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身重の26歳、1歳の子抱き犠牲

 新たな命の誕生を心待ちにしていた母親は、1歳のわが子を胸に抱いたまま、崩れた実家の下敷きになった。「子どもだけでも守ろうとしたのだろう」。知人たちは涙を流した。祖母も一緒に犠牲になった。

 集落に土砂や流木が押し寄せた福岡県朝倉市の黒川地区で亡くなったのは、朝倉市一木のJA筑前あさくら職員の江藤由香理さん(26)。長男の友哉ちゃん(1)と母親の渕上麗子さん(63)と共に冷たくなっていた。第2子の出産を8月に控え、実家に帰っていて被害に遭ったとみられる。

 由香理さんは県農業大学校を卒業後、2012年にJAに入り、農作物の販売や開発を担当。夫の大貴さんとも職場で出会った。暑い倉庫での野菜の振り分け作業もいとわず、生産者からも慕われていた。「その場の雰囲気を明るくしてくれる性格だった」と浜崎俊充課長(45)。

 友哉ちゃんは15日に2歳の誕生日を迎えるはずだった。「人懐っこくて、かわいくて…。信じられない」。友哉ちゃんが通っていた保育園の保育士は涙を流した。由香理さんからは「もうすぐ2人目が生まれるから、今は友哉との時間を大事にしたい」と相談されていたという。

 3人をよく知る黒川地区の70代男性は「真っ暗な中でどんなに怖かったか。遺族の気持ちを思うとたまらない」と目を伏せた。

 由香理さん、友哉ちゃん、麗子さんの通夜は8日、朝倉市内の斎場で営まれ、参列者は会場の外まで続いた。由香理さんを子どもの頃から知る女性(52)は「ご遺族に掛ける言葉がなかった」と話した。

=2017/07/09付 西日本新聞朝刊=

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