文化面
掲載面

「文化面」 (51ページ目)

西日本新聞の朝刊 文化面に掲載されたニュースを提供します。

2020 1/7 5:00
文化

平野啓一郎 「本心」 連載第115回 第七章 転機

画・菅実花

 警察署での事情聴取は、半日がかりで行われ、僕はそこで、岸谷が、件(くだん)の前財務大臣襲撃事件の容疑者として捜査されていることを知った。 逮捕されたのは、その二日後のことである。

2020 1/5 5:00
文化

平野啓一郎 「本心」 連載第114回 第七章 転機

画・菅実花

 <あらすじ> 石川朔也は、生前の母の友人でVF(ヴァーチャル・フィギュア)の<母>の学習を手伝う三好彩花から、母が本当の父について話していないことを悩み、作家・藤原亮治とは親しい間柄だったようだと告げられた。<母>と前財務大臣襲撃の話をした翌日、同僚の岸谷について話を聴きたいと二人の刑事が訪ねて来た。

2020 1/4 5:00
文化

平野啓一郎 「本心」 連載第113回 第七章 転機

画・菅実花

 前財務大臣は、財界人数名と、会食のために港区のレストランに到着したところで、爆薬を装着したドローンに狙われたらしかった。昨今、幾つかの国で実際に用いられた手口だったが、日本では初めてだった。

2020 1/3 5:00
文化

平野啓一郎 「本心」 連載第112回 第七章 転機

画・菅実花

「庶民がこれだけ苦しい生活を強いられてたら、そういう人も出てくるでしょう。 僕は、ニュースだけではなく、そこに寄せられたコメントまで学習してしまったらしい<母>のその言葉に動揺した。

2020 1/2 5:00
文化

平野啓一郎 「本心」 連載第111回 第六章 嵐のあとさき

画・菅実花

 なぜ、母の生前に読まなかったのだろうか。 ソファで膝を抱えたまま、窓ガラスに打ちつける激しい風雨を眺めていた。

2020 1/1 5:00
文化

平野啓一郎 「本心」 連載第110回 第六章 嵐のあとさき

画・菅実花

 たとえ欺(だま)されていたとしても、誰かを好きだという気持ちのまま、死ぬことが出来たのなら本望だろうと羨(うらや)む意見もあった。 他方、死んだ芸人の親しい友人は、彼は元々女好きで、そんな風に連絡を取っている相手が他に何人もいた。

2019 12/31 5:00
文化

平野啓一郎 「本心」 連載第109回 第六章 嵐のあとさき

画・菅実花

 車に跳ね飛ばされた彼の顔は、描写されない。ただ、既に死体となってしまったかのように無力な体が、急停車したバンパーの先で地面に叩(たた)きつけられる。

2019 12/30 5:00
文化

平野啓一郎 「本心」 連載第108回 第六章 嵐のあとさき

画・菅実花

 晴れた日で、歩道の右手は浜辺もなくすぐに海で、低いコンクリートの堤防の下には、荒い潮が打ち寄せていた。 それから、少し歩いたところで、唐突に大きな波が打ち寄せてきたのだった。

2019 12/29 5:00
文化

平野啓一郎 「本心」 連載第107回 第六章 嵐のあとさき

画・菅実花

 愚かだが素朴で、美貌であり、言い知れず不憫(ふびん)で、藤原が影響を受けたという、モーパッサンの短篇(たんぺん)に出てくるような女性だった。 人を介して彼と出会い、偶然を装って再会し、デートを重ねる。

2019 12/28 5:00
文化

平野啓一郎 「本心」 連載第106回 第六章 嵐のあとさき

画・菅実花

 <母>は同情している様子だった。恐らくは、生前も母には話していて、それを知ってもらわなければ、彼女にとって<母>は母らしくはないのだった。

2019 12/27 5:00
文化

平野啓一郎 「本心」 連載第105回 第六章 嵐のあとさき

画・菅実花

 避難の必要もなく、僕が部屋にいられるのは、母が遺(のこ)してくれたこの家のお陰(かげ)だった。 岸谷の身を案じていたが、それにも耐えかねて、僕はヘッドセットをつけて<母>に呼びかけた。

2019 12/26 5:00
文化

平野啓一郎 「本心」 連載第104回 第六章 嵐のあとさき

画・菅実花

「俺はやってないよ。「警察に家宅捜索されたけど、何にも出てこなかったから、それで終わり。

2019 12/25 5:00
文化

平野啓一郎 「本心」 連載第103回 第六章 嵐のあとさき

画・菅実花

 絨毯爆撃(じゅうたんばくげき)という言葉があるが、きめ細かな巨大な雨のシートが、絶え間なく上から落ちてくるようで、僕は灰色の空を背に、風に強く煽(あお)られて翻るその一枚一枚を、窓辺で飽かずに眺めた。 直撃は水曜日の午後二時とされていて、交通機関は朝からすべてストップしていた。

2019 12/24 5:00
文化

平野啓一郎 「本心」 連載第102回 第六章 嵐のあとさき

画・菅実花

 事前に安全な場所に避難する人たちもいて、ニュースでは、毎年この時季は、海外で過ごすという富裕層の事例も紹介された。尤(もっと)も、彼らの東京の住まいは、そもそも避難を必要としない場所にあるはずで、ネットでは散々な叩(たた)かれようだったが。

2019 12/23 5:00
文化

平野啓一郎 「本心」 連載第101回 第六章 嵐のあとさき

画・菅実花

 三好は、そう言って笑った。「きれいですよ、三好さんは。

2019 12/22 5:00
文化

平野啓一郎 「本心」 連載第100回 第六章 嵐のあとさき

画・菅実花

 思想は必ずしも、それを信じている人間を通じて伝播(でんぱ)していくのではないのだった。「わたしは、辛(つら)いな、そんなこと言われると。

2019 12/21 15:44
読書

『運河堀川』 桟比呂子 著 (海鳥社・1980円)

『運河堀川』 桟比呂子 著 (海鳥社・1980円)

 北九州市の洞海湾と遠賀川を結ぶ全長12キロの運河・堀川。暴れ川だった遠賀川の治水と用水のため、黒田長政が開削に着手。

2019 12/21 15:41
読書

『漱石とハーンが愛した熊本』井上智重 著(熊本日日新聞社・1375円)

『漱石とハーンが愛した熊本』井上智重 著(熊本日日新聞社・1375円)

 熊本ゆかりの文豪2人の足跡を、見てきたかのような臨場感で描く小説風エッセー。膨大かつ複雑な人間関係の描写に圧倒されるが、特に興味深いのは漱石をめぐる人脈図。

2019 12/21 15:38
読書

『マグロの最高峰』 中原一歩 著 (NHK出版・990円)

 正月の競りで一匹3億円超の史上最高値が飛び出した本マグロ。本書は「人生観を変える」本当にうまいマグロとの出会いを求めた著者(佐賀県出身)が食のプロたちを追いかけてきた記録。

2019 12/21 5:00
文化

平野啓一郎 「本心」 連載第99回 第六章 嵐のあとさき

画・菅実花

 「うん。知り合いっていう以上じゃないかと思う。

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