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新聞記事に使われた語彙(ごい)を説明した新聞用語ひと口メモ。このページでは新聞に掲載されたワードBOXとその関連記事をピックアップして紹介します。

ダムの種類

 ダムは利用目的によって主に3種類に分けられる。①山側から流れてくる水をためて下流の水量を減らし、洪水による被害を抑える「治水ダム」②ためた水を工業や農業、発電などに利用する「利水ダム」③治水と利水両方の機能を兼ね備えた「多目的ダム」―がある。

※ワードの説明及び記事の内容は更新日のものです。

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利水ダム事前放流「不発」 梅雨の豪雨、予測困難

 洪水被害の軽減のため、国は今年から農業や発電用の「利水ダム」でも事前放流を行うとしていたが、4日から九州を襲った一連の豪雨では実施されず、河川の堤防決壊、氾濫が相次いだ。そもそも利水ダムは洪水調整機能を持つ多目的ダムと違い、放流に時間がかかるため「3日前ごろからの事前放流」が必要とされる。梅雨時期の豪雨の発生時期や場所の予測は難しく、課題を突き付けられた形だ。

 「経路や勢力が事前に分かる台風には通用しても、梅雨期のゲリラ豪雨では対応が難しいように感じた」。国土交通省九州地方整備局の広松洋一河川管理課長は、力なく語った。

 甚大な被害に見舞われた熊本県の球磨川水系。大雨に備え、洪水を防ぐ役割を一手に担っていた多目的ダム「市房ダム」に加え、五つの利水ダムも事前放流し、水位を下げておくように決めていた。最大で2912万トンの水をためることができる計算だった。実際には市房ダムの予備放流(190万トン)のみが行われ、4日朝には緊急放流寸前まで追い込まれた。

 ダムの決壊を防ぐ緊急放流は、川の水位も上昇させる「最後の手段」だ。2018年の西日本豪雨では愛媛県の二つのダムの緊急放流で川が氾濫、8人が死亡した。昨年の台風19号では、国交省所管の6ダムで緊急放流する事態に陥った。

 これを受けて国交省は今年6月までに、ダムがある全国99の1級水系で関係者と協定を締結。従来の多目的ダムなど335基だけでなく、利水ダム620基も活用することで、事前放流できる水量を増やした。九州の19水系は事前放流できるダムが40から107に増え、貯水量も1・5倍の7億3685万トンに増えた。

農業補償も壁

 なぜ今回は機能しなかったのか。国交省はガイドラインで、事前放流の判断について「3日前から行うことを基本とする」と明記。気象庁の84時間先までの予測降雨量が各ダムで定めた基準雨量を超えれば、事前放流することにしていた。

 九地整によると、球磨川水系のダムで基準雨量を超えたのは3日午後10時から4日午前4時。「3日前からの事前放流」には到底間に合わなかった。6日以降の大雨でも、3日前から事前放流した利水ダムは「把握していない」という。

 事前判断の時期を「3日前」とするのには理由がある。毎秒数百トンの水量を放流できる「洪水吐(ばき)」を備えた多目的ダムに比べて、利水ダムには利水放流管という毎秒1、2トン程度の放流設備しかなく、水位を下げるのに時間がかかる。

 その上、利水ダムの水は工業や発電、農業に使われる。「補償の問題もあり、事前に定められた運用しかできない。特に農業用水が必要な6~8月は難しい」と広松管理課長は明かす。

 一方、ダムの水位調整で被害を防げたケースもある。小松利光・九州大名誉教授(防災工学)によると、17年の九州豪雨では、福岡県朝倉市の多目的ダム「寺内ダム」で直前に大量の農業用水が使われていたため、ダムとつながる佐田川流域はほとんど被害がなかったという。

 小松氏は「利水ダムを活用する考え方自体は間違っていない。農業や発電に影響しない放出水量を事前に定めておけば、空振りを恐れずに早め早めに水位を下げることもできるのではないか。柔軟に運用するべきだ」と指摘した。 (御厨尚陽)

【ワードBOX】ダムの種類

 ダムは利用目的によって主に3種類に分けられる。(1)山側から流れてくる水をためて下流の水量を減らし、洪水による被害を抑える「治水ダム」(2)ためた水を工業や農業、発電などに利用する「利水ダム」(3)治水と利水両方の機能を兼ね備えた「多目的ダム」-がある。

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