
「提論」
地域の自立、アジアを展望した発展の道筋について、九州に住むわたしたちはどのように向き合い、考えていけばよいのか。郷土ゆかりの著名人・有識者が課題を読み解き、今後の展望を描く。
【GSOMIAの地政学】 姜 尚中さん
憂慮されていた日韓の軍事情報包括保護協定(GSOMIA=ジーソミア)失効が土壇場で覆され、継続されることになった。ひとまず一服というところだが、早くも協定破棄「停止」の条件を巡る認識の食い違いが露呈し、外交的な応酬が始まっている。
【芸術とは何か?】 平野 啓一郎さん
アメリカの哲学者ダントーが、『アートワールド』という論文を書いたのは、1964年のことである。執筆の動機は、ウォーホルの展覧会で、展示されていたハインツのケチャップなどを、鑑賞者が「こんなのは芸術じゃない!」と否定する様を見たからだという。
【ラグビーW杯に学んだ】 藻谷 浩介さん
ラグビーワールドカップ(W杯)日本大会が終わった。九州では福岡、熊本、大分の3会場で計10試合があり、北九州市などキャンプ地として海外チームと交流を深めた地域も多かった。
【社会の転換期と若者】 宮本 雄二さん
司馬遼太郎は「坂の上の雲」で明治期の若者の夢と希望と使命感を描いた。明治期の日本は、古いものを壊し、新しいものを創造しなければならない「大激動の時代」だった。
【W杯「ワンチーム」】 徳増 浩司さん
日本全土に感動と興奮をもたらしてきたラグビーワールドカップ(W杯)日本大会もいよいよ大詰めを迎える。国際統括団体ワールドラグビーのビル・ボーモント会長は、アジアで初開催となった今大会の盛り上がりについて、「世界中でこれほどの多くのファンを巻き込んだという点でも、これまでのベストの大会」と表明した。
【北朝鮮と日韓対立】 姜 尚中さん
島根県沖の日本の排他的経済水域(EEZ)に落下したとみられる北朝鮮の新型ミサイルは、改めて北朝鮮の挑発を印象付けた。しかも北朝鮮はこれを潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)の「北極星3」と発表し、日韓の防空体制に大きな不安の波紋を広げている。
【韓国元徴用工問題】 平野啓一郎さん
新日鉄住金(現日本製鉄)元徴用工訴訟に対する韓国大法院(最高裁)判決以降、メディアは「嫌韓」を煽(あお)りに煽ったが、一旦(いったん)、相手が悪いとなると、ここまで品性をかなぐり捨てるのかと、私は不気味なものを感じた。 原告4人が徴用工となった経緯は、悲惨という他ない。
【新幹線は起爆剤か】 藻谷 浩介さん
7月末の当欄に「韓国人観光客が減って九州の誰が得をするのだろう」と書いた。その後の事態は、九州の多くの集客交流関係企業が、大きな売り上げ減少を被るところまで悪化している。
【ラグビーW杯本番迫る】 徳増 浩司さん
ラグビーワールドカップ(W杯)日本大会が、いよいよ20日に開幕する。桜のジャージーに身を包んで戦う日本代表31人も決まり、全国12の開催都市で街頭バナーやのぼり旗などが飾られた。
【ウェルビーング予算】 松田 美幸さん
「ウェルビーング」という言葉は、1948年に発効した世界保健機関憲章に登場する。健康を定義する際の表現で、「肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、満たされた良い状態」を指す。
【日韓関係悪化】 姜 尚中さん
輸出手続きの簡略化を定めた「ホワイト国(優遇対象国)」のリストから韓国を除外する2日の閣議決定以降、日韓関係は制御不能の危機に陥りつつある。韓国内では核心的な産業を狙い撃ちにした日本側の報復という見方が広がり、日本の仕掛けた「貿易戦争」、さらには「経済侵略」というセンセーショナルな受け止め方も見られるようになった。
【九州出身の2リーダー】 徳増 浩司さん
いよいよ開幕まで70日余りとなったアジア初開催のラグビーワールドカップ(W杯)日本大会。真っ最中の博多祇園山笠では、W杯をあしらった飾り山が披露され、世界三大スポーツイベントの機運盛り上げに一役買っている。
【地域と「関係人口」】 松田 美幸さん
政府は「第2期まち・ひと・しごと創生総合戦略」(2020~24年度)の基本方針に、定住や観光と異なり、特定の地域と継続的に関わる「関係人口」の拡大を掲げた。 言葉の聞こえはよくても、地方の人口減少は止まらないとの厳しい指摘はあろう。