文化面
掲載面

「文化面」 (58ページ目)

西日本新聞の朝刊 文化面に掲載されたニュースを提供します。

2019 11/4 5:00
文化

平野啓一郎 「本心」 連載第54回 第五章 “死の一瞬前”

画・菅実花

 <母>と対話し、学習に協力してもらうかどうかはともかく、僕は、母の内心をそれぞれに違った立場でよく知っていたであろう二人の人物と、面会の約束を取りつけた。 一人は、富田という名の母の主治医だった。

2019 11/3 6:00
文化

「累骨の谷」を読み解く ビルマ戦記を追う<3>

「累骨の谷」(旺史社)

 この質問に対して多くの人は「ビルマの竪琴」と答えるだろう。私も同じである。

2019 11/3 5:00
文化

平野啓一郎 「本心」 連載第53回 第五章 “死の一瞬前”

画・菅実花

 むしろ、僕は<母>に怒鳴り声を上げてしまったことに、罪悪感を抱いていた。かわいそうなことをしたと胸を痛めていて、出来れば謝りたかった。

2019 11/2 14:07
読書

『東京凸凹散歩』 大竹昭子 著 (亜紀書房・1980円)

 2012年刊行の「日和下駄(げた)とスニーカー」を最新情報に合わせて改稿し、新稿を加えた極上の散歩エッセー。永井荷風の名随筆「日和下駄」を参考に、坂と丘と谷の街である東京を探り歩く。

2019 11/2 14:06
読書

『貧困専業主婦』 周燕飛 著 (新潮選書・1320円)

 妻がパートの共働き世帯よりも、専業主婦のいる世帯の方が貧困率が高い-。こんな驚きの調査結果を労働問題の研究者が導き出した。

2019 11/2 14:05
読書

『書物のエスプリ』 山田登世子 著 (藤原書店・3080円)

 福岡県田川市出身で2016年に亡くなったフランス文学者の未収録文集。書物をめぐるエッセーと各紙誌に発表した120本もの書評を「文学・思想」「歴史・社会」「風俗・モード・性」に分けて収録。

2019 11/2 14:03
読書

『怪人熊楠、妖怪を語る』 伊藤慎吾、飯倉義之、広川英一郎 著 (三弥井書店・2530円)

『怪人熊楠、妖怪を語る』 伊藤慎吾、飯倉義之、広川英一郎 著 (三弥井書店・2530円)

 著者の一人は強調する。多くの民俗学者にとって妖怪の正体なぞ何でも構わないし存在しなくても支障ないが「南方熊楠は違う」。

2019 11/2 13:56
読書

『不知火のほとりで 石牟礼道子終焉記』 米本浩二 著 (毎日新聞出版・1980円)

 昨年、90歳で亡くなった作家石牟礼道子さん。縁あって「密着取材」と「渾身介護」を続けた著者(毎日新聞記者)は病床で、自分でも気付かないまま「道子ォ、道子ォ」と絶叫していたという。

2019 11/2 13:55
読書

『南の島のよくカニ食う旧石器人』 藤田祐樹 著 (岩波書店・1430円) 

『南の島のよくカニ食う旧石器人』藤田祐樹著(岩波書店・1430円)

 日本の旧石器人といえば、穂先が石器のやりを手に大型獣を狩るイメージを抱きがちだが、沖縄島南部のサキタリ洞遺跡で暮らした人々はだいぶ様子が違ったようだ。貝製釣り針で魚を捕まえ、秋には旬のモクズガニを堪能していたことが分かっている。

2019 11/2 6:00
文化

「ビルマ戦線雑兵譚」を読み解く ビルマ戦記を追う<2>

「ビルマ戦線雑兵譚」(光和堂)

 戦記は戦いの記録である。しかし個人の体験は「異世界に放り込まれた記録」と見なすこともできる。

2019 11/2 5:00
文化

平野啓一郎 「本心」 連載第52回 第四章 再開

画・菅実花

「違うよ、そんなことを今確認しようとしてるんじゃないんだよ! そういうことを考えたり、誰かと話したことがなかったかって、そのことを訊(き)いてるんだよ。……安楽死っていうのは、自分で自分の人生をお終(しま)いにすることだよ! 辞書にも載ってる。

2019 11/1 6:00
文化

「西機関・ビルマを征く」を読み解く ビルマ戦記を追う<1>

「西機関・ビルマを征く」

 戦記を五十作紹介するといっても簡単ではない。私も小説を書く人間である。

2019 10/31 5:00
文化

平野啓一郎 「本心」 連載第51回 第四章 再開

画・菅実花

 最後の三年間の母との関係は、僕に決してかつてのような安らぎを与えてはくれなかった。 僕は、自分の矛盾を自覚していた。

2019 10/30 5:00
文化

平野啓一郎 「本心」 連載第50回 第四章 再開

画・菅実花

「家に呼びたくないんじゃないかな。「朔也(さくや)が呼んであげれば。

2019 10/29 5:00
文化

平野啓一郎 「本心」 連載第49回 第四章 再開

画・菅実花

 食事のスキャニングには問題があり――<母>が僕と同じものを食べている、という感じには、なかなかならなかった――、夕食は、一人で済ませることが多くなった。<母>との会話の時間は、就寝前に持つことが増えた。

2019 10/28 5:00
文化

平野啓一郎 「本心」 連載第48回 第四章 再開

画・菅実花

 この蝉(せみ)も、木ではなく、減算時計の針の上に留まって鳴いているのだった。そのことに、卒然(そつぜん)と気づいたかのように、次の瞬間、蝉は唐突に飛び去ってしまった。

2019 10/27 5:00
文化

平野啓一郎 「本心」 連載第47回 第四章 再開

画・菅実花

 母の死後、二年も減っていた僕の寿命は、今朝は九日延びていた。<ライフプラン>の寿命計算の精度に関しては、折々、批判が出て、中には「占い並(なみ)」だと言う人もいる。

2019 10/26 5:00
文化

平野啓一郎 「本心」 連載第46回 第四章 再開

画・菅実花

 以前も引き受けたことのある仕事で、依頼人は、大変な富豪らしいが、礼儀正しい人物だった。 時計に目を遣(や)って、僕は、四十三分間という、この電車に乗っている時間のことを考えた。

2019 10/25 5:00
文化

平野啓一郎 「本心」 連載第45回 第四章 再開

「画・菅実花

 同僚の岸谷の影響も、幾らかあると思う。決して口には出さないが、彼は明らかに憎悪の感情に苦しんでいる。

2019 10/24 5:00
文化

平野啓一郎 「本心」 連載第44回 第四章 再開

画・菅実花

 この路線も、かつては毎朝、寿司詰(すしづ)めの状態だったというのは、沿線の高齢者が口を揃(そろ)えて言うことだった。郷愁にも、瑞々(みずみず)しいものと、どことなく干からびたようなものとがあるが、きっとその記憶が含んでいた汁気を、寄って集(たか)って吸い尽くしてしまったせいなのだろう。

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