【元球児記者が見たセンバツ】東筑の「怒鳴らない」練習風景 監督の指導ポリシーは

東北王者の強豪を相手に堂々と戦った東筑の選手たち=23日、甲子園球場
東北王者の強豪を相手に堂々と戦った東筑の選手たち=23日、甲子園球場
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 甲子園球場でセンバツ取材に当たっている元球児の記者たちのコラムです。

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 第90回選抜高校野球大会の開幕試合(23日)で東筑(福岡)の球春が終わった。同時に、夏の夢舞台への新たな挑戦が始まった。

 3月上旬から北九州市八幡西区の同校グラウンドに通い、昨夏に続く甲子園に向けて練習する野球部を取材してきた。何より驚いたのは、私が中学時代に所属していた軟式野球チームの練習風景との落差だった。

 私のチームは、全国大会常連の強豪だったこともあり、練習中にはコーチや監督の怒号が飛び交った。「ミスをしたら怒鳴られる」。そう恐れながらプレーしたことを思い出す。

 一方、東筑の練習で怒号が飛び交うことはほとんどない。青野浩彦監督(57)は「全力でプレーしてミスするのは実力不足。怒っても野球はうまくなりませんから」と説く。

 青野監督が東筑の選手だった約40年前の練習では、ミスをすると、例外なく怒られ、チーム全体に懲罰ランニングが課された。指導する立場になり、「精いっぱいプレイして怒られたら選手たちは面白くない。野球は楽しまないと」と自然と考えるようになったという。そんな指導方針の下、選手はのびのびと野球に取り組んできた。

 「全力でプレーしていれば怒られない。ミスを恐れることもないし、常に思い切ったプレーができます」と話していた阿部泰晟(たいせい)中堅手(3年)。23日の聖光学院(福島)戦初回、先頭打者として初球を思い切り振り抜き、得点につながった。チームは東北の覇者を相手に最終回を同点で迎える互角の試合展開をしたが、惜しくも競り負けた。

 良い意味で開き直ることで、人間は最大限の力を発揮できるのだと彼らのプレーが教えてくれた。

 全力を出し切った上での敗因は、最終回の2失策と好機であと一本を出せなかったこと。試合後に多くの選手が「守備が課題」と口にし、松山智乃助(とものすけ)主将(3年)は「全国大会ではエラーが命取りになる」と声を振り絞った。

 青野監督の言葉を借りれば「実力不足」ということか。ならば、さらなる高みを目指して、のびのびと練習あるのみだろう。

 最終回に登板し、併殺打で悪い流れを断ち切るなど聖地で躍動した林大毅(ひろき)投手(3年)は「聖地のマウンドは本当に楽しかった。練習して夏、必ずリベンジをしたい」と次を見据えていた。私も夏の甲子園で、再び彼らを取材したい。

(岩佐遼介)

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