最強のランニングコーチ 前田和浩氏が九電工陸上部女子を指導へ

九電工の女子選手とともに走る前田和浩氏(左)
九電工の女子選手とともに走る前田和浩氏(左)
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現役引退の理由を語る前田氏
現役引退の理由を語る前田氏
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2013年の東京マラソン・男子で2時間8分0秒の自己記録を出した前田氏
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 男子マラソンと1万メートルで陸上の世界選手権に4度出場した九電工の前田和浩氏(36)が1月1日の全日本実業団対抗駅伝を最後に現役を引退し、同社女子部のコーチに就任する。選手とともに走り、ペースなどを伝えるランニングコーチを務める予定で、4月の就任を前に女子部に合流した。現役生活を振り返った前田氏は、指導者としての新生活に意欲を燃やしている。 (向吉三郎)

 常にトップランナーであり続けた。だからこそ甘い考えが頭をよぎったことが許せなかった。「高い目標が持てなくなった」。前田氏が引退を決意したのは昨年12月の福岡国際マラソンだった。2020年東京五輪日本代表の選考会「グランドチャンピオンシップ(GC)」への出場権が懸かるレース。だが優勝争いに加われなかった。

 東京五輪を目指して現役にこだわってきたが「第2集団からも離れた時、チーム(九電工の陸上部)に残ることだけを目標に走っている自分がいる、と感じた」。最後のマラソンは15位。「負けず嫌いだから、ここまでこれた」という強い自負を持つ男にとって、あまりに不本意な走りだった。15年からはぜんそくにも苦しみ「練習でも設定タイム通りに走れなくなったのに、高い目標を持つのは厳しい」。引退を決断した。

 佐賀・白石中時代に全国中学校大会の2種目を制覇。白石高でも同世代の先頭を走り、九電工に入社。九州一周駅伝でも活躍した。「きつかったけど、マラソンにつながった」と振り返った。

 日本代表として1万メートルで1度、マラソンで3度の世界選手権出場を果たした。「悔いは後から出てくるんじゃないですか」。五輪の夢舞台で走ることはかなわず、世界選手権では満足な結果を残せなかった。思い出のレースはマラソンの自己ベスト2時間8分0秒で走った13年の東京だが「7分台で走りたかった」とほろ苦さも残る。

 新たな仕事はランニングコーチ。3月の名古屋ウィメンズに出場予定の加藤岬ら世界を目指す女子の選手たちを先頭で引っ張り、時には後方で後押しし、レベルを上げる役割だ。日本代表級の選手の就任は珍しく、社内では「最強のランニングコーチ」と冷やかされる。「速すぎたり、遅すぎたり、まだ女子のペースをつかめません」と苦笑いを浮かべた。

 九電工は男子のポール・タヌイ(ケニア)が一昨年のリオデジャネイロ五輪1万メートルで銀メダルを獲得したが、日本人選手では前田氏に続いて世界の舞台に立つ選手が男女とも出ていない。「まずは女子からですね」。五輪の夢を後輩たちに託す。

 ◆前田和浩(まえだ・かずひろ)1981年4月19日生まれ。佐賀県白石町出身。白石中3年の全国中学校大会で1500メートル、3000メートルの2種目を制し、白石高では3年時の全国高校駅伝1区で日本人トップの2位。2000年に九電工入社。世界選手権は07年大阪大会に1万メートルで初出場(17位)。09年の初マラソンの東京で2位となり、同年の世界選手権に出場。世界選手権のマラソンは09年のベルリンが39位、13年のモスクワが17位、15年の北京は40位だった。

=2018/02/06付 西日本スポーツ=

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