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松橋事件

 1985年1月8日、熊本県松橋町(現宇城市)の民家で男性=当時(59)=が血を流して死亡しているのが見つかり、将棋仲間だった宮田浩喜さんが「刃物で刺した」と殺害を認めたため同20日に逮捕された。宮田さんは公判途中から「自供の大部分は偽りだった」と否認に転じ無罪を主張したが、熊本地裁は自白に任意性、信用性があると認め懲役13年の判決を言い渡した。90年に最高裁で確定して服役、99年に仮出所。2012年3月、成年後見人の弁護士が再審請求した。熊本地裁、福岡高裁が再審開始を決定。最高裁も支持し18年10月に再審開始が確定した。

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松橋事件、再審で無罪判決 熊本地裁 男性刺殺「自白に矛盾」 裁判所「誤判」謝罪せず

 熊本県松橋(まつばせ)町(現宇城市)で1985年に男性が殺害された松橋事件の再審で熊本地裁は28日、殺人罪などで服役した宮田浩喜さん(85)に、同罪について無罪判決を言い渡した。地裁は有罪の根拠となった自白調書などを証拠採用しておらず、溝国禎久裁判長は「被告が犯人だと示す証拠はなく、殺害は認められない」と述べた。謝罪の言葉はなかった。弁護側は判決後、熊本地検に上訴権を放棄するよう申し入れた。

 認知症を患い、ほぼ寝たきりの状態にある宮田さんは初公判に続いて出廷できなかった。

 再審公判で自白調書などを採用しなかった点については「数年にわたる審理での弁護側の詳細な主張を踏まえ、再審開始決定で自白の信用性が否定された」と説明。再審公判で検察側が新たな有罪立証をしないと表明していたことや、有罪判決から長い年月が経過していることも挙げて「再審請求審の判断と異なる結論は想定し得ない。可能な限り速やかに判決を言い渡すことが適当であると考えた」と述べた。

 一方、85年に自宅で拳銃を所持したとする銃刀法違反罪などについては懲役1年を言い渡したが、宮田さんが改めて服役することはない。

 捜査段階で宮田さんは「布を小刀の柄に巻き付けて刺し、布は燃やした」と自供していたが、再審請求を準備していた弁護団が検察が開示した証拠から燃やされたはずの布を発見。再審請求審で新証拠として提出した。これらを踏まえ、2016年に熊本地裁は「重要部分に客観的事実との矛盾が存在する疑義があり、自白の信用性が揺らいだ」として再審開始を決定。最高裁で確定した。

 その後の検察側や弁護側との協議で、地裁は宮田さんの体調を考慮し「迅速に審理を終わらせたい」と表明。今年2月の初公判では「再審請求審までの経緯を踏まえると取り調べる必要がない」として、自白調書や凶器とされた小刀などを証拠採用せず、即日結審させた。検察側も有罪立証しなかった。

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 【ワードBOX】 松橋事件

 1985年1月8日、熊本県松橋町(現宇城市)の民家で男性=当時(59)=が血を流して死亡しているのが見つかり、将棋仲間だった宮田浩喜さんが「刃物で刺した」と殺害を認めたため同20日に逮捕された。宮田さんは公判途中から「自供の大部分は偽りだった」と否認に転じ無罪を主張したが、熊本地裁は自白に任意性、信用性があると認め懲役13年の判決を言い渡した。90年に最高裁で確定して服役、99年に仮出所。2012年3月、成年後見人の弁護士が再審請求した。熊本地裁、福岡高裁が再審開始を決定。最高裁も支持し18年10月に再審開始が確定した。

=2019/03/28付 西日本新聞夕刊=

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