食べる本、読む料理
連載

「食べる本、読む料理」

歌集「王者の道」などで数々の文学賞を受けてきた大分県竹田市出身の川野里子さん。海外で暮らした経験や歌人としての感性を生かし、小説に登場する料理から人類の未来までテーマ豊かに思いを巡らせます。

2022 1/21 17:30
文化

ビーツに染まる【食べる本、読む料理 川野里子32】

食べる本、読む料理

 チェーホフの短編「かわいい女」は皮肉な小説だ。自分の考えを持たず、結婚した相手に染まる<かわいい女>オーレンカ。

2022 1/20 17:30
文化

魔法のキャベツ【食べる本、読む料理 川野里子31】

食べる本、読む料理

 子供のころの記憶は魔法がかかったようにあちこちとぎれとぎれで脈絡なく、しかし妙に鮮明だ。幼稚園のころ、かっちゃんという男の子がいて、いつも不思議なことをする子だった。

2022 1/19 17:30
文化

パン種を渡す【食べる本、読む料理 川野里子30】

食べる本、読む料理

 ある日、母から奇妙なものが送られてきた。封筒から出てきたのは白く乾いた小麦粉団子の欠片(かけら)だ。

2022 1/18 17:30
文化

ジャングルとタピオカ【食べる本、読む料理 川野里子29】

食べる本、読む料理

 いつか行こうと思っていた駅前のタピオカ・ドリンクの店が消えた。あ、できたな、と思ったらもうない。

2022 1/17 17:30
文化

パライソの食べ物【食べる本、読む料理 川野里子28】

食べる本、読む料理

 天草のドライブインでのことだ。窓の外には青い海が広がり、イルカが通るかも、などと笑い声が聞こえる。

2022 1/14 17:30
文化

五穀への改心【食べる本、読む料理 川野里子27】

食べる本、読む料理

 人間ドックの結果が出るとしばらく謙虚な気持ちになる。さまざまな不摂生が数字に表れ、自分の体の危うさに気づく。

2022 1/13 17:30
文化

蕨の根を掘る【食べる本、読む料理 川野里子26】

食べる本、読む料理

 食べ物のなかにはなぜこんなものまで食べることになったのか、と思わずにはいられないものがある。わらび餅もその一つだ。

2022 1/12 17:30
文化

ソーセージと少女【食べる本、読む料理 川野里子25】

食べる本、読む料理

 アメリカのソーセージははっきり言って不味(まず)い。バーベキューをする時、ホットドックにして食べるのが定番らしい。

2022 1/11 17:30
文化

消えた水牛【食べる本、読む料理 川野里子24】

食べる本、読む料理

 何を食べ、何を食べないのか。これはかなり難しい問題だ。

2022 1/10 17:30
文化

鶴の吸い物【食べる本、読む料理 川野里子23】

食べる本、読む料理

 イザベラバードの『日本紀行』は明治初期に日本の内陸と北海道を旅したイギリス人女性の紀行だ。カヌーに乗って会津から新潟に抜ける冒険なども面白いが、食文化の観察も面白い。

2022 1/7 17:30
文化

牛はいつ食べるのか【食べる本、読む料理 川野里子22】

食べる本、読む料理

 イタリアの北部、峻険(しゅんけん)なアルプス山脈の根本のあたりにソンドリオ村がある。隣はスイスだ。

2022 1/6 17:30
文化

裸で食べる【食べる本、読む料理 川野里子21】

食べる本、読む料理

 ナイフとフォークを使って骨付きチキンをどう食べるのか。太宰治の『斜陽』にはこの問題を鮮やかに解決している「お母さま」がいる。

2021 12/28 17:30
文化

ジャングルの果実【食べる本、読む料理 川野里子20】

食べる本、読む料理

 妊娠している時というのはなぜかたくさんのタブーが押し寄せてくる。曰(いわ)く、箒(ほうき)をまたぐと難産になる。

2021 12/27 17:30
文化

義眼とバナナ【食べる本、読む料理 川野里子19】

食べる本、読む料理

 どこの家族にも一人くらい伝説の人物がいるものだが、わたしの場合大叔父がそうだ。左目が義眼で八十歳代になっても笑顔がチャーミングな陽気な人だった。

2021 12/24 17:30
文化

パパイヤのなます【食べる本、読む料理 川野里子18】

食べる本、読む料理

 小川糸の『つるかめ助産院』は楽園の物語である。それも妊婦たちの。

2021 12/23 17:30
文化

荘厳なる無駄【食べる本、読む料理 川野里子17】

食べる本、読む料理

 「バナナは実は変質せる果実であって、本当は果実本然の役目は勤まらない果実だ、つまり変態果実なのである」。牧野富太郎はエッセイ集『なぜ花は匂(にお)うか』のなかで種を作らないバナナをこのように書く。

2021 12/21 17:30
文化

揚げバナナの香【食べる本、読む料理 川野里子16】

食べる本、読む料理

 ガルシア・マルケスの『百年の孤独』にはどこにも揚げバナナの香りが漂っている。南米の強い太陽と揚げバナナの濃厚な香りが書かせた物語、そう思ってきた。

2021 12/20 17:30
文化

鶏三羽鵞鳥二羽【食べる本、読む料理 川野里子15】

食べる本、読む料理

 学生の頃、お金がなくなるとパンの耳にマヨネーズをつけて食べていた。それだけでは飽きるし、いかにも寂しいので小説の美味(おい)しそうな場面を読みながら食べ続けた。

2021 12/17 17:30
文化

六メートルの大鍋【食べる本、読む料理 川野里子14】

食べる本、読む料理

 忘れ難いのは芋煮である。里芋が中心の鍋で、他に玉蒟蒻(こんにゃく)と、葱(ねぎ)、牛肉を入れ醤油(しょうゆ)味で煮る。

2021 12/16 17:30
文化

闇鍋のなかで【食べる本、読む料理 川野里子13】

食べる本、読む料理

 何が入っているのか分からない。スープとかシチューの類にはそういう性質があって惹(ひ)きつけられる。

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