【起こせ!旋風】(下)大分 地道な体幹強化で躍進

松尾篤監督の放つノックを受ける大分の選手
松尾篤監督の放つノックを受ける大分の選手
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 大分が前回、甲子園に行ったのは2016年の夏の大会。初戦で甲子園の常連、日本文理(新潟)と対戦し、力負けした。敗退後、学校に戻った広瀬茂部長が部員に渡したのは、げたの一本歯。上靴に装着でき、部員は“げた上靴”で学校生活を送るようにした。

 狙いは体幹強化。「体ができていないと、指導しても技術が身に付かない」と日常生活でもトレーニングができる方法として導入。今の2年生は、高校入学時からげたのトレーニングを始めた最初の学年となった。

 当初はバランスが取れず、うまく歩くこともできなかった選手たちは、今では小走りができるまでになった。効果はてきめん。打撃を担当する野田健二副部長によると「2塁打が増えた」。体にしっかりとした軸ができて、スイングの力強さが増し、走力もアップした。「きちんとした姿勢で立てる選手には発展性がある。地道に強化した成果が表れている」と広瀬部長。鍛えた体幹を武器に、甲子園に乗り込む。

■打力

 昨秋の九州大会では勝負どころで一本が出ず、足立駿主将(2年)は「エースに頼りっきりだった」と振り返る。選手らは「冬はバットを振らせてください」と松尾篤監督に直談判し、例年以上に打撃練習に時間を割いた。

 重点的に鍛えたのは手首。バットを縦に500回、8の字に250回、毎日振り続けた。狙いはスイングスピードのアップと、ボールが当たる瞬間のインパクト強化。鋭い打球が飛び、飛距離も伸びたという。

 成長著しいのは4番の中尾拓士選手(2年)。練習中に場外ホームランを2度放つなど力強くなり、「全試合自分が打って勝つという気持ちで臨む」と意気込む。

 「この冬一番努力してきた」と松尾監督が評価する飯塚和茂選手(2年)は長打力が持ち味。対応力と勝負強さを兼ね備える小手川巧選手(2年)、出塁率の高さで打線に勢いを付ける足立主将ら、切れ目のない打線で得点を狙う。

■投手力

 不動のエースは長尾凌我投手(2年)。直球の最速は132キロにとどまるが、2種類のスライダーやシュートなど多彩な変化球を投げ、抜群の制球力で打者を打ち取る。昨秋には県予選から九州大会の準決勝まで全8試合に登板。九州大会の3試合は1人で投げ抜き、防御率は1・98。監督、コーチの想像を上回る成長ぶりをみせた。

 長尾投手が絶大の信頼を置くのが、小学校からバッテリーを組む江川侑斗捕手(2年)。長尾投手は昨秋、江川捕手のサインに一度も首を振らなかったといい、江川捕手は「甲子園ではレベルの高い打者を、配球でいかに悩ませるかが鍵。場の雰囲気にのまれず、確実に打ち取っていきたい」。長尾投手も「制球力を生かしてバッターを翻弄(ほんろう)したい」と力を込める。

 エースに負けじと控え投手も練習に熱が入る。武藤俊介投手(2年)は冬の練習で球速を140キロ近くまで上げており、強気なピッチングで打者に立ち向かう。石丸斗和投手(2年)はカーブを決め球に、打たせて取る投球術を磨いた。

 これまで、14年と16年の2回の夏の甲子園では勝利を飾れなかった大分。初出場となる春の甲子園で、悲願の一勝を目指す。

=2019/03/15付 西日本新聞朝刊=

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