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新聞記事に使われた語彙(ごい)を説明した新聞用語ひと口メモ。このページでは新聞に掲載されたワードBOXとその関連記事をピックアップして紹介します。

ACT(アクト)

 1960年代に米国ウィスコンシン州の公立病院で始まった精神疾患者の地域生活支援「assertive community treatment」の略語。ACT全国ネットワークによると、国内では28事業所が実践。九州の5カ所は、佐賀市の「さがアクト」▽長崎県雲仙市の「南高愛隣会」▽福岡市と北九州市の「Q-ACT」2カ所▽福岡市の精神科医院「ちはやACTクリニック」。

※ワードの説明及び記事の内容は更新日のものです。

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精神疾患 訪問診療が効果 重症者に対応 経験者の支援も さがアクト

 自宅にこもった精神疾患の重症患者を在宅でケアする地域生活支援プログラム「SAGA-ACT(さがアクト)」が設立半年で少しずつ効果を上げている。アクトは外出できない患者を訪問医療で支える仕組み。対話を重ねるうちに心を開く患者もいる。ACT全国ネットワークによると、九州では5カ所目。さがアクトは精神疾患の経験がある「ピアスタッフ」も「仲間」として支援に加わっているのも特徴だ。

 さがアクトの設立者は、同市川副町鹿江の精神科医院「より添いとたい話の診療所」の谷口研一朗院長(45)。「統合失調症やうつで地域から孤立している患者の治療や自立機会をつくろう」と4月、市内の訪問看護ステーション「えのか」の協力を得て始めた。

 利用者登録すると、医師が毎月数回、訪問診療する。看護師、精神保健福祉士、作業療法士などの「支援員」11人が週2回、買い物や家事、会話の相手を務める。症状の急変にも24時間態勢で対応する。

 潜在需要は高く、利用者は設立半年で佐賀、福岡両県の18~60代の約50人に広がっている。

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 「僕は元気に戻れるでしょうか」。15日の訪問診療。佐賀県内の40代男性は無表情でつぶやいた。統合失調症で入退院を繰り返し、約3カ月前にさがアクトにつながった。妄想や幻覚があるが、回復を願い葛藤。「前より薬が減った。元気になれます」と谷口院長が告げると、男性は「英語を勉強したい。今からじゃ遅いかな」と意欲を示した。谷口院長が「遅くない。お金の管理も相談しよう」と励ますと、男性の表情は和らいだ。

 20代女性の玄関前には大量の家具やごみが積み上げられている。統合失調症で呼び掛けに返事はなく、電話もつながらない。疾患への無自覚や拒否で患者と会えないケースも多い。そんな状況にもうまく対応しようと、さがアクトは病状や支援内容を関係者全員で共有。チームの多様な視点で、支援員が1人で悩みを抱えるのを防ぐためだ。

 治療は焦らず、患者と寄り添って進めている。

 30代の女性は他人と対面できない症状で6年以上、自室に引きこもっている。訪問を約20回重ねた今も、女性は階段の上、谷口さんたちは階段の下から声を掛け、置き手紙でのやりとりが続く。それでも女性は支援者らの声や名前を覚え、会話の内容も幅広くなってきた。谷口院長は「何年も人との接触を断ってきた女性が、複数の人と話せていること自体が大きな前進」と手応えを感じている。

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 精神疾患の経験があるピアスタッフは2人で、症状のつらさが分かる仲間として患者を支えている。

 看護師の浦川香保里さん(31)は病院に勤務していた25歳の時、統合失調症と診断された。「幻覚や幻聴、心の痛み、偏見の苦しみは経験して初めて分かったこと。『私もそうだった』と語り掛けると相手が心を開いてくれたり、治療に積極的になったりすることがある」。自らも治療で穏やかな日常を送れるようになり、さがアクトで働けることが心の支えという。

 さがアクトは就労支援も考えているが、今は医師が谷口院長だけで対応には限界もある。医療関係の協力者を増やすのが課題だ。

 利用は電話での相談にも応じている。さがアクト=0952(20)1286。

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【ワードBOX】ACT(アクト)

 1960年代に米国ウィスコンシン州の公立病院で始まった精神疾患者の地域生活支援「assertive community treatment」の略語。ACT全国ネットワークによると、国内では28事業所が実践。九州の5カ所は、佐賀市の「さがアクト」▽長崎県雲仙市の「南高愛隣会」▽福岡市と北九州市の「Q-ACT」2カ所▽福岡市の精神科医院「ちはやACTクリニック」。


=2015/09/25付 西日本新聞朝刊=

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