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「共謀罪」審議 強引に押し通すつもりか

 政府や与党は胸を張って、審議を尽くしたと言えるのか。犯罪を計画段階で処罰する「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ組織犯罪処罰法改正案について、与党はあすの衆院法務委員会、18日の本会議で採決を強行する構えだ。

 審議が深まっていないのは誰の目にも明らかである。与党は30時間の審議を目安に採決に踏み切るというが、重要なのは費やした時間ではなく審議の内容である。

 安倍晋三首相や金田勝年法相は「一般人は捜査対象にならない」と繰り返す。過去3度も廃案になった共謀罪と異なり、あくまでテロ対策だと強調したいのだろう。

 しかし、一般市民の定義や境界線は不明確で、政府側の答弁は「犯罪の疑いがあれば一般人ではない」と禅問答のようだ。盛山正仁法務副大臣が一時「一般人が対象にならないことはない」と述べたのが本音ではないかと気になる。

 ほかにも、市民監視の強化ではないのか▽277もの対象犯罪は適正か▽犯罪成立の要件とする「準備行為」とは何か-といった懸念や疑問は解消されていない。

 所管大臣の金田氏自身が法案の趣旨や内容をどこまで理解しているのかも相変わらず疑わしい。答弁は大臣席の後方に控える法務官僚から渡されるメモの棒読みだ。

 珍答弁も続く。森林法違反を対象犯罪に含めた理由を問われた金田氏は「テロ集団が保安林でキノコを採取して資金源にする恐れがある」と答えた。桜並木を歩く行為については「ビールと弁当を持っていれば花見で、地図と双眼鏡ならテロの下見」と説明した。

 こんな曖昧なことで犯罪が成立するとしたら恐ろしい。やはり監視を強めて市民の内心や思想を捜査するのが目的ではないのか。

 与党と日本維新の会は、取り調べ可視化の検討などを付則に盛り込む法案修正で合意した。恣意(しい)的な捜査を防ぐには一定の効果もあるかもしれないが、この法案が抱える本質的な問題を解消する修正ではない。それでも強引に押し通すつもりなのか。審議が不十分な段階での採決は許されない。


=2017/05/16付 西日本新聞朝刊=

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