人生の羅針盤 渋沢栄一と論語
コーナー

「人生の羅針盤 渋沢栄一と論語」

「日本の資本主義の父」と称される渋沢栄一は「論語」の精神を経営哲学の柱に据え、人生の羅針盤として激動の時代を乗り切った。幕末に仕えた徳川慶喜や明治維新の立役者らとの思い出とともに語る「論語講義」の読み解きを中心に、中国文学者の林田愼之助さんが、渋沢の人生をたどる。

2021 8/3 17:30
文化

祭るに在ますが如く 立身出世しても故郷忘れず

激動の時代を駆け抜けた渋沢栄一が眠る墓=東京・谷中

 『論語』の八〓(はちいつ)篇に、祭りに関する孔子の言葉書きが記録されている。 神をお祭りする際には、神がおられるつもりで祭るものだ。

2021 8/2 17:30
文化

人と歌いて善ければ 文化の発展にも尽力

渋沢栄一が建設に関わった帝国劇場。経済だけでなく、文化や教育分野の発展にも尽力した(国立国会図書館ウェブサイトより)

 『論語』の述而(じゅつじ)篇に、孔子は歌が好きであったことを伝える文章がある。 孔子は人々と一緒に詩を歌ったことがある。

2021 7/28 17:30
文化

己の欲せざる所は 慈善活動に注いだ情熱

渋沢栄一が半世紀にわたって院長を務めた東京市養育院(東京都教育委員会所蔵)

 『論語』の衛霊公(えいれいこう)篇に、孔子門下の秀才である子貢(しこう)が「人間が生を終えるまでに行うべき大事なことで、ひと言で言えることがあれば、それを教えてほしい」と孔子に問いかけている章句がある。

2021 7/27 17:30
文化

関雎は楽しみて カニのように身の丈守る

 渋沢栄一は実業界に身を置いてからも、政府から「ぜひ大蔵大臣になってくれ」だの「日本銀行の総裁になってくれ」だのと、要職に就いてほしいといった申し入れを受けたことがあった。

2021 7/19 17:30
文化

「身を殺して以て仁を成す」 高杉晋作、坂本龍馬に共通の義

安川敬一郎と交流があった渋沢栄一。安川が創設した九州工業大には渋沢の書が残る

 渋沢栄一は安川電機(北九州市)を設立した安川敬一郎(一八四九~一九三四)を明治専門学校、現在の九州工業大学に訪ねている。明治専門学校を創設したのも安川である。

2021 7/15 17:30
文化

人のために信義を尽くす 日に三たび吾が身を省みる

タイトルカット・カラー

 『論語』の学而(がくじ)篇に、曾子曰(そうしいわ)くとして孔子の高弟、曾参(そうしん)の言葉書きがのこっている。 「私は毎日何度も自分の行動を反省している。

2021 7/7 17:30
文化

人にして信なくんば 信頼こそがすべての基本

鹿児島市城山にある西郷隆盛像。渋沢栄一は西郷を高く評価していた

 『論語』の為政(いせい)篇に、次のような孔子の言葉が記録されている。 「信、すなわちその人の言葉が信頼できることは、人格を成立させる基本である。

2021 7/6 17:30
文化

善に伐ること無く 信頼集める「大器」の条件

タイトルカット・カラー

 明治六年(一八七三)、渋沢栄一が大蔵官僚を辞めて、実業界に入ってから最初に手がけたのが銀行経営であった。「第一国立銀行」の設立である。

2021 7/2 17:30
文化

富と貴とは 善行を重ねた先に富あり

タイトルカット・カラー

 『論語』の里仁(りじん)篇に、孔子が富貴について、「富と地位は誰もが欲しがるものである。ただし、正しい道理でそれを手に入れたものでなければ、富と地位を持ち続けることはできない」と語っている。

2021 7/1 17:30
文化

士は以て弘毅ならざる可からず 粘り強く新制度作りを推進

タイトルカット・カラー

 『論語』に「孔子曰(いわ)く」に混じって、「曾子(そうし)曰く」という文章がある。曾子は孔子の高弟である。

2021 6/30 17:30
文化

十世知るべきや 時代変わっても道義揺るがず

徳川慶喜が謹慎生活を送った宝台院庫裡座敷。渋沢栄一は帰国後、すぐに旧主を訪ねた(宝台院提供)

 歴史は時代とともに変わっていくが、人間のこころは本来、仁愛、信義の道を踏み行うものであることには変わりない。たとえ王朝が交代し、権力に変化があっても、人間の心のありようは変わらないはずだ。

2021 6/22 17:30
文化

故きを温ねて 近代西洋の最新事情を吸収

パリ万博に参列するため訪欧した徳川昭武。随行した渋沢栄一は西洋文明を見聞した(松戸市戸定歴史館所蔵)

 『論語』で誰もがよく知っている言葉がある。「温故知新」である。

2021 6/16 17:30
文化

位無きを患えず 工夫と商才で地位を得る【渋沢栄一と論語】

歩兵を集める渋沢栄一に協力するよう、備中の代官が庄屋に指示した「渋沢篤太夫廻村につき廻状」の写し(岡山県井原市教育委員会所蔵)=同市教育委員会提供

 『論語』の里仁(りじん)篇に、「自分に地位がないことを悩むな。地位を得るだけの実力がないことに悩みなさい。

2021 6/15 17:30
文化

貧窮でも心持ちは豊かに 貧にしてへつらうことなく

渋沢栄一は京都御所を守るために禁裏御守衛総督に任命されて京にいた徳川慶喜の家来となる

 『論語』の学而(がくじ)篇に、孔子と子貢(しこう)の問答で次のような章句がある。 子貢が孔子に尋ねた。

2021 6/11 17:30
文化

一を聞いて十を知る 討幕派から一転、一橋家へ

 『論語』の公冶長(こうやちょう)篇に、孔子の弟子の顔回(がんかい)という人物が一を聞いて十を知る人物であったことを知らせる対話が残っている。 孔子が弟子の子貢(しこう)に質問してみた。

2021 6/9 17:30
文化

生涯忘れなかった父の決断 孝を問う 林田愼之助

父、市郎右衛門の招魂碑。栄一は尊敬の念を忘れなかった(渋沢栄一記念館提供)

 『論語』の為政篇に、孟武伯(もうぶはく)という人がいて、孔子に向かって孝の道とはいかなるものかと尋ねる条(くだ)りがある。 孔子は孝の道について直接語らずに、「父母という者は、常に子供が病気にかかりはしないかと、そればかりを心配している」と答えている。

2021 6/8 17:30
文化

朝に道を聞かば 命を懸けて国事に奔走

渋沢栄一らが高崎城乗っ取り計画を謀議したと伝わる尾高惇忠生家2階の座敷=埼玉県深谷市(渋沢栄一記念館提供)

 中国の六朝時代の詩人に陶淵明(とうえんめい)がいる。唐代の李白、杜甫とともにわが国で親しまれている。

2021 6/3 17:30
文化

徳は孤ならず 理解者をひきつける道義 林田愼之助

亀井南冥の墓がある浄満寺。渋沢栄一は亀井南冥を高く評価していた=福岡市中央区

 『論語』の里仁篇には私が好きな章句がある。子曰(しいわ)く、徳(とく)は孤(こ)ならず、必(かなら)ず隣有(となりあ)り。

2021 6/2 17:30
文化

仁風ある故郷が育んだ人情

旧渋沢邸「中の家」主屋。血洗島は渋沢栄一を育んだ(埼玉県深谷市提供)

 渋沢栄一は天保十一年(一八四〇)、武蔵国榛沢郡(はんざわごおり)の血洗島(ちあらいじま)、現在の埼玉県深谷市に生まれている。当時は戸数五、六十戸の小さな村落であった。

2021 6/1 17:32
文化

孔子の教え、生きる指標に

日本の資本主義の礎を築いた渋沢栄一の経営哲学の柱には論語があった

 近代日本にあって資本主義を立ち上げた渋沢栄一は、根っから『論語』が好きであった。 少年期に父親に手ほどきを受けてから、生涯にわたって自分の身を修め、生きていくうえでの指針としたのが『論語』であった。

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