文化面
掲載面

「文化面」

西日本新聞の朝刊 文化面に掲載されたニュースを提供します。

2019 10/17 5:00
文化

平野啓一郎 「本心」 連載第37回 第三章 再会

画・菅実花

「ああ、朔也(さくや)、帰ってたの? おかえり。「……。

2019 10/16 5:00
文化

平野啓一郎 「本心」 連載第36回 第三章 再会

画・菅実花

 ソファに座ったまま、手を伸ばしてボタンを押すと、言われた通りに目を閉じた。 無音になり、やがて遠くから、蝉(せみ)の鳴き声が聞こえてきた。

2019 10/14 5:00
文化

平野啓一郎 「本心」 連載第35回 第三章 再会

画・菅実花

 ソファを勧められ、僕はアイスコーヒーを注文した。 テーブルの上には、既にヘッドセットが準備されている。

2019 10/13 5:00
文化

平野啓一郎 「本心」 連載第34回 第三章 再会

画・菅実花

 結局、僕は注文通りに応じたものの、普段の仕事の方が遙(はる)かに楽だった。肉体的な負担と、精神的な負担とは、どちらが重いのだろうかと、不毛な設定の問いに、何度となく足をすくわれそうになった。

2019 10/12 5:00
文化

平野啓一郎 「本心」 連載第33回 第三章 再会

画・菅実花

 介添えなしで、視覚障害者向けのナビゲーション・アプリを使って町を歩いてみたいが、まだ不安なので、遠隔で見守っていてほしいというのだった。緊急の危険が迫っている時や、どうしても困った時には、指示を出してほしい、と。

2019 10/11 5:00
文化

平野啓一郎 「本心」 連載第32回 第三章 再会

画・菅実花

 結局、真に「幸福」な一握りの人間にとっては、その他の大半の人間が、どうにか工夫し、本心を偽りながらでも、自分は幸福だ!と信じてくれた方が、ありがたいに違いない。その方が、社会は安定するのだから。

2019 10/10 6:00
連載

【俵万智の一首一会】非正規の翼 弱者に寄り添いエール

 優しい男だな、と思う。牛丼屋といえば、時間の余裕も、お金の余裕もあまりない時に行くところ。

2019 10/10 5:00
文化

平野啓一郎 「本心」 連載第31回 第三章 再会

画・菅実花

 僕の記憶の立ち上がりは、ほとんど、現実を最後まで拒否していたかのように遅かった。小学校に入学する以前のことを、僕は何も覚えていない。

2019 10/9 5:00
文化

平野啓一郎 「本心」 連載第30回 第三章 再会

画・菅実花

 所詮(しょせん)は、本物の母を再現できるわけではない。期待しているのは、ただ、僕自身の孤独が慰められることだった。

2019 10/8 5:00
文化

平野啓一郎 「本心」 連載第29回 第三章 再会

画・菅実花

 カメラがとらえた母の表情は、次にアルバムの中で僕と再会する時には、明るく朗らかに微笑(ほほえ)み直すのだった。幸福に満ちた様子で。

2019 10/7 5:00
文化

平野啓一郎 「本心」 連載第28回 第三章 再会

画・菅実花

 野崎に渡すために、メールを確認しながら、それでも、死の前の数ヶ月分は目を通した。しかし、ジャンク・メールに紛れたそれらの大半は、他愛もない連絡事項ばかりで、意味のある内容は見当たらなかった。

2019 10/6 5:00
文化

平野啓一郎 「本心」 連載第27回 第三章 再会

画・菅実花

 母に対しては、幾つもの後悔がある。そのうちの一つは、VF(ヴァーチャル・フィギュア)によっても決して満たされない。

2019 10/5 5:00
文化

平野啓一郎 「本心」 連載第26回 第二章 告白

画・菅実花

 僕が、悪かったのだろうか? 責めるつもりではなく、ただ、母の本心が知りたかっただけだった。 母は、僕から、人生の最後の希望を奪われてしまった。

2019 10/4 5:00
文化

平野啓一郎 「本心」 連載第25回 第二章 告白

画・菅実花

 <あらすじ> 石川朔也はリアル・アバターという職業を持つ二十九歳。特別な装置を着けて依頼者の「分身」として外出する。

2019 10/3 5:00
文化

平野啓一郎 「本心」 連載第24回 第二章 告白

画・菅実花

 若松さんは、また、「ああ、……」と嘆息を漏らしたきり、無言になった。その静寂の向こうで、僕は彼が泣いているのを感じ、モニターの小窓を見ないようにした。

2019 10/2 5:00
文化

平野啓一郎 「本心」 連載第23回 第二章 告白

画・菅実花

 ホテルまでの一本道は、急勾配だった。「きついでしょう? 冬はこの辺は真っ白ですよ。

2019 10/1 7:00
文化

平野啓一郎 「本心」 連載第22回 第二章 告白

画・菅実花

 岸壁のホテルに行く前に、僕は磯辺に向かった。船着き場があり、ニシンの焼き魚定食やいくら丼を出すような店が軒を連ねている。

2019 10/1 3:00
文化

「嫌韓」の背景 中高年男性の不安、日本の存在感低下 反映 必要なのは「忍耐と寛容」

 『週刊ポスト』9月13日号の見出しが大きな問題になった。表紙には「『嫌韓』ではなく『断韓』だ 厄介な隣人にサヨウナラ 韓国なんて要らない」「『10人に1人は治療が必要』(大韓神経精神医学会)-怒りを抑制できない『韓国人という病理』」という文字が並び、批判が湧きあがった。

2019 10/1 3:00
文化

阿部和重「オーガ(ニ)ズム」/古川真人「背高泡立草」/太田靖久「アフロディーテの足」

 阿部和重の最新長編『Orga(ni)sm[オーガ(ニ)ズム]』の刊行を記念して、同作の連載誌だった「文學界」10月号が特集を組んでいる。『オーガ(ニ)ズム』は、一九九九年に連載が開始され二〇〇三年に刊行された『シンセミア』、一〇年の『ピストルズ』に続く「神町(じんまち)トリロジー(三部作)」の第三部完結編である。

2019 9/30 7:00
文化

平野啓一郎 「本心」 連載第21回 第二章 告白

画・菅実花

 僕は、駅から彼と一体化していたが、あの病床の老人も、若い頃はいつもここを上り下りしていたのだ、というようなことを、少し息を切らしながら考えた。 平日の白昼は、見慣れぬ余所者(よそもの)の闖入(ちんにゅう)に、ひっそりと息を凝らしていた。

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