東筑 夢へ再挑戦(下)創意工夫 自ら考えた独自の練習

高校グラウンドは他の部活動と共用。三塁ベースの向こうではサッカー部が練習している
高校グラウンドは他の部活動と共用。三塁ベースの向こうではサッカー部が練習している
写真を見る

 カキーン。快音とともに打球が外野に転がる。その先には練習中のサッカー部員。「危ない」。大きな声が響いた。練習でグラウンドを他の部と共用する東筑野球部の練習では、日常的な光景だ。

 東筑のグラウンドは縦約95メートル、横約110メートル。サッカー部のほか、ラグビー部、陸上部と共用する。このため野球部は平日の放課後、週3回しか全面を使うことができない。時間にも制約がある。九州有数の進学校でもあり勉強時間を確保するため、生徒は全員午後8時には下校しなければならない。放課後の練習はわずか約3時間だ。

 「野球部の専用グラウンドを持つ公立校がある中、恵まれた練習環境とは決していえない」(県高野連の野口敦弘理事長)。それでも東筑は、昨秋の九州大会で強豪校を倒し、夏春連続甲子園出場を決めた。この強さの原動力は、時間と場所を最大限活用する練習法や、選手自身が考えて取り組む姿勢にある。

 内野だけしか使えない日は、練習に参加できない外野陣が監督やコーチの代わりにノッカーを担う。走塁練習も兼ねており、ノッカーは打ったらそのまま一塁へ。どんな打球を打つかもノッカー次第。限られたスペースで、できるだけ多くの選手が参加できる効率的な練習を考え出した。松山智乃助主将(3年)は「練習の時間と場所は限られているが、甲子園での勝利へ立ち止まることはできない」と強調する。

 2月からは選手の発案でノック練習にストップウオッチを導入し、走者をアウトにするまでのタイムの計測を始めた。「全国レベルのスピードを意識しよう」と話し合って決めた。

 「どう取り組んだらうまくなるか、考えながら野球をしろ」

 青野浩彦監督(57)は、機会を捉えてはこう選手たちに伝える。大まかな練習法やメニューは示すが、細部までは指示しない。

 指導者歴35年目。青野監督が東筑の選手だった約40年前の練習は、長時間のノックやランニングが主流で細部までメニューが決まっていた。監督就任当初はこれまで通りの練習法で臨んだが「当時の選手たちは、きつい練習をどう乗り切るかばかり考えていた」。次第に、自主性を促す野球を目指すようになった。

 3月、監督自らがバットを握った内野陣へのノック練習。その間、外野陣や控えの選手たちは、それぞれの課題克服に取り組んだ。斉藤彪河選手(3年)は「スイング時に腰が浮く癖を修正したい」。鏡の前で素振りを繰り返した。野口皓生一塁手(3年)は「打撃の確実性が課題」とトスバッティングに汗を流した。

 選手、監督全員が自ら考え、身に付けた強さ。花開かせる春の大舞台は23日に開幕する。

 =文中の学年は新学年

=2018/03/14付 西日本新聞朝刊=

西日本新聞のイチオシ [PR]

ソフトバンクホークス選手の写真販売中!

西日本新聞のイチオシ [PR]