50キロ競歩・勝木選手「金」 競技転向、ドーム売り子、警備員……苦労人が「東京」の星に

陸上男子50キロ競歩で優勝し、日の丸を背負って笑顔の勝木隼人選手
陸上男子50キロ競歩で優勝し、日の丸を背負って笑顔の勝木隼人選手
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 【ジャカルタ伊藤瀬里加】ジャカルタ・アジア大会の陸上男子50キロ競歩で30日、勝木隼人選手(27)=自衛隊、福岡県大野城市出身=が金メダルを獲得した。歩型違反の累積警告で5分間の一時待機処分を受けながら大逆転した勝木選手は大学を卒業後にアルバイト生活を経験。紆余(うよ)曲折の競技人生を送った苦労人が東京五輪のメダルが期待される種目の一番星になった。

 4時間以上に及んだレースを制し、「多くの方に支えていただき、ここまで来ることができた」と喜びをかみしめた。東海大時代に1万メートル競歩で2年連続の学生日本一に輝いた勝木選手は、希望した実業団の内定を得られず、失意の中で福岡の実家に帰った。「学生のトップになり、変な自信があった」。競技を続けるためにプロ野球福岡ソフトバンクの試合でヤフオクドームのグッズ販売の売り子や警備員などのアルバイトを経験。仕事の合間にこつこつと練習を続けた。

 卒業から1年後の2014年に一般隊員として自衛隊に入隊。翌年から体育学校所属になり、競歩に打ち込んだ。大学時代の1万メートルから20キロ、さらに同年に50キロに距離を伸ばすと、16年リオデジャネイロ五輪と昨年の世界選手権で日本勢がメダルを獲得した種目の日本代表にまで上り詰めた。

 武蔵台高(福岡)で陸上を始め、トラック種目の800メートルなどに取り組んだが、全国大会出場は遠い夢だった。ただ、「負けん気が人一倍強かった」と顧問だった溝田康彦さん(53)。箱根駅伝に憧れ、一般入試で強豪の東海大に進学。エリート選手に対抗するために月間約1400キロも走り込んだ。猛練習がたたって故障が相次ぎ、リハビリの一環で行った競歩でコーチに適性を見いだされた。

 今大会の結果で世界選手権の代表が内定。成績次第で2年後の東京五輪の代表に決まる。「まだまだ改善点がある」。山あり谷ありの人生を歩む勝木選手の視界は早くも切り替わっている。

=2018/08/31付 西日本新聞朝刊=

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