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子宮頸がんワクチン

 子宮頸(けい)がんの原因となるウイルスの感染を予防するワクチン。2009年12月に国内で販売開始、翌年から自治体の公費助成が始まった。13年4月に定期接種になったが、副作用が疑われる報告が相次いだことから、厚生労働省は同年6月に積極的な勧奨を中止。同省の調査では、14年11月までに小中高生ら約338万人が接種を受け、2584人が副作用を訴えた。

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子宮頸がんワクチン 健康被害 学校現場 理解へ動き 福岡県教委 長期欠席に柔軟対応

 全身の痛みやしびれなど、接種後の健康被害が問題になっている子宮頸(けい)がんワクチン。副作用を訴える若い女性の中には、症状が重いことに加え、学校現場で健康被害に対する理解が広まっていないことから、高校生活を送れなくなった人もいる。しかしこうした女性や家族たちが声を上げ続けてきたことで、学校現場では少しずつ改善の動きが出ている。

 子宮頸がんワクチンは3回の接種が必要。北九州市戸畑区の梅本美有さん(18)は中学3年のころ、3回目を受けて間もなく足の付け根が痛くなり、生理痛の悪化、背中や尻の湿疹などに苦しんだ。

 高校進学後も吐き気や動悸(どうき)、頭痛、全身の激痛に悩まされた。体が鉛のように重く、朝起きられない。ワクチンの副作用を疑い、高校に保健室登校を希望すると「決まりだから、授業に出ないと単位があげられない」。そして「このまま残っていても3年生は…」と卒業が難しいことを示唆され、3年生時に私立の単位制高校に転入した。

 母の邦子さん(45)は昨年1月、「子宮頸がんワクチン被害者連絡会福岡支部」を立ち上げ、美有さんと共に被害を訴えてきた。国の調査では現段階で、接種と症状の因果関係は判明していない。全国的には、国や製薬会社を相手取り一斉提訴する動きもあり、美有さんも加わる予定だ。

 先月福岡市内で開かれたシンポジウムで、美有さんは学校の話になると、声を震わせた。邦子さんは「学校に通えないことには、想像以上の不安がある」と美有さんの気持ちを代弁した。

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 「過去に対応した不登校の生徒を調べたら、数人は副作用の可能性があった」。ある高校の養護教諭は、子宮頸がんワクチン問題に詳しい江戸川大の隈本邦彦教授にそう打ち明けた。隈本教授によると、症状が多様なため、教員が自身の経験から「心の悩みで登校できない生徒」として対応する恐れがあるという。「現場でワクチン問題の知識を広め、副作用かもしれないと気付いて生徒を支えていくのが教育だ」と話す。

 その重要性に、現場の教員も気付き始めた。福岡県内のある高校教諭(49)は、副作用に関するニュースや資料を集め、独自に勉強している。きっかけは、卒業生の保護者から「うちの子もワクチンを受けたが大丈夫だろうか」と聞いたことだった。「名前は聞いたことある、くらいの認識だったが『うちも現場だったんだ』と気付いた」。今後は、美有さんや当時の教員に話を聞き、教員仲間と共有していきたいという。

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 ワクチンの被害を訴える声を受け、国は昨年9月、都道府県などに対し、教育部局にも相談窓口を設置するよう、通知した。

 福岡県教育委員会は同年11月、ワクチンを接種した生徒を対象に学校生活に関する相談窓口を設置した。今年3月には県立高95校に通う女子約3万5千人にチラシを配布。県立高校長には、長期入院や登校できない生徒については、リポートや課題などで積極的に評価するなど、柔軟な対応を求める通知を出した。

 それを知った美有さんは邦子さんに「私の体験が礎になれたんだね」と漏らした。先月、高校を卒業し、今は子どもに関わる仕事という夢に向かって、体調が許す限り勉強に励む。

 原因特定や訴訟の行方を待たず、今苦しんでいる生徒をどう支えるか。取り組みは始まったばかりだ。

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 【ワードBOX】子宮頸がんワクチン

 子宮頸(けい)がんの原因となるウイルスの感染を予防するワクチン。2009年12月に国内で販売開始、翌年から自治体の公費助成が始まった。13年4月に定期接種になったが、副作用が疑われる報告が相次いだことから、厚生労働省は同年6月に積極的な勧奨を中止。同省の調査では、14年11月までに小中高生ら約338万人が接種を受け、2584人が副作用を訴えた。


=2016/04/16付 西日本新聞朝刊=

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