俳句月評 桜の向こうに「戦争」が見える「桜」 文化 3/31 17:30 谷口慎也さん寄稿すでに桜の季節である。その美しい花の下で「ハイ、一句」といきたいところだが、どうも今はそんな気分にはなれない。この花どきに、大国によるウクライナ侵攻が激し...
俳句月評<一義と多義> 文化 2/28 17:30 谷口慎也さん寄稿俳人・坪内稔典(ねんてん)さんはエッセー『早寝早起き』(2020年刊)で、俳句と川柳との違いを、「俳句は多義、川柳は一義」だと言っている。すなわち複数の意...
俳句月評<共生> 文化 1/31 17:30 谷口慎也さん寄稿新年を迎えて改めて痛感するのは、俳句の世界はつくづく「共生作業の場」であるということだ。俳句実作者であり俳句読者。同時に生活者でもある私は評論めいたものも...
俳句月評<文体> 文化 2021/12/28 17:30 谷口慎也さん寄稿・囀(さえずり)やことばの画廊始めます(土屋秀夫)作者は東京都在住。句集『鳥の緯度』より抽出。まず目につくのは、中7の「比ゆ」-<囀>が<ことばの画廊>に...
俳句月評<ふとしたこと> 文化 2021/11/30 17:30 谷口慎也さん寄稿ある晩、ふと次のような1句が頭に浮かんだ。・文芸になる秋茄子を下さいな文字化してみて、「何、コレ?」と思った。次に、なぜこんな句ができたのか、と考えた。思...
俳句月評<身ほとり> 文化 2021/10/29 17:30 谷口慎也さん寄稿「身ほとり」という言葉がある。「身」の「ほとり」のことで、自分にもっとも親(ちか)しいヒト・モノ・コトの総称である。人の喜怒哀楽や将来の指針も、その時々の...
俳句月評<心の可視化> 文化 2021/9/29 17:30 谷口慎也さん寄稿私たちはみな、自分には「心」があると思っている。ではそれは何処(どこ)にあるのかと問われれば、たぶん多くの人は自分の胸のあたりを指さして「ここにある」と言...
俳句月評<書籍紹介> 文化 2021/8/31 17:30 谷口慎也さん寄稿今月は、次の書籍を紹介しておきたい。*『芭蕉の天地』(高野公一著・朔出版刊)。副題に-「おくのほそ道」のその奥-とある。著者は、その旅に同行していた河合曾...
俳句月評<臍の緒> 文化 2021/7/26 17:30 谷口慎也さん寄稿読者は川で河童(かっぱ)に足を捉まれたことはあるだろうか?狐(きつね)や狸(たぬき)にだまされたことは?あるいは大きな楡(にれ)の木が、むかし百姓一揆に加...
俳句月評 <作品と私> 文化 2021/6/28 17:30 谷口慎也さん寄稿例えば句集一巻を手にしたとする。面白いものとそうでないものとがある。面白ければ再読する。もっと面白ければ外出用のバッグに入れて持ち歩く。では面白くないと思...
俳句月評 <共同作業> 文化 2021/5/31 17:30 谷口慎也さん寄稿俳句の面白さは、何と言っても作者と読者とが渾然(こんぜん)一体となってひとつの世界を創り出すところにある。すなわちそれは、その時々の世界を瞬時に「創造」す...
俳句月評 〈読みの背景〉 文化 2021/4/26 17:30 谷口慎也さん寄稿ひとつの作品を捉(とら)えるとき、その解釈は読者の数だけ存在する。例えば、太宰治に『津軽』という小説がある。その中に、池に飛び込む蛙(かえる)の姿を作者が...
俳句月評 〈季語を思う〉 文化 2021/3/31 17:30 谷口慎也さん寄稿人気俳人・池田澄子さんに次の一文がある。『例えば毛虫。触ったら大変なことになるから、処分する。でも同じ生きている者同士として、ごめんね許してね、という気持...
俳句月評 <ふるさと> 文化 2021/2/26 17:30 谷口慎也さん寄稿「ふるさとは遠くにありて思ふもの」というのは室生犀星の詩の一節であるが、ここでは犀星の思いは別にして、「ふるさと」について考えてみる。人が改めて「ふるさと...