【元球児記者が見たセンバツ】「背番号があるから偉い訳じゃない」ひさむきさと仲間の絆が武器 8強・創成館

【智弁和歌山―創成館】3回1死二塁、左翼線に適時二塁打を放つ創成館・平松
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【智弁和歌山―創成館】延長10回の守備に臨む選手を鼓舞する創成館・稙田監督
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 第90回選抜高校野球大会の準々決勝で、創成館(長崎)の球春は幕を閉じた。同校の担当記者として取材をしながら、「苦戦しても敗戦しない」との部訓を体現するような熱戦に加え、ひたむきに野球に打ち込む選手たちの姿に何度も心を揺さぶられた。

 「接戦に持ち込みたい。接戦を制してこそ選手たちは成長する」。大会期間中、稙田龍生監督は何度も口にした。その言葉どおり、初戦(3月26日)の下関国際(山口)戦は3対1、次戦(3月30日)の智弁学園(奈良)戦は2対1と、僅差のゲームを勝った。初戦3安打の峯圭汰主将(3年)や2戦目でサヨナラ本塁打を放った松山隆一選手(3年)など「日替わりヒーロー」も登場。甲子園という大舞台の緊張感を糧に、自らの能力を最大限に引き出す選手に驚きを覚えた。

 圧巻だったのは準々決勝(4月1日)だ。全国屈指の強豪・智弁和歌山を相手に一歩も引かず、一時は5点をリードするまで優位に戦った。しかし、九回裏は2死から同点に追いつかれ、延長十回裏はあと1ストライクのところでサヨナラ打を許し、10対11で惜敗した。平松大輝捕手(3年)は「最後の最後で粘れなかった」と悔やむが、聖地で古豪と互角以上に戦った経験は大きな自信になったはずだ。

 心を動かされたのはプレーの部分だけではない。練習場を訪れた人に元気よくあいさつする、練習場に落ちている石をさりげなく拾う-。「日常生活がちゃんとしなければプレーにもほころびが出る」と稙田監督は説く。選手たちも、グラウンドの内外にかかわらず“気づき”を持つことが野球につながると信じて、実践する。そんなひたむきさにも好感を抱いた。

 長崎県外出身者が部員の7割超を占め、ほとんどが学校に併設された寮で共同生活を送る。全体の練習時間以外も、朝6時から消灯時間の午後11時まで自主トレーニングに励む選手たち。七俵陸投手(3年)は「空いた時間があると、気がつけば野球のことを考えている」と話す。

 大会期間の練習中、ベンチ入りしたメンバーが、打撃投手やティーバッティングのトス役などを務めるサポート役の部員に何度も「ありがとう」と声をかける姿が印象的だった。「背番号があるから偉い訳じゃない。全員が同じ目標をもって戦っている」と峯主将は話す。“野球漬け”の日々を共にする仲間の絆はとても強いと感じた。

 聖地での敗戦を糧として、ひさむきさ、仲間との絆を武器に、彼らがどんな成長を見せてくれるのか。夏まで追い続けていきたい。(華山哲幸)

=2018/04/03 西日本新聞=

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