。本番では、調子が良い選手を起用する」。青野監督の起用法の心得だ。選手一人一人の調子、そして成長の度合いを見極めようと、紅白戦や練習試合には、ほぼ全員を出場させる。

 優勝した九州地区高校野球県大会の決勝(昨年10月)には、公式戦初先発の林大毅投手(3年)を起用。4強入りした九州大会準決勝(昨年10月)には、4番に江藤那央選手(2年)を抜てきした。打順も入れ替える。「活躍する機会がなければ頑張ろうと思えない。チャンスは全員にある」

 必然的に、競争意識は高まる。切れのある直球を武器に、県大会決勝を1失点完投した林投手は「9イニングを自分で投げたい」と、エース石田旭昇投手(3年)への対抗心を隠さない。九州大会準決勝で江藤選手にポジションを明け渡した野口皓生一塁手(3年)は、10日の練習試合で適時打を放ち存在感を示した。

 練習試合で復調の兆しをみせた阿部中堅手は「甲子園までに、状態をさらに上げていきたい」と気を引き締める。選抜高校野球まで残された時間はわずか。選手が激しく競い合い、チームは1勝をつかむために進化を続ける。 (文中の学年は新学年)

=2018/03/13付 西日本新聞朝刊=

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