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経産省の施錠 国民との対話を拒むのか

 経済産業省が日中も執務室を施錠する異常事態が2カ月近くも続く。国民をなるべく国の情報から遠ざけようとする政府の体質が現れた象徴的な出来事ではないか。

 「情報管理の必要性が高まる中、行政の信頼性を確保するため、庁舎のセキュリティーを強化する」というのが経産省の言い分だ。メディアも含めて部外者は原則、入室できなくなった。

 用事や取材があれば、内線電話か携帯電話で扉の向こうに連絡を取り、執務室外の会議室などで面会する。企業間競争が激しい民間でも部外者は面談室に通される場合が多いが、全庁で内側から施錠とは常軌を逸している。

 経産省は取材対応のマニュアルも作った。取材対応は管理職のみ▽取材のやりとりをメモする職員が同席▽取材内容は広報室に連絡▽自宅など庁舎外での取材には応じない‐という内容だ。

 執務室の施錠と併せて考えると、セキュリティー強化に名を借りたメディア規制と情報統制の意図が露骨に浮かぶ。都合のいい情報だけを一方的に発表して、そうでない取材や用件には扉の向こうで「不在」を装うつもりなのか。

 施錠は経産省にもマイナスだ。部外者との自由なやりとりから、民間の情報や社会の風潮をより的確につかみ、政策にも反映させることができる。施錠は国民や社会に通じる扉を閉ざすことになる。

 情報開示に後ろ向きな事例が相次ぐ。南スーダン国連平和維持活動(PKO)の陸上自衛隊日報は「廃棄」を理由に防衛省が情報不開示とした後でデータが見つかった。大阪市の学校法人「森友学園」への国有地売却でも、財務省は「資料は廃棄」と言い張る。

 施行から2年余りが過ぎた特定秘密保護法は、国民の知る権利を阻害する恐れがある。情報公開請求には黒塗りだらけの「のり弁」資料も珍しくない。

 そもそも国や地方自治体が税金を使って集めた情報は原則、国民の共有財産である。政府は国の情報が自分たちの独占所有物であると勘違いしているのではないか。


=2017/04/19付 西日本新聞朝刊=

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