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新聞記事に使われた語彙(ごい)を説明した新聞用語ひと口メモ。このページでは新聞に掲載されたワードBOXとその関連記事をピックアップして紹介します。

寡婦(夫)控除

 夫と死別した女性の救済策として1951年に創設。現在は離婚女性や、妻と死別・離婚し子どもを育てる年間所得500万円以下の男性にも適用される。所得税計算の際、年間所得から27万円(子どもを育てる所得500万円以下の女性は35万円)を差し引き、課税所得を少なくする。課税所得を基に算出する住民税や保育料、公営住宅家賃、福祉サービス料などさまざまな利用料も安くなる。
 非婚の母親による人権救済申し立てを受け、日弁連は2014年、非婚のひとり親に控除が適用されないのは違憲として、税法改正を求める意見書を出した。

※ワードの説明及び記事の内容は更新日のものです。

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寡婦(夫)控除格差 腰重い国自治体動く 保守派の「家族観」壁 ひとり親支援団体「税法改正が必要」

 自治体が「寡婦(夫)控除」のみなし適用に次々と踏み切っているのは、政府が伝統的な家族像を重んじる保守系議員の意向を受け、抜本的な税制改正に二の足を踏んでいるからだ。所得が平均的な世帯の半分を下回る世帯で暮らす人の割合を示す相対的貧困率は、ひとり親家庭で54・6%(2012年)に上っており、理念より現実を重視した対応といえる。

 2011年全国母子世帯等調査によると、母子家庭になった経緯は離婚が80・8%、未婚が7・8%、死別が7・5%で、初めて未婚が死別を上回った。シングルマザーの8割は働いており、年間の平均就労収入は死別256万円、離婚176万円に対し、未婚は160万円。みなし適用は、最も厳しい家庭が被っている不利益に、自治体が運用面で対処するものだ。

 みなし適用の広がりを受け、国も徐々に動き始めている。国土交通省は昨年10月、公営住宅法施行令を改正。今年10月から、非婚のひとり親家庭について、入居や家賃の決定に影響する収入算定の際に、みなし適用をすることになった。きっかけは09年度からみなし適用をしていた松山市の提案だったという。

 参院厚生労働委員会は今年4月、児童扶養手当法の改正に絡み「政府は、寡婦控除のみなし適用の実態把握に努め、必要に応じて適切な措置を講ずること」とする付帯決議を採択した。

 ただ、みなし適用だけでは、実際の所得税や住民税が離婚、死別のひとり親より多く徴収される状態は改善されない。控除の対象に非婚のひとり親も含めることについて、与党は税制改正大綱で14年度から3年連続で「検討事項」としたが、「家族のあり方にも関わる事柄であることや他の控除との関係にも留意しつつ検討を行う」と微妙な言い回しに終始している。

 自民党を中心とした保守系議員に、非婚のひとり親を認めれば「未婚の出産を奨励することにつながり、家族像が崩れる」との反対論が根強いからだ。

 NPO法人「しんぐるまざあず・ふぉーらむ」の赤石千衣子理事長は「みなし適用の広がりは喜ばしいが、一部の自治体だけで、内容にも差がある。申請主義だから、本人がみなし適用ができることを知らなければ減額などの対象にならず、救われない」として、税法改正の必要性を強調している。

■経済的不利益おかしい

 ▼棚村政行早稲田大教授(家族法)の話 税制改正がなかなか実現しない背景には、「伝統的な家族観」を壊したくないという保守派議員の抵抗がある。だが国民の家族観は既に多様化している。婚外子の相続差別を違憲とする2013年の最高裁判決を機に、子どもに罪はないのに経済的不利益を負わせるのはおかしいといった声も高まっている。自治体の「みなし適用」もその表れだ。対象者は多くないため税収への影響も限定的で、控除対象から非婚のひとり親を外す合理的理由は失われている。

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【ワードBOX】寡婦(夫)控除

 夫と死別した女性の救済策として1951年に創設。現在は離婚女性や、妻と死別・離婚し子どもを育てる年間所得500万円以下の男性にも適用される。所得税計算の際、年間所得から27万円(子どもを育てる所得500万円以下の女性は35万円)を差し引き、課税所得を少なくする。課税所得を基に算出する住民税や保育料、公営住宅家賃、福祉サービス料などさまざまな利用料も安くなる。

 非婚の母親による人権救済申し立てを受け、日弁連は2014年、非婚のひとり親に控除が適用されないのは違憲として、税法改正を求める意見書を出した。


=2016/06/20付 西日本新聞朝刊=

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