「書評(新刊)」 (22ページ目)
西日本新聞に掲載された新刊の書評をお届けします。
『平場の月』 朝倉かすみ 著 (光文社、1728円)
青砥健将は、検査のために訪れた病院の売店で、販売員として働く須藤葉子と再会する。中学時代、同級生の須藤に青砥は告白したものの交際を断られ、その後、交わることなくそれぞれの人生を歩いてきた。
『新選百物語 吉文字屋怪談本』 篠原進 監修、岡島由佳 翻刻・現代語訳 (白澤社/現代書館、2160円)
江戸時代の上方の版元である吉文字屋による怪談本を翻刻。挿絵のみで本文のない15話目を除く14話には、現代語訳や解説などが付く。
『まちあるき文化考 交叉する〈都市〉と〈物語〉』 渡辺裕 著 (春秋社、2592円)
映画のロケ地巡りやアニメの聖地巡礼など、コンテンツツーリズムが脚光を浴びている。本郷・無縁坂の文学散歩、小樽のロケ地巡り、世界遺産の長崎・軍艦島、音楽の都・ウィーンなどを巡り、映画や文学などの「物語」と、「土地」との重層的な関係を考察する。
『平成の終焉-退位と天皇・皇后』 原武史 著 (岩波書店、907円)
2016年8月8日の「おことば」をきっかけに、平成の終焉(しゅうえん)が始まったと著者。「おことば」に込められた天皇の思いを読み解く一方、皇太子時代から日本中をくまなく訪れて国民に直接語り掛けたスタイルを分析。
『定年前後「これだけ」やればいい』 郡山史郎 著 (青春出版社、1026円)
1935年生まれで今も現役で働く著者。これまで約3000人の再就職を見てきた人材紹介のプロが、定年前後の厳しい時期を乗り越え、人生100年時代を楽しく生きる知恵をアドバイスする。
『55歳の自己改革』 工藤公康 著 (講談社、1512円)
2014年に福岡ソフトバンクホークスの監督に就任して以来、日本シリーズで3度の優勝を果たすなど、指揮官として手腕の発揮してきた著者。「コミュニケーションと配慮を心掛けてこの1年間を戦う」という名監督が、失敗談、反省の弁と共に、組織の力を引き出すヒントを明かす。
『すべてのマンションは廃墟になる』 榊淳司 著 (イースト新書・930円)
欠陥を抱える所有形態=区分所有制度のため、ほとんどの分譲マンションは資産価値を喪失する? 建物の老朽化と機能不全に陥った管理組合の危険について、人気の住宅ジャーナリストが解説。資産ゼロ化を避ける策を提示する。
『ミレニアル世代のお金のリアル』 横川楓 著 (フォレスト出版・1620円)
少子高齢化、キャッシュレス、年金不安といった時代に生きるミレニアル世代(1980年以降生まれ)。90年生まれの著者が、同世代向けに書いたお金の知識の解説本。
『瞳のなかの幸福』 小手鞠るい 著 (文芸春秋・1836円)
35歳のカタログ雑誌編集者である彼女には、婚約を破棄された過去があった。もう忘れたはずの過去なのに、ときどき寂しい風が胸のうちを吹き抜ける…。
『ものがたりのあるものづくり』 山田敏夫 著 (日経BP社・1512円)
ネットショップ「ファクトリエ」がアパレル業界に波乱を巻き起こしている。業界ではブランドイメージを守るため、製造工場は秘密だったが、これを公開。
『ふたたび蝉の声』 内村光良 著 (小学館、1728円)
まもなく50歳になる役者の会沢進は仕事も順調で、元女優の妻、娘と東京で暮らしている。東京には、進の姉でかつて客室乗務員をしていたゆりとその家族もいた。
『死にがいを求めて生きているの』 朝井リョウ 著 (中央公論新社、1728円)
看護師の白井友里子が勤務する病院には、脳挫傷で植物状態になった南水智也が入院し、病室には献身的に見舞う堀北雄介の姿があった。看護師や大学生など一見つながりのない5人の日々を描く中で、智也と雄介の関係が次第に明らかになる。
『負けるな、届け!』 こかじさら 著 (双葉社、700円)
仕事を頑張り続け50代に突入した1カ月後、小野寺かすみは、理不尽な理由と上司の嫌がらせで、辞職に追い込まれた。失意の中、友人に誘われて何となく出掛けた東京マラソンの応援。
『中学英語は7日間でやり直せる。』 澤井康佑 著、関谷由香理 漫画 (学研プラス、1296円)
参考書作家・サワイ先生と同じ日に出版社に原稿を持ち込んだ漫画家のセキヤさん。ひょんなことで、サワイ先生を講師役に、セキヤさんは苦手な英語を学ぶ羽目に。
『現代演劇大全』 マガジンハウス 編 (マガジンハウス、2916円)
「NODA・MAP」や「劇団☆新感線」「大人計画」など、31の劇団の特色や魅力、代表的な作品を解説。藤田貴大、木ノ下裕一、長塚圭史ら12人の脚本・演出家の紹介や、演劇界の流れ、熱狂に包まれる大衆演劇の魅力についても触れる。
『日本でいちばん女性がいきいきする会社』 坂本光司・藤井正隆・坂本洋介 著 (潮出版社、1620円)
女性活躍推進法が制定されたが、大企業だけでなく、日本の企業の99.7%を占める中小企業における女性の活躍が重要と著者。女性雇用の現状と可能性について問題提起し、女性が働きやすい環境を整えている10の企業を紹介。
『機捜235』 今野敏 著 (光文社、1620円)
覆面パトカーで巡回し、事件時には初動捜査を行う機動捜査隊を舞台にした小説。公務中に負傷をした梅原に代わり、高丸の相棒として異動してきたのが定年間際の縞長だった。
『雑品屋セイゴオ』 松岡正剛 著、菊地慶矩 画 (春秋社、1944円)
月球儀にノート、大福、赤チン…。昭和20年代後半から50年代半ばまでのちょっと懐かしい、とっておきの品々を、七つの函(はこ)に見立てた各章で紹介。