ワードBOX

新聞記事に使われた語彙(ごい)を説明した新聞用語ひと口メモ。このページでは新聞に掲載されたワードBOXとその関連記事をピックアップして紹介します。

避難行動要支援者名簿

 災害時の避難支援や安否確認に役立てるため、高齢者や障害者の名前や住所、連絡先などを記載した名簿。東日本大震災では死者数の6割を65歳以上の高齢者が占め、障害者の死亡率が被災住民全体の死亡率の約2倍となったことを踏まえ、2014年4月施行の改正災害対策基本法で市町村に作成が義務付けられた。本人の同意を得た上で、自主防災組織などに名簿を提供、地域の支援態勢づくりにつなげる。災害時は本人の同意がなくても名簿を提供できる。

※ワードの説明及び記事の内容は更新日のものです。

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東日本大震災から9年 九州8市で災害弱者把握に地域差

 災害時に支援が必要な障害者や高齢者を地域で把握し、避難などの支援に役立てる「避難行動要支援者名簿」について、自治体間で名簿の掲載者数に差が出ている。東日本大震災を教訓に2014年に導入されたが、内閣府の指針は名簿の掲載基準を定めておらず、各自治体が設けた要支援者の掲載基準にばらつきが出ているためだ。九州7県の県庁所在地と北九州市の計8市をみると、最多が熊本市の約3万8千人、掲載対象者を限定している北九州市が最少の約740人と大きな開きがある。専門家は「本当に支援が必要な人が抜け落ちる危険性が高くなる」と警鐘を鳴らす。

 内閣府は指針で、掲載例として「要介護認定3~5」「身体障害者手帳1、2級」「療育手帳Aの知的障害者」などを挙げる一方、地域の実情を反映させるとして、掲載基準の設定は自治体の裁量に任せている。

 掲載者数が2万7236人で、人口に占める割合が6・54%と最も大きかった長崎市は要介護1、2や妊産婦、乳幼児も網羅する。「長崎市は坂道が多く、避難が困難なので対象を広げている」と担当者。5・25%の佐賀市も「幅広く災害弱者を把握したい」と、要介護1、2に加えて、要介護度のうち最も軽い要支援1、2も対象とする。掲載者数が最多の熊本市は、希望する1人暮らしの高齢者も載せ5・24%に上った。

 一方、北九州市は掲載者数736人で、人口に占める割合は0・07%。「要介護3以上」「身体障害者手帳1、2級」などの条件を満たしていても、土砂災害の危険区域や浸水想定区域などに住んでいなければ掲載されない。マンションの2階以上の住民も対象外とする。担当者は「対象者の人数が多いほど、災害時に支援する地域の負担が重くなるため、優先度の高い人に絞った」と説明する。

 関西大の山崎栄一教授(災害法制)は「避難支援が必要な人を広く把握することが、名簿作成の本来の趣旨。国は一定の掲載基準を示さないといけない。掲載者を絞っている自治体は、徐々にでも対象者を広げるべきだ」と強調する。

 掲載者数に差が出ている現状について、内閣府は「国として基準を示す必要があると考えており現在、対応を検討している」としている。 (御厨尚陽)

【ワードBOX】避難行動要支援者名簿

 避難行動要支援者名簿 災害時の避難支援や安否確認に役立てるため、高齢者や障害者の名前や住所、連絡先などを記載した名簿。東日本大震災では死者数の6割を65歳以上の高齢者が占め、障害者の死亡率が被災住民全体の死亡率の約2倍となったことを踏まえ、2014年4月施行の改正災害対策基本法で市町村に作成が義務付けられた。本人の同意を得た上で、自主防災組織などに名簿を提供、地域の支援態勢づくりにつなげる。災害時は本人の同意がなくても名簿を提供できる。

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