慰問ライブ続ける「仮設の歌姫」 自らも大阪で被災…原動力は震災で娘亡くした女性の言葉

 熊本地震や東日本大震災の被災地で慰問ライブを続ける大阪府高槻市の歌手、奥野ひかるさんが3日、益城町の仮設団地を訪れた。「仮設の歌姫」と呼ばれる奥野さんは、6月の大阪府北部地震で自身も被災したが、熊本や東北の被災者に備えの大切さを学んでいたため事なきを得た。奥野さんは「皆さんを笑顔にすることが原点。これからも続けていく」と力を込めた。

 奥野さんが仮設などを回り始めたのは、東日本大震災後の2012年2月。中学時代からプロ歌手として活動してきたが、当時は「歌う意味を見失っていた」という。当初は被災者のためになっているか分からず悩んだ。そんな時、震災で娘を亡くした女性から「歌に励まされた。生きてみようと思う」と言葉を掛けられ、原動力になった。

 これまでに東北3県で880回、熊本では16年11月から、この日が47回目のライブになった。今年4月には九州豪雨の被災地、福岡県朝倉市と東峰村も慰問。費用は全て自己負担という。15年から約1年半は岩手県大船渡市の仮設住宅に市の許可を得て住み、仮住まいの苦労も実感した。

 大阪府北部地震で自宅がある高槻市は震度6弱を記録。水道などが止まったが、日ごろから水などを備蓄していたのが奏功した。「地震は人ごとではないという認識があった。皆さんに救ってもらった」と話す。

 この日訪れた木山仮設団地では、約20人の前で美空ひばりの「おまえに惚(ほ)れた」、天童よしみの「あんたの花道」など7曲を披露。トークも交え、笑いが絶えないステージになった。民本朋子さん(65)は「乗りが良くて楽しかった。元気が出た」と笑顔を見せた。

 「仮設で前を向こうと努力している人たちの姿を見ると、また会いたいと思う」と奥野さん。熊本でのライブは100回を目指す。

=2018/07/04付 西日本新聞朝刊=

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