本当にヤフオクDでは球速が遅くなる? ソフトB岩崎の珍要望から検証してみた

 昨季46ホールドポイントで最優秀中継ぎ投手に輝いたソフトバンクのセットアッパー岩崎翔投手(28)が、昨年末の契約更改交渉の席で、球団に一風変わった要望を出した。「ヤフオクドームのスピードガン、ちょっと厳しいので、やさしめにしてもらえたら」というものだ。では実際、どれぐらい「厳しい」のだろうか。

 岩崎の17年シーズン最速は156キロだった。これは楽天の本拠地Koboパーク宮城(今年から楽天生命パーク宮城)、西武の本拠地メットライフドーム、ロッテの本拠地ZOZOマリンスタジアムでの計測。ソフトバンクの本拠地ヤフオクドームでの最速は153キロで、確かに数値は3キロ低い。Koboパーク宮城では3試合、それ以外の球場では6試合以上登板してのデータなので、相応に信用できる。

 ソフトバンクの主力投手の17年最速と、ヤフオクドームでの最速の違いを調べた(表1)。個人差はあるものの、ヤフオクドームでは軒並み2~3キロ低くなる。モイネロのように5キロ差のケースもあった。

 他球団の投手はどうか(表2)。プロ入りからソフトバンク戦12連敗中の菊池(西武)の10キロ差は別の要因が大きそうだが、軒並みシーズン最速より低い。アンダースローの牧田(同)の最速も5キロ差があり、その投手のもともとのスピードの遅い速いに関係なく下回っている。

 「ここは遅くなる」「あそこは左腕のスピードが出やすい」…。よく言われる、球場ごとの差はなぜ出るか。スピードガンは対象物(野球の場合はボール)に電波を照射し、反射してきた波の変化を測定して、対象物の速度を導き出す。投手正面、あるいは真後ろから測定するのが理想だが、選手や審判にさえぎられないよう、角度はずらすことになる。各球場の形状の違いから、設置位置や高さはまちまち。結果、たとえ全く同じ球を測定しても、捉える波は微妙に違ってくる。

 ただ、こうした「球場間の差」より、今回の岩崎の要望の根拠は「球場内の差」にある。ヤフオクドームには16年から弾道測定器「トラックマン」が導入された。ボールの回転数や、打球の角度など、複数のデータが収集できる。「iPhoneのアプリの中はそれ(トラックマン測定)でスピードが出てくるんですけど、ヤフオクの球場内の表示は、それと違うの(従来のスピードガン測定)が出てくるんですよ」(岩崎)。ソフトバンク投手はこの差に「?」となっていたわけだ。

 球団から選手に支給されるiPhoneには、過去の試合映像を見られるアプリがインストールされている。17年は機能が追加され、トラックマンによるデータも表示されるようになったのだ。岩崎によるとスピードガンとの差は常時3~4キロあって、大きいときで5キロ。トラックマンでの自身17年最速は、158キロと言う。

 「『ヤフオクドームで150(キロ)超えてたら、かなりいい』ってみんなも思ってるし、他チームの人もそう思ってるという話も聞いたんで。厳しいのもいいかなとは思うんですけど、ブルペン陣のピッチャーは『もっと速く出してほしいな』みたいなことは言ってる」。自他球団の投手の間で“ヤフオクドーム補正”の存在は取りざたされていたようだ。

 では、トラックマンの測定精度はどうか。基本原理はスピードガンと同様で、照射した電波の反射から計測する。ただ、センサーがスピードガンは数センチ角なのに対し、トラックマンは1メートル四方。全球場で同じ設置環境とはいかないものの、ガイドラインはあり、実際、同じ投手の球速であれば、球場ごとの差はあまり見られないという。

 またトラックマンではリリース直後の「初速」、捕手が捕球する直前の「終速」と、地点ごとの計測をうたっている。一般的に球速とはこの「初速」のことで、スピードガンもそれを捉えるためのものだが、実際には、どの地点で計測したかはハッキリしない。トラックマンの方が「より正確」と考えることはできる。

 三笠球団統括本部統括本部長も「(本拠地球場内で)スタンダードが2つあるのは良くない」と話しており、トラックマンの計測結果を表示する方向で調整している。「『上げる』ってことじゃないからね」とも付け加えた。

 「ギータ(柳田)さんとかに聞いたら『あんまり(球速表示は)気にしてないよ』と。多分、バッターは体感速度しか気にしてないと思う。やっぱりピッチャーのためですね。気分が乗ってきたら(リリース時の)一押しとか絶対、変わってくると思うんで」。力説した岩崎は「監督からは『160キロ出せるように』と。そういうポテンシャルがあるって意味で、すごく言われているので。スピードガンがやさしくなれば…」と舌を出した。

 相手投手の気分が乗る要因となれば、間接的に自軍打者への影響があるとも言えそうだが…ともあれ今季ソフトバンク投手陣の“適切”な球速が、160キロ台をたたき出す可能性は十分。最速165キロの日本ハム・大谷(表3参照)が海を渡った日本球界ながら、ヤフオクドームでの新スピードキング争いにも期待が高まる。

=2018/01/05 西日本スポーツ=

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8月18日 京セラドーム大阪

試合終了

  • ソフトバンク7
  • オリックス2

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