ワードBOX

新聞記事に使われた語彙(ごい)を説明した新聞用語ひと口メモ。このページでは新聞に掲載されたワードBOXとその関連記事をピックアップして紹介します。

コミュニティバス

 公共交通が近くになかったり不便だったりする地域の解消を図るため、市町村などが主体的に計画し、運行する乗り合いバスやタクシーを指す。道路運送法の許可を受けた交通事業者のほか、市町村自らが登録して運送する場合など、形態はさまざま。九州運輸局によると九州7県では2016年4月現在、計499種類、1666路線で運行されている。

※ワードの説明及び記事の内容は更新日のものです。

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【「よかとこ」へ心一つ 高齢期のまちで】<5>運転やめても暮らせる古里に

 「去年までは、そこの山ば毎日5キロは歩きました。このごろ腰を痛めて…。ちょっと苦労してますけど」。坂井茂喜さん(87)は、苦笑いを浮かべた。福岡市早良区南部の中でも、さらに脊振山に近い脇山校区・椎原(しいば)。築80年を超える一軒家に、1人で住む。

 20万キロ近く走った愛車を2年前、廃車したのを機に、運転をやめた。軽乗用車に買い替えようとしたものの、離れて市内で暮らす息子に「その年で絶対乗ったらいかん」と反対され、渋々諦めた。「やめたのはいいが、不便で不便でねえ…ここはねえ…」

 ●バスを2時間待つ

 山あいの坂道を5分下れば最寄りのバス停はある。同区内の西鉄バス路線の最南端だ。病院や買い物に出るが中心部の早良営業所行きは約50分~2時間半おきに1本。帰りも「2時間ぐらい」待つことはざらだ。荷物がなければ数時間かけて歩いて帰ったことも。「そうすると近所の人がいいばい、買い物ぐらい乗せてやるばいって言わっしゃあけん。でも、それに甘えたらいかんけんねえ」。好意をあてにするようで心苦しくなり、めっきり外に出なくなった。「だけん日が長いったい」。最近はパズルをしながら時間をつぶす。

 近くに住む88歳になる女性も足が悪く、今でも車に乗っている。「これがなかったら私は動かれんって言うてくさ…」

 ●免許返納した先に

 「たまには公民館にも出てこないかんよ」。脇山公民館長の大鶴進吾さん(70)は、懇意にする坂井さんにそう声を掛けている。

 早良区南部の介護事業所などでつくる「さわら南よかとこネット」が、公民館でも健康体操などを実施。他のイベントも含め、無償で送迎にも取り組んでおり「地域のお年寄りが楽しめる環境が比較的整い、感謝している」と大鶴さん。ただ「みんなとコミュニケーションを取るのが苦手な男性が多く、自宅に閉じこもりがちな方々が心配」と顔を曇らせる。

 体育館や高齢者向け施設もバスが走る幹線道路から離れた所が多く「車を持ってないと行けない」のが難点。それでも高齢者の車の事故が社会問題化し、同公民館でも昨夏、交番から巡査を招き、免許返納を呼び掛ける機会を設けた。「社会との接点がなくなってしまうので心苦しくて」-。

 関係者によると免許を返納した途端、夫婦ともに具合が悪くなり、約半年の間に相次いで亡くなったケースもあるという。

 ●いたちごっこの末

 校区内の西鉄バス路線「脇山支線」は年々、利用者が減っている。西鉄側から2009年に廃止の申し出を受けた市は10年度以降、経費と収入の差額分として年間約2600万円を補填(ほてん)。運行は継続された。

 ただ今年3月のダイヤ改正では脇山小学校の下校時間帯の便がなくなり、校区内の別路線でも始発時間が繰り下がった。地元では「生活を考慮したダイヤではない」との不満が根強いが、脇山校区自治協議会長の重松重興さん(74)は「採算が取れないと言われると反論しづらくて…」。

 3月改正では脇山支線の一部路線も廃止。代わりに民間タクシー会社が運行する予約型乗り合いタクシーが導入された。路線バスに代わり、小回りの利く小型乗り合いバスやタクシーを走らせる「コミュニティバス」の一種だ。全国的には既存のバス会社が、こうした新たな小型車両を導入する場合もあるが、その場合は新車両分の整備管理費もかかるなど、コストの壁が立ちふさがるとされる。

 「バスが少ないからマイカーを利用する。マイカーが増えるからバス利用が減る。そして減便になる。まるでいたちごっこ」と重松さん。「月に1回、とにかくバスに乗ろうや」-。悪循環を断ち切ろうと、住民たちには常々、そんな話をする。マイカーに代わり、気兼ねなく利用できる「足」と古里での暮らしを、自分たち自身で守っていくために。

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【ワードBOX】コミュニティバス

 公共交通が近くになかったり不便だったりする地域の解消を図るため、市町村などが主体的に計画し、運行する乗り合いバスやタクシーを指す。道路運送法の許可を受けた交通事業者のほか、市町村自らが登録して運送する場合など、形態はさまざま。九州運輸局によると九州7県では2016年4月現在、計499種類、1666路線で運行されている。

=2018/06/28付 西日本新聞朝刊=

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