文芸時評
連載

「文芸時評」

「文芸時評」に関するこれまで扱われたニュース一覧を最新順に掲載しています。

2019 10/1 3:00
文化

阿部和重「オーガ(ニ)ズム」/古川真人「背高泡立草」/太田靖久「アフロディーテの足」

 阿部和重の最新長編『Orga(ni)sm[オーガ(ニ)ズム]』の刊行を記念して、同作の連載誌だった「文學界」10月号が特集を組んでいる。『オーガ(ニ)ズム』は、一九九九年に連載が開始され二〇〇三年に刊行された『シンセミア』、一〇年の『ピストルズ』に続く「神町(じんまち)トリロジー(三部作)」の第三部完結編である。

2019 9/1 3:00
文化

千葉雅也「デッドライン」/山下澄人「月の客」

 「デッドライン」(「新潮」9月号)は、哲学者・批評家の千葉雅也の小説デビュー作である。ジル・ドゥルーズを研究対象とする修士論文の提出期限(=デッドライン)を控えたゲイの大学院生である「僕」(他人が呼ぶときは「◯◯」と伏せ字になっている)の苦闘と苦悩の日々を、これまでの千葉の著作とも共通する明晰(めいせき)な屈折ともいうべき考え抜かれた文体で描いた作品で、主人公のプロフィールはかなりの部分まで作者自身と重なっている。

2019 8/1 3:00
文化

今村夏子の芥川賞 マルチ小説誌から受賞は地殻変動? 村上春樹の最新短編 「私小説」か。作家自身の素が表れる

 第161回芥川賞は、今村夏子「むらさきのスカートの女」(「小説トリッパー」春号)に決まった。三度目の候補作での受賞だが、私も今回は獲(と)るだろうと思っていた。

2019 7/1 3:00
文化

高山羽根子「如何様」/芳川泰久「ラップ 最後の旅」

 「如何様(いかさま)」(「小説トリッパー」夏号)は、「カム・ギャザー・ラウンド・ピープル」(「すばる」5月号)で7月17日に決定される第161回芥川賞の候補に挙げられている高山羽根子の新作中編である。物語の舞台は先の戦争が終わって間もない頃、記者をしながら探偵のようなこともやっている女性の「私」は、知り合いの榎田から奇妙な仕事を依頼される。

2019 6/1 3:00
文化

石倉真帆「そこどけあほが通るさかい」/古市憲寿「百の夜は跳ねて」

 第32回三島由紀夫賞は、三国美千子「いかれころ」(「新潮」2018年11月号)に決まった。この作品については初出時に取り上げたので詳しくは触れないが、昭和五十八年(一九八三年)の大阪、河内を舞台に、長年農業を営む旧家の四歳の娘の視点から、家族や親類の悲喜こもごもの挿話が瑞々しい筆致で語られる。

2019 5/1 3:05
文化

「たべるのがおそい」終刊号/片岡義男「窓の外を見てください」

 平成最後の月は、月刊の四誌(「群像」「新潮」「すばる」「文学界」)に加えて、季刊の「文藝」、隔月刊の「三田文学」、年二回の「たべるのがおそい」の刊行が重なって、はからずも主要な文芸雑誌の揃(そろ)い踏みとなった。しかも「文藝」はリニューアル号、「たべるのがおそい」は終刊号である。

2019 4/1 3:05
文化

町屋良平「ショパンゾンビ・コンテスタント」/今村夏子「むらさきのスカートの女」

 「新潮」4月号に早くも町屋良平の芥川賞受賞第一作「ショパンゾンビ・コンテスタント」が掲載されている。とはいえ長さとタイミングからしておそらく受賞以前に書き進められていたものだろう。

2019 3/1 3:05
文化

千葉雅也「平成の身体」/古川日出男「三たび文学に着陸する」

 いよいよ文芸誌の世界でも平成の終わりが始まった。今月はまず「文學界」3月号に「シリーズ『平成考』3」として哲学者の千葉雅也による論考「平成の身体」が載っている。

2019 2/1 3:05
文化

2人受賞の第160回芥川賞 赤井浩太「日本語ラップ feat.平岡正明」

 第160回芥川賞は、上田岳弘「ニムロッド」(「群像」12月号)と町屋良平「1R1分34秒」(「新潮」11月号)に決まった。どちらもこの欄では取り上げなかったので、今回触れておきたい。

2019 1/1 3:05
文化

文芸誌の新年号 存在感増す多和田葉子 新連載、対談など4誌に登場/小山田浩子の2作 言葉によって日常から異界へ

 文芸誌は、季刊の「文藝」を除き、12月に1月号が発売される。かつては新年号らしい特集が組まれることが多かったが、近年はその傾向が弱まってきたようである。

2018 12/1 3:05
文化

高橋弘希「アジサイ」/岸政彦「図書室」/長崎健吾「故郷と未来」

 「アジサイ」(「新潮」12月号)は、「送り火」で第159回芥川龍之介賞を射止めた高橋弘希の受賞第1作である。「妻が家を出てから、庭にアジサイが咲いた」という一文から始まるのだが、ある意味で物語はこの最初の文章を延々と堂々巡りして終わる。

2018 11/1 3:05
文化

三国美千子「いかれころ」/須賀ケイ「わるもん」/日上秀之「はんぷくするもの」/山野辺太郎「いつか深い穴に落ちるまで」

 文芸誌三誌で新人賞が発表された。まず新潮新人賞の三国美千子「いかれころ」(「新潮」11月号)は、昭和58年、ということは今から35年前の大阪、河内で農業で生計を立てている旧家を舞台に、当時四歳の奈々子の視点から、家族や親族のさまざまな相克が描かれる。

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