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市民後見人

 弁護士などの専門家以外で、自治体や社会福祉協議会が開く養成講座を修了し、家庭裁判所から後見人などに選任された人。法人として後見業務を担う社協にスタッフとして所属し、活動する例もある。報酬は利用者の財産から支払われ、家裁に請求を申し立てると、家裁が支払いの要否や金額を決める。最高裁によると、2018年の市民後見人の選任は320件(17年は289件)。

※ワードの説明及び記事の内容は更新日のものです。

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有償?無償?市民後見人の活動 成年後見制度、各地で対応割れる

 認知症などで判断能力が衰えた人を支える成年後見制度で、利用者の財産管理や生活支援を担う専門家以外の「市民後見人」の活動について、福岡家庭裁判所が「ボランティア精神が前提」との考えを自治体などに伝えている。市民後見人は民法上、報酬を得ることができるが、有償か無償かは明確な規定がないため各地で対応が異なる。高齢化で制度の需要が増す中、支え手となる市民の対価をどうするのか。識者は早急な議論を呼び掛けている。

福岡家裁「ボランティア精神を前提」

 福岡家裁は制度利用を促すため、市民後見人の活用を決め、養成講座を開く福岡県の自治体や社会福祉協議会に本年度から協力を求めている。文書や担当者との面談で要請している。

 この文書で、市民後見人の定義を「ボランティア精神を前提として、家庭裁判所から成年後見人等として選任される者」などと記述。市民後見人が利用者を負傷させた場合などに備え、損害賠償保険に加入しておくことも求めた。交通費や電話代といった経費の取り扱いには触れていない。

 民法は後見人の報酬に関し、家裁が利用者の財産から報酬を後見人に与えることができると定める。ボランティアは無償の意味があり、福岡家裁は「市民後見人の選任は、利用者に法律上の課題がなく、親族など身近な人がいないケースが考えられる。こうした人は報酬支払いに充てる資産がないことがあり、『ボランティア精神を前提』と記載した」と説明。市民後見人に対し、報酬請求を家裁に申し立てないよう求める趣旨ではないという。

 一方、要請を受けた関係者は「市民後見人は報酬を請求せず、無償で活動する考え方だと感じた。責任を伴う業務のため、無報酬ではなり手は増えない」と疑問を呈している。

 市民後見人の報酬に関する法令上の規定は民法しかなく、各地で対応は異なる。

 横浜市や兵庫県明石市は有償にしており、市民後見人に家裁への報酬付与の申し立てをしてもらっている。損害賠償保険料は、横浜市では市民後見人が個人で負担し、明石市は市社協に設けた成年後見制度に関する基金から支払う。

 大阪市や名古屋市は無償が原則で、市民後見人に家裁への報酬請求をしないよう理解を求めている。交通費などの経費は利用者に負担してもらい、損害賠償保険料は市側が出す。

 福岡家裁によると、管内で市民後見人が個人で後見人に選任されたのは1件のみ。市民の担い手を増やす上で、報酬の取り扱いが課題になっている。(編集委員・河野賢治)

「原則無償と言い切れるか」

山野目章夫・早稲田大大学院教授(民法) 市民後見人は民法上、報酬が与えられる可能性があり、ボランティアが原則になっているわけではない。家庭裁判所がボランティアと言い切ることができるのかは疑問が残る。市民後見人は明確な定義が決まっておらず、交通費の支給や、利用者にけがをさせた際などに備える損害賠償保険への加入をどうするかも各地でまちまちだ。後見需要の増加に備え、議論を急ぐ必要がある。

「担い手確保に向け議論を」

新井誠・中央大教授(民法) 裁判官には独立性があり、後見人の報酬は個別ケースに応じて裁判官が決めるのが妥当。市民後見人とはいえ、家庭裁判所が一律に報酬に関する考えを出すのは全国的にあまりなく、福岡家裁は慎重に対応を検討すべきだろう。ボランティアについて、どんな形を想定しているかを示す必要もある。市民後見人は報酬や働き方が多様で、その多様性を生かしつつ、報酬をどうするか議論し、担い手を増やすことが大切だ。

【市民後見人】弁護士などの専門家以外で、自治体や社会福祉協議会が開く養成講座を修了し、家庭裁判所から後見人などに選任された人。法人として後見業務を担う社協にスタッフとして所属し、活動する例もある。報酬は利用者の財産から支払われ、家裁に請求を申し立てると、家裁が支払いの要否や金額を決める。最高裁によると、2018年の市民後見人の選任は320件(17年は289件)。

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