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国営諫早湾干拓事業と開門問題

 農地確保と低地の高潮対策を目的に、有明海西部の諫早湾を全長7キロの潮受け堤防で閉め切り、672ヘクタールの干拓農地と、農業用水を供給する調整池2600ヘクタールを整備した。総事業費2530億円。1989年に着工、2008年に営農開始。堤防の南北2カ所に排水門があり、調整池の水位を一定に保つため、随時海に排水している。  事業が原因で不漁になったとして漁業者側は開門を主張、営農者側は農業被害が出るとして対立し複数の訴訟が起こされた。2010年12月に福岡高裁が5年間の開門調査を命じ、国が上告せず確定。一方、長崎地裁は仮処分(13年11月)や判決(17年4月)で開門差し止めを命じた。最高裁は6月、2件の訴訟で漁業者の訴えを退け、開門を認めない判断も確定。司法判断がねじれてきた。

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諫干訴訟高裁に差し戻し 最高裁判決 漁業権消滅を否定

 国営諫早湾干拓事業(長崎県諫早市)の潮受け堤防排水門の開門を命じた確定判決を巡り、開門を強制しないよう国が漁業者側に求めた「請求異議訴訟」の上告審判決で、最高裁第2小法廷(菅野博之裁判長)は13日、開門命令を事実上「無力化」させた二審福岡高裁判決を破棄し、審理を高裁に差し戻した。裁判官4人全員一致の意見。

 諫干事業を巡っては、漁業不振の原因究明のために開門を求める漁業者側と、反対する営農者側が複数の訴訟を提起。開門を命じた2010年の福岡高裁確定判決と、開門差し止めを命じた長崎地裁判決などの相反する判断が併存してきた。最高裁は今年6月、長崎地裁の差し止め訴訟を含む2件で漁業者側の上告を退け「非開門」の判断を確定させたが、司法の統一判断は先送りされる形となった。

 一方で、菅野裁判長は判決や個別意見で、開門確定判決について「将来予測に基づくもので暫定的。判断の前提とした漁獲量の減少などは可変的、流動的で時の経過により変動する可能性がある」と指摘。今後は国の訴えを認める余地がある可能性を示唆した。

 請求異議訴訟は、開門義務を負った国が、その後の司法判断などによる「事情の変更」を理由に開門の強制執行を禁止するよう求めたもの。一審佐賀地裁は国の訴えを退けたが、昨年7月の二審福岡高裁は、10年ごとに更新が必要な漁業者の共同漁業権が有効期限(13年8月)の経過で消滅し、開門を求める権利も失われたとして、開門の強制執行を認めない判決を言い渡していた。

 最高裁は、開門確定判決が3年の猶予期間の後の「5年間の開門継続」を命じたことを踏まえ「漁業権が更新されることを前提としており開門請求権も消滅していない」と判断。その上で、将来予測に基づいた開門確定判決の特殊性を踏まえ、諫早湾を巡る事情の変化により「判決に基づく(開門の)強制執行が『権利の乱用』に当たるかどうかなどについて審理を尽くすべきだ」とした。 (金沢皓介、鶴善行)

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■「解決和解しかない」

 開門を求める漁業者側の馬奈木昭雄弁護団長の話 不当な福岡高裁判決を打ち破った極めて常識的な判決。最高裁は良識ある判断を示したと安堵(あんど)している。差し戻しは「和解の場所をつくってあげた」という最高裁のメッセージだと思う。開門問題は和解による話し合いでしか解決しない。福岡高裁では徹底した議論を求めていく。

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【ワードBOX】国営諫早湾干拓事業と開門問題

 農地確保と低地の高潮対策を目的に、有明海西部の諫早湾を全長7キロの潮受け堤防で閉め切り、672ヘクタールの干拓農地と、農業用水を供給する調整池2600ヘクタールを整備した。総事業費2530億円。1989年に着工、2008年に営農開始。堤防の南北2カ所に排水門があり、調整池の水位を一定に保つため、随時海に排水している。

 事業が原因で不漁になったとして漁業者側は開門を主張、営農者側は農業被害が出るとして対立し複数の訴訟が起こされた。2010年12月に福岡高裁が5年間の開門調査を命じ、国が上告せず確定。一方、長崎地裁は仮処分(13年11月)や判決(17年4月)で開門差し止めを命じた。最高裁は6月、2件の訴訟で漁業者の訴えを退け、開門を認めない判断も確定。司法判断がねじれてきた。

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