21世紀枠候補熊本西吉報待つ 地震乗り越え一球の重み胸に センバツ32校25日決定

21世紀枠での選抜大会初出場へ吉報を待つ熊本西の選手たち
21世紀枠での選抜大会初出場へ吉報を待つ熊本西の選手たち
写真を見る
練習後のミーティングでスピーチする熊本西の霜上主将(左上)
練習後のミーティングでスピーチする熊本西の霜上主将(左上)
写真を見る
事故防止のためネックウオーマーをつけて打撃練習の順番を待つ熊本西の選手
事故防止のためネックウオーマーをつけて打撃練習の順番を待つ熊本西の選手
写真を見る
天気掌握班がグラウンドに掲示している週間天気予報
天気掌握班がグラウンドに掲示している週間天気予報
写真を見る

 第91回選抜高校野球大会(3月23日開幕・甲子園)の出場32校を決める選考委員会が25日に行われる。九州地区の21世紀枠候補に選ばれている熊本西は昨秋の熊本大会で準優勝し、初出場した九州大会でもベスト8に入った。2016年の熊本地震や昨秋起きた部員の事故死を通じ、一球の大切さをかみしめる選手たち。1985年夏以来で春は初めての甲子園出場へ吉報を待つ。

■周囲に配慮し照明なし

 運命の日が迫り、気持ちが高ぶる。「選ばれたら、地震で被災した人たちを勇気づけるプレーをしたい」。表情を引き締める熊本西の霜上幸太郎主将(2年)をはじめ、全員が地元中学出身だ。

 最大震度7の熊本地震では、避難所生活や車中泊を体験し、自宅が大規模半壊に遭った選手もいる。当時三和中(熊本市)3年生だった霜上は「自宅は被害が少なかったけど、揺れが怖くて。練習場が避難所になり、しばらくボールも触れなかった」。約1カ月後に再開した練習でキャッチボールをし「野球って楽しいな、と実感した。プレーできることは当たり前じゃない」と一球の大切さをかみしめた。

 熊本西のグラウンドは田畑に囲まれているため、作物に影響が出るナイター設備を付けられない。冬にボールを追えるのは1時間程度。効率良く練習できるよう、選手たちは「ボール管理」「栄養管理」など13の班に分かれ、それぞれ責任を負う。ユニークなのが「天気掌握班」。事前に気象庁のサイトを確認し、1週間の天気予報を掲示。練習中でも雨が降りそうなら筋トレなどの室内メニューに変更するように随時提案している。

■事故防止へ安全面徹底

 班制は横手文彦監督(42)が就任した2016年から取り組んでいるが「今のチームが一番自主性は高い」とうなずく。内野のノックは、打った瞬間から送球が一塁に到達するまでの目標時間を4秒以内に定めるなど、練習でも一球、一秒を重視。昨秋の熊本大会準決勝で熊本工を6-5で破ると、初出場した九州大会でも1回戦で佐賀学園に3-2で競り勝った。

 昨年11月の練習試合で死球を首の後ろに受けた2年生部員が亡くなった。21世紀枠の推薦辞退も考えたが、遺族から「甲子園に向かって頑張ってほしい」と言葉を掛けられ、練習を再開。打撃練習時にネックウオーマーの着用を義務づけるなど、安全面をより配慮するようにした。

 「目の前の一球は何げないものかもしれないけど、亡くなった者からすれば貴重な一球。大切にプレーする」と横手監督。亡くなった部員も含む45人が一丸となって甲子園で戦う姿を夢見ている。 (末継智章)

◆熊本西高校

 1974年10月に設立され、翌年4月、旧熊本農高跡に開校した県立校。普通科と理数科、体育コースがある。野球部は76年創部。甲子園出場は85年夏の1度で、1勝して2回戦進出。全国総体で優勝実績のあるなぎなたや昨冬の全国大会に出場したラグビー、柔道の女子も強豪。主な卒業生はラグビー元日本代表の平島久照(神戸製鋼)や柔道女子78キロ超級で2004年世界ジュニア選手権を制した立山真衣ら。生徒数は1038人(女子467人)。熊本市西区城山大塘5の5の15。柿下耕一校長。

◆21世紀枠

 選抜高校野球大会出場校の選考枠の一つ。他校の模範になる学校の甲子園への出場機会を広げるため、2001年に導入された。練習環境などのハンディ克服や地域貢献など戦力以外の要素も加味して選出する。原則として秋季の都道府県大会で参加校が128校を上回る場合は32強、それ以外の場合は16強以上の成績を残した学校を対象に全国9地区から1校ずつ推薦。9校を東(北信越、東海以東)と西(近畿以西)に分けて1校ずつ選び、残り7校から3校目を決める。同枠の過去最高成績は01年の宜野座(沖縄)と09年の利府(宮城)の4強。九州・沖縄勢では宜野座のほか、都城泉ケ丘(宮崎、07年)、大分上野丘(09年)、大島(鹿児島、14年)、伊万里(佐賀、18年)が選ばれた。

=2019/01/24付 西日本スポーツ=

西日本新聞のイチオシ [PR]

ホークス下剋上日本一!西スポ2018アーカイブス

西日本新聞のイチオシ [PR]