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原子力災害に備えた医療体制

 国が2015年、医療体制を見直した。国が指定する高度被ばく医療支援センター(5機関)と、原子力災害医療・総合支援センター(4機関)が、原発30キロ圏内の道府県が指定する「原子力災害拠点病院」や、拠点病院をサポートする「原子力災害医療協力機関」の人材育成を担い、災害時に道府県と医療機関の間で医療チームの派遣調整などを行う。

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被ばく医療「担い手」不足 国指定の拠点、九州は長崎大のみ 現場からは懸念も 玄海原発23日再稼働

 九州電力玄海原発(佐賀県玄海町)3号機の再稼働が23日に予定されている。深刻な原発事故への備えとして進められているのが、被ばく者治療に当たる新たな医療体制の整備だ。九州では、唯一の中枢拠点として国が指定する長崎大(長崎市)の下で医療網の構築を図る。ただ、県によって取り組みに温度差があり、「担い手」の育成は追いついていない。

 被ばくの度合いに応じてどんな治療が必要か。どんな場合に防護服を着て治療するのか…。長崎大は今、県内外の医療機関に出向き、被ばく医療のノウハウを伝える研修に忙しい。

 同大は2015年、国の指定で二つの“看板”を得た。「高度被ばく医療支援センター」と「原子力災害医療・総合支援センター」。役目は二つ。実際に重い被ばく傷病者が出た場合の受け入れと治療を担うほか、平時には、原発に近い福岡、佐賀、長崎、鹿児島4県で、応急的な治療を施す医療機関を育成する。

 国内では他に弘前大と福島医科大、広島大などにあり、九州では長崎大だけ。被爆地の大学として放射線に関する研究と臨床ノウハウの蓄積が評価された。

 「福島第1原発事故後、体制は確かに改善した」。長崎大の両センターを統括する原子力災害対策戦略本部長の山下俊一学長特別補佐は指摘する。かつてはセンターに相当する拠点は東西2カ所だけだった。とはいえ、懸念もあるという。「実際は関係者の自発的なやる気に頼っている」

 国が描くのは、両センターの下に、被ばく傷病者の治療を担える「拠点病院」と初期診療に協力する「医療協力機関」で医療網をつくり、迅速かつきめ細かに対応する態勢。原発30キロ圏内にある道府県に「拠点病院」を1カ所以上指定するよう求めているが、昨年3月、九州では初めて長崎県が県内の医療機関を指定。佐賀、鹿児島県も続いたが、福岡県は未指定だ。「医療協力機関」は福岡だけでなく原発立地県の佐賀、鹿児島でも登録がない。

 国からの助成はあるものの、いつ起こるか分からない「被ばく傷病者発生」の準備に、民間がどれほど力を入れるかは悩ましい。

 「万が一の備えより目の前の治療を優先したい、という声はある」。玄海原発から約14キロに位置し、拠点病院に指定された唐津赤十字病院(佐賀県唐津市)の酒井正医療社会事業部長はそう漏らす。「人材や予算を国が確保し、万全の態勢になっているか確認する仕組みが必要ではないか」

 長崎大の山下学長特別補佐も、被ばく医療の国家資格を設けるなど「インセンティブ(動機付け)が与えられるべきだ」と話す。

 深刻な放射能漏れともなれば、病院自体が避難対象になる可能性がある。酒井部長は「病院ごと移転が必要になれば、拠点病院の役割を果たせなくなるかもしれない」とこぼす。

【ワードBOX】原子力災害に備えた医療体制

 国が2015年、医療体制を見直した。国が指定する高度被ばく医療支援センター(5機関)と、原子力災害医療・総合支援センター(4機関)が、原発30キロ圏内の道府県が指定する「原子力災害拠点病院」や、拠点病院をサポートする「原子力災害医療協力機関」の人材育成を担い、災害時に道府県と医療機関の間で医療チームの派遣調整などを行う。

=2018/03/22付 西日本新聞朝刊=

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