西日本新聞電子版サービス

ため池決壊、小川に倒木次々 3人犠牲の朝倉・山田

 3人が犠牲となった福岡県朝倉市山田。国道386号沿いに、集落を襲った大量の倒木と土砂がまだ堆積している。山から少し離れた場所まで被害が拡大したのはなぜか。現場から上流に向かって歩いた。

 集落を流れる通堂(とおりどう)川の普段の川幅は最大8メートルほど。浅く緩やかな流れで堀川用水に注ぐ。「小さな孫も遊べる川」と親しまれた小川が5日夕、一変した。

 住民たちによると、通堂川は午後5時半ごろからあふれ始め、一気に周りの柿畑や田んぼを覆った。水かさは川沿いの路地から約1・6メートルの高さに達した。

 国道そばの民家に大きな倒木が何本も突き刺さっている。この家の2階から親類を助け出した手島美典さん(75)は「6時ごろには、1階にどんどん水が入ってきた。まだ木はあまり流れていなかった」と話す。近くの男性は「川があふれてから30分もたたずに、辺り一面、絶え間なく倒木が流れてきた」と振り返る。

 短時間に小川が増水し、倒木が次々に流れてきたのは、上流にある二つのため池が決壊したからだ。

 国道から約500メートル上流の「鎌塚ため池」。滑り台のように急勾配の水路があったらしいが、原形をとどめていない。滝のように水が流れ落ちた先に、長さ10メートル前後の倒木が折り重なる。さらに1キロほど上流。あるべきはずの「山の神ため池」がない。堤が崩壊し、くぼ地に土砂がたまっていた。

 「ゴオーン、ドオーンとこの世のものとは思えない音が、川からずっと聞こえていた。濁流と木々がぶつかっていたのだろうが、とにかく恐ろしかった」と近くの高台に住む久保山美智男さん(68)。ため池に流れ込んだ倒木の重みで堤が壊れ、勢いを増して下流の集落を襲ったとみている。

 その上流は土砂崩れで道路が寸断され、護岸の崩壊が何カ所も続く。広くなった河原にはごつごつとした石と倒木が折り重なっていた。えぐれた山肌の土と、樹皮が剥がれかけたスギのにおいが入り交じる。「大雨でまた倒木や土砂が流れてこなければいいが」(手島さん)。被災地の住民の不安は続く。

=2017/07/12付 西日本新聞朝刊=

ニュースまとめ

続報中

西日本新聞のイチオシ[PR]

トピックス


トピックスニュース

ランキング

  1. 市が取り付けた「洗車禁止」のパネル
    “宝”の水で洗車はやめて 日田市、人気の給水施設 住民困惑、市が禁止パネル
  2. 身重の26歳、1歳の子抱き犠牲
  3. 母子と祖母が犠牲になった福岡県朝倉市黒川の家屋。2階建ての家は1階がつぶれ、基礎がむき出しになっていた=17日午後0時15分ごろ
    母子犠牲の家、集落守った 豪雨2週間、朝倉・黒川地区ルポ
  4. 次々とかかる市民からの安否確認の問い合わせの電話に対応する日田市職員=7日午前9時ごろ
    安否確認一晩で急増、日田市 九州豪雨
  5. 3日ぶりに再会した息子の暁登君を強く抱きしめる井上智香子さん。何度も頭をなでた=8日午後5時ごろ、大分県日田市
    「生きてた」涙の抱擁 孤立集落から救助再会 日田市
西日本新聞のイチオシ[PR]