「細菌から象まで」を読み解く ビルマ戦記を追う<37> 文化 6:00 先に戦記というものの傾向に触れた。ついでなので、ここでもうひとつの傾向を書いておく。すなわち「らしからぬタイトルの戦記には名著...
「ビルマ日記」を読み解く ビルマ戦記を追う<36> 文化 12/6 6:00 この戦記の奧付には「中央公論事業出版」「頒価八○○円」などとある。自費出版なのだろう。ここで戦記というものの傾向をひとつ書いておきたい。すなわち「自費出版は商業出版に比べ...
「ビルマ商人の日本訪問記」を読み解く ビルマ戦記を追う<35> 文化 12/5 6:00 著者のウ・フラ氏は一九三六年に日本を訪問し、二カ月滞在している。その旅日記はラングーン(ヤンゴン)の新聞社へ寄稿され、一九三九年に書籍化された。本書はその翻訳である。訳者...
「ビルマの風俗習慣」を読み解く ビルマ戦記を追う<34> 文化 12/4 6:00 「ある商社員と大東亜戦」に名前の出てくる国分正三氏は戦前ビルマで諜報(ちょうほう)活動等を行ったことで知られている。戦時中もビルマへ赴いているが、その活動詳細を知る機会に...
「ある商社員と大東亜戦」を読み解く ビルマ戦記を追う<33> 文化 12/3 6:00 本書の副題は「徴用軍属ビルマ日記」という。内容はまさにその通りで、軍属としてビルマへ赴いた桑野福次氏の残した記録である。昭和十七年四月、いわゆる白紙召集を受けて桑野氏はビ...
「ビルマ戦記」を読み解く ビルマ戦記を追う<32> 文化 12/2 6:00 部隊碑でひとつ思い出したことがあるので後勝氏の「ビルマ戦記」も取り上げたい。本書は副題を「方面軍参謀悲劇の回想」といい、序を瀬島龍三氏が寄せている。参謀という職務はある種...
「菊歩兵第五十六聯隊戦記」を読み解く ビルマ戦記を追う<31> 文化 12/1 6:00 前述の井上咸(はやし)氏は「敵・戦友・人間」において終戦後の軍旗奉焼にも触れている。将兵にとって軍旗の存在は非常に大きかったのである。菊歩兵第五十六聯隊戦記編集委員会がま...
「敵・戦友・人間」を読み解く ビルマ戦記を追う<30> 文化 11/30 6:00 井上咸(はやし)氏が「収容所のロビンソンクルーソー」の二年前に著した戦記である。「栄光なき戦いの果てに」と副題が打たれている。随筆集と呼ぶべきだろう内容で、言うなれば回想...
「収容所のロビンソンクルーソー」を読み解く ビルマ戦記を追う<29> 文化 11/29 6:00 収容所の日々を綴(つづ)った戦記は珍しくない。先に紹介した「アーロン収容所」もそうだし、数多いシベリア抑留記もそうだし、中でも有名なのは大岡昇平氏の「俘虜記」だろう。私は...
「ビルマ脱出記」を読み解く ビルマ戦記を追う<28> 文化 11/28 6:00 英印軍が刻々と迫る戦況にラングーン(ヤンゴン)はほとんど無法状態となり、略奪と放火が相次いだ。市民は軍の倉庫にも押しかけた。その混乱の中、ラングーン防衛戦力の骨幹であった...
「日本赤十字従軍看護婦」を読み解く ビルマ戦記を追う<27> 文化 11/27 6:00 元日赤従軍看護婦の会が編纂(へんさん)した本である。副題を「戦場に捧(ささ)げた青春」という。「白衣の天使」と同様、元従軍看護婦による手記がまとめられているのだが、寄稿が...
「白衣の天使」を読み解く ビルマ戦記を追う<26> 文化 11/26 6:00 副題に「ビルマ最前線従軍看護婦死闘の手記」とある。会田雄次氏と同じ第五十三師団に属していた宮部一三氏の編纂(へんさん)になる本である。宮部氏には「ビルマ最前線」という戦記...
「アーロン収容所」を読み解く ビルマ戦記を追う<25> 文化 11/25 6:00 著者は第五十三師団に所属していた会田雄次氏である。日本人の書いたビルマ戦記としては最も有名な一冊だろう。収容所における人々が国籍や民族を問わず観察されており、誤解を恐れず...
「日本兵のはなし」を読み解く ビルマ戦記を追う<24> 文化 11/24 6:00 ビルマにおける様々(さまざま)な日本軍将兵の回想が六十一本収録された本である。体裁としてはルポライターによる証言集に近く、著者の玉山和夫氏は実際そうした手法を用いている。...
「コヒマ」を読み解く ビルマ戦記を追う<23> 文化 11/23 6:00 インパール作戦を知らぬ日本人は少ないとしても、同作戦における最大の激戦地コヒマはどれだけ知られているだろうか。たとえば西日本新聞を読んでいる博多っ子の何割がコヒマにおける...
「最悪の戦場に奇蹟はなかった」を読み解く ビルマ戦記を追う<22> 文化 11/22 6:00 歩兵第百二十四連隊の評判の悪さに触れる形になった。実は先に紹介した「軍楽兵よもやま物語」にも同連隊に関する記述があり、ずばり「ゴロツキ」との呼称が使われている。頭も家柄も...
「烈兵団 インパール戦記」を読み解く ビルマ戦記を追う<21> 文化 11/21 6:00 インパール作戦はメディアで頻繁に取り上げられる。したがって本随筆でその様相を語る必要はなかろう。しかし避けて通るのはむろん不可能なので、斎藤政治氏の著した本書から兵隊たち...
「ビルマ讀本」を読み解く ビルマ戦記を追う<20> 文化 11/20 6:00 戦記を戦争の記録と解釈するなら、戦時中に出版された書籍はそれ自体が戦記とも言える。時代が反映されているからである。本書が出版されたのは昭和十七年四月である。しかし、著者の...
「火線と共に」を読み解く ビルマ戦記を追う<19> 文化 11/19 6:00 本書が出版された昭和十八年五月、ビルマはまだ平和だった。ビルマ自体が独立を三カ月後に控えていたし、空襲は見られても連合軍の本格的な反攻開始は半年先のことである。著者の能勢...
「地獄の戦場 泣きむし士官物語」を読み解く ビルマ戦記を追う<18> 文化 11/18 6:00 門司に「花千里」という飲食店があると聞く。そこでは「ビルマうどん」なるものを出しているという。ビルマから復員された方が作ったメニューなのだそうな。こうした「日本に持ち込ま...