ワードBOX

新聞記事に使われた語彙(ごい)を説明した新聞用語ひと口メモ。このページでは新聞に掲載されたワードBOXとその関連記事をピックアップして紹介します。

地域生活定着支援センター

 刑務所を出所した高齢者や障害者の社会復帰を促し再犯を防ぐため、2009年7月に厚生労働省の補助事業として設置が始まり、11年度末までに全国47都道府県に設置された。刑務所や、出所者を一時的に受け入れる更生保護施設などと連携し、服役中から対象者の相談に応じて支援策を探る。刑務所の社会福祉士などが選んだ対象候補者について、保護観察所が支援を依頼。センターは福祉サービスの申請手続きや受け入れ施設の調整、橋渡し、出所後の支援などを行う。

※ワードの説明及び記事の内容は更新日のものです。

関連記事

累犯障害者・高齢者 居場所なく孤立、再犯へ… 「負の連鎖」を断とう 福岡市でシンポ

 ●社会復帰を支え継続的に見守る→受け入れ先どう拡大 地域の理解と協力を 
 高齢だったり、障害があったりして自立が難しいのに適切な支援を受けられず、犯罪を繰り返してしまう「累犯障害者・高齢者」。司法と福祉が連携した支援が必要とされ、47都道府県に設置された「地域生活定着支援センター」が福祉サービスにつなぎ、社会復帰を支えている。全国最多の支援件数を積み重ねる福岡県地域生活定着支援センターの活動から、必要な支援と今後の課題を考えた。

 周囲の理解不足で必要な福祉サービスが受けられない。居場所がなく、孤立する。罪を犯し、家族や周囲との関係が崩壊する。孤独や生活苦が深まり、罪を繰り返す…。犯罪を繰り返す障害者や高齢者にはこうした「負の連鎖」があると指摘される。支援センターは、罪を償った直後から必要な福祉サービスにつないで負の連鎖を断ち切る支援を展開する。

 福岡県地域生活定着支援センターは2010年7月に開設。北九州市でホームレス支援などを続けるNPO法人「抱樸(ほうぼく)」が県の委託を受けて活動している。今年7月までの約6年間で計405人を支援した。

 15年末までの対象者は高齢者36%、知的障害者32%、精神障害者21%など。犯罪の内訳は窃盗(未遂含む)が58%を占め、詐欺11%、銃刀法違反3%などが続く。

 例えば、軽度の知的障害がある60代男性。傷害致死罪で懲役6年の判決を受けた。支援センター職員が出所の半年前から、面談や受け入れ施設との調整など「コーディネート」支援を担い、出所後は行政手続きや受診などを手伝う「フォローアップ」支援も続けた。現在、男性はボランティア活動に参加するなど居場所を見つけ、生活が安定しつつあるという。

 厚生労働省によると、12~14年度の都道府県別の支援件数は、福岡が724件(コーディネート334件、フォローアップ390件)と全国最多。北海道605件や東京576件などと比べ、出所後のフォローアップ件数が目立って多い。

 小畑孝仁センター長(33)によると、出所後最低でも半年~1年間は関わり続ける「伴走型支援」に力を入れているため、支援件数が増加。また、他センターが断るような殺人などの重要犯罪を行った人への支援も可能な限り引き受けているため、件数が伸びているという。

 約6年間の支援対象者のうち、再犯した人は22人で6・2%。一般的な再犯率39・5%(5年以内)と比較すると低く、小畑さんは「社会復帰を支え、継続的に見守ることで、結果的に再犯率は下がる」と指摘する。

 課題は、受け入れ先の拡大。高齢者や障害者の入所施設に受け入れを相談しているが、10~20軒依頼しても断られることもあるという。また、要介護認定されず、生活保護以外の福祉サービスにつなげないケースは、地域のアパートなどで生活することになり、孤立させないよう地域の協力が不可欠となる。

 同センターは10日、活動への理解を広げようと、福岡市で「累犯障害者・高齢者を支える包摂型地域創造シンポジウム」を開いた。弁護士や保護観察所職員などが支援の在り方を議論した。登壇した小畑さんは「福祉の支援が受けられず、社会に居場所がなく、罪を犯している人がいる状況をもっと知ってほしい。社会がきちんと受け止めれば、本人の生活は安定する」と訴えた。

    ×      ×

 【ワードBOX】地域生活定着支援センター

 刑務所を出所した高齢者や障害者の社会復帰を促し再犯を防ぐため、2009年7月に厚生労働省の補助事業として設置が始まり、11年度末までに全国47都道府県に設置された。刑務所や、出所者を一時的に受け入れる更生保護施設などと連携し、服役中から対象者の相談に応じて支援策を探る。刑務所の社会福祉士などが選んだ対象候補者について、保護観察所が支援を依頼。センターは福祉サービスの申請手続きや受け入れ施設の調整、橋渡し、出所後の支援などを行う。


=2016/09/22付 西日本新聞朝刊=

PR

PR

注目のテーマ