世界の理解を解きほぐして 解体された万物つなぎ直す 文化 5/25 17:30 【人類学者のレンズ・松村圭一郎】過去半世紀のあいだに人類学は大きく変化した。これまで紹介したように、人類学者が一方的に「他者」...
共同体に属するとは 差異を持ち寄って共通の場作り出す 文化 4/22 17:32 【人類学者のレンズ・松村圭一郎】人類学者のティム・インゴルドは『人類学とは何か』のなかで、人類学が過去30年で根本的に変化したと述べている。それは人間を含むあらゆる存在が...
人々についてではなく人々とともに研究する 人類学の暴力的な側面... 文化 3/21 14:30 【人類学者のレンズ・松村圭一郎】北京冬季オリンピックが閉幕した4日後、また世界中を震撼(しんかん)させる事態が起きた。ロシアによるウクライナへの軍事侵攻は、いまだに人類が...
アニミズム 相手の立場に寄り添い 自ら絵の中に歩み入る 文化 2/21 17:30 【人類学者のレンズ・松村圭一郎】人類学者の岩田慶治が残した言葉は、常識にとらわれたままでは理解が難しい。前回、紹介した『創造人類学入門』では、人間だけが認知の主体となる科...
創造的な知 科学的な知とは異なる新たな価値の地平へ 文化 1/21 17:32 【人類学者のレンズ・松村圭一郎】年末は落ちついていた新規感染者数が年明けから一気に急増した。オミクロン株の出現で第6波に突入したようだ。感染力はきわめて強いものの、比較的...
デザイン思考 従来の「当たり前」問い直し 終わりなきプロセス楽しむ 文化 2021/12/24 17:32 【人類学者のレンズ・松村圭一郎】2019年12月に中国・武漢市で新型コロナウイルスの感染者が最初に確認されて2年がたつ。いったん制限が緩和されたヨーロッパ諸国では感染者が...
国家と宗教 権力の正当性を保証 政治的競争で利用も 文化 2021/11/22 17:31 【人類学者のレンズ・松村圭一郎】衆議院選挙が終わった。投票率は、戦後3番目に低い55・93%。有権者の4割以上が棄権した。そんな状況で国会議員を民主的に選んだことになるの...
秩序と無秩序 人間を隷属させる力に、どう対峙するのか 文化 2021/10/22 17:32 【人類学者のレンズ・松村圭一郎】新型ウイルスの流行とくり返される自然災害、その背後にある経済活動のグローバル化や地球環境の問題。私たちは平穏な日常が脅かされる「危機」の時...
政治権力の演劇性 「見世物」へと変貌する国家 文化 2021/9/22 17:32 【人類学者のレンズ・松村圭一郎】自民党総裁選で誰が次の首相の座を射止めるのか、関心の的となっている。東京オリンピック・パラリンピックが終わったと思ったら、また別の舞台上の...
儀礼としてのスポーツ 現実とのずれ可視化 既存の社会構造を刷新 文化 2021/8/24 17:30 【人類学者のレンズ・松村圭一郎】東京オリンピックが閉幕した。日本選手団の歴代最多となるメダル獲得にわいたお祭り気分も、過去最多を更新する感染者数の急増と記録的な大雨の被害...
近代スポーツの影 勝者と敗者を伴う競争あおるナショナリズム 文化社会 2021/7/23 17:30 【人類学者のレンズ・松村圭一郎】東京に4度目の緊急事態宣言が出されるなか、オリンピックが開幕する。私たちはこのスポーツの祭典がどういう仕組みで運営され、誰のために開催され...
被害の科学的認定 作為的な「科学」導く不確実な状況 文化 2021/6/21 17:30 【人類学者のレンズ・松村圭一郎】1986年のチェルノブイリ原発事故のあと、多くの人が消火活動やがれきの処理にあたって被曝(ひばく)した。配備されたロボットは放射線レベルが...
不確定な「生物学的市民」 政治と科学が定める 「被災者」 文化 2021/5/20 17:32 【人類学者のレンズ・松村圭一郎】感染の拡大が止まらない。ウイルスは目に見えないので、自分がいつどこで感染してしまうかわからない不安がある。この感覚は福島第1原発事故のあと...
誰が震災を語りうるか 公共人類学の試み 文化社会 2021/4/19 17:32 【人類学者のレンズ・松村圭一郎】東日本大震災から10年の節目も、次々に起きる出来事と情報の渦にすぐ飲みこまれてしまった。緊急事態宣言が解除され、聖火リレーがはじまったと思...
「危機」で顕在化する差別や格差 文化社会 2021/3/22 17:32 【人類学者のレンズ・松村圭一郎】東日本大震災から10年が過ぎた。ひとつの節目を迎え、当時を振り返る機会も増えている。でも、あのとき感じた「もう後戻りできない」という空気は...
コロナ下の「居場所」とは…当事者としてとらえ直した学生たち 文化 2021/2/18 17:30 大学では1月から2月にかけて修士論文や卒業論文の指導と審査が学期末と重なる。大学教員にとってもっとも慌ただしい時期だ。この1年間、授業の大半がオンラインになった。人類学を...
恐怖を刷り込む数字 感染リスク管理する「羊飼い」の視点とは 文化 2021/1/21 12:43 あらたな年が明けたのに、気分の晴れない日がつづく。毎日発表される数字の上下に気持ちまでかき乱される。都道府県や市町村ごとに集計され、公表される感染者数、重症者数、死者数…...
イタリアの医療崩壊から学ぶ 効率性の危うさ、日常の「耕し」が鍵 文化 2020/12/21 18:25 激動の1年が暮れようとしている。去年の今頃、やがて世界中がパンデミックに翻弄(ほんろう)されるなど誰が予想できただろうか。世界は不確実だ。あたりまえに感じていた日常のほう...
民主主義への誤解 誰かが「負ける」ことを避けるのが政治 文化 2020/11/23 12:54 民主主義とは何か?いまこの問いが切実さを増している。日本学術会議の会員候補6名が任命拒否された問題では、その理由が説明されないまま、つじつまの合わない国会答弁が続けられて...
「レイシズムは政治家の飛び道具」 背後に放置された社会の不公正 文化 2020/10/23 14:24 9月末、米大統領選挙に向けた最初の討論会が開かれた。トランプ大統領が白人至上主義者の団体を非難せず、「引き下がって、待機するように」と発言したことが話題になった。人種問題...