子ども標的「エルサゲート」問題に かわいい動画が一転、エログロに スマホ育児に警鐘

 インターネットの動画サイトで子どもにアニメを見せていたら、いきなり残酷な内容に-。子育て中の親の間で、そうした悪質な動画が問題化している。一見かわいらしい作品のため、運営会社の規制をすり抜けているのが現状だ。子どもをスマートフォンで遊ばせる「スマホ育児」が広がる中、関係者は「子どもが見ると、悪影響がある」と注意を呼び掛けている。

 米IT大手グーグル傘下の動画投稿サイト「ユーチューブ」。ディズニーの人気キャラクターに似たキャラが映る画面をクリックすると、10分半の動画が始まった。最初こそキャラクターが絵を描いているが、排せつ行為や木から転落して流血、女性が挑発的に誘惑する場面が出てくる。

 こうした動画は「エルサゲート」と呼ばれている。有名アニメ映画「アナと雪の女王」のヒロインの名と、政治スキャンダルを呼ぶ際に使われる英語の接尾語を合わせた造語だ。

 ユーチューブには自動再生機能がある。有効にすると関連動画が続けて再生されるため、エルサゲートが次々と流れる恐れがある。ユーチューブは、プログラムによる検出や視聴者からの報告で不適切な動画を削除するが、エルサゲートは数が多い上に「色を学ぶ」などのタイトルで幼児教育用を装っており、監視が追い付いていないようだ。

 海外では社会問題となっている。英BBC放送は昨年3月に「類似の動画が数百件あり、数百万回視聴されたものもある」と伝え、米紙ニューヨーク・タイムズも同11月に「多くの人が警告している」と報じた。中国当局は今月22日、動画サイト運営者に「不適切な子ども向け動画」の取り締まりを求めたと中国共産党機関紙、人民日報のウェブサイト「人民網」が伝えた。

 エルサゲートの背景は不明だが、動画の再生回数に応じた広告収入を得ることが目的という指摘もある。日本では今月、育児中の母親という人物が騒動をブログで紹介し、懸念が広まった。最近は日本語版も目立つ。

 西日本新聞は、ネットでエルサゲートと指摘された日本語版投稿者3人に意図を問うメッセージを送ったが、27日までに返信はない。グーグルの日本法人は「人的、技術的資源を増強し、対処できるよう全力を尽くしている」としている。

 学識経験者らによる「子どもたちのインターネット利用について考える研究会」の2016年の調査によると、0歳児の2割、1歳児の4割、2~5歳児の6割がスマホなどの情報端末を利用。家事などで手が離せない時、情報端末を与えて動画やゲームで遊ばせる保護者は少なくない。

 育児情報誌「miku」の高祖常子編集長は「子どもが好きなキャラと思いエルサゲートを見ればショックは大きく、心的外傷(トラウマ)が心配。スマホを使うなら、信頼できるサイトを選ぶことが重要だ」と話している。

=2018/01/28付 西日本新聞朝刊=

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