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カンボジア

 仏教を国教とする人口約1600万人(2017年推定)の立憲君主国。元首のシハモニ国王に統治権はなく、与党から選出された首相が内閣を組閣する。議会は上院と下院で、下院が法案成立の最終権限を持つ。過去には1975年からのポル・ポト政権が共産主義を掲げ、200万人近くが虐殺などで死亡したと推定される。79年のポル・ポト政権崩壊後は内戦で混乱し、国際社会の支援を受けて93年に現在の政治体制に移行した。

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カンボジア総選挙、与党「圧勝」 民主化後退が鮮明に

 【プノンペン浜田耕治】カンボジア下院選(総選挙)=定数125、任期5年=の投票が29日行われ、即日開票された。最大野党が昨年解党に追い込まれ、事実上対抗勢力が不在のため、与党・人民党が圧勝した。地元報道によると、人民党報道官は100議席以上を獲得したと述べた。33年間実権を握るフン・セン首相はさらに政権の座にとどまり、一党独裁に突き進む見通しで、民主化の後退が鮮明になった。

 総選挙は全国25選挙区ごとの比例代表制で行われ、20政党が争った。フン・セン氏率いる人民党は年7%前後の経済成長や、平和の定着などの実績を強調。2013年の前回選挙(当時の定数123)の68議席からさらに上積みし、100議席を超える見込みだ。

 前回選挙で躍進し、55議席を獲得した最大野党の救国党は昨年9月、政府転覆を企てたとしてケム・ソカ党首が逮捕され、昨年11月には最高裁に解党を命じられた。今回の20政党の中にも野党はあるが、いずれも弱小で、人民党に対抗できる勢力はなかった。

 海外に逃れた救国党の元党首は、インターネットで投票ボイコットを呼び掛けた。投票率を上げて選挙の正当性をアピールするため、政権側は「投票妨害は違法」とけん制し、国民に投票を強く促した。選挙管理委員会によると、投票率は82・17%で前回の69・61%を10ポイント以上も上回った。

 総選挙を巡っては、フン・セン政権の強権姿勢を批判する米国と欧州連合(EU)が「民主主義の危機だ」と選挙支援を停止した。一方、日本は投票箱を提供するなど約8億円の無償資金協力を行ったが、選挙監視員の派遣は見送った。

「強権支配」くすぶる不満

 【解説】フン・セン首相の与党・人民党が総選挙で圧勝できたのは、最大の援助国・中国の後ろ盾があったためだ。最大野党を解党させ、300万人に上る民意を封じ込める強権を発動しても、中国は繰り返し支持を表明した。

 フン・セン氏は、米国が政府や軍への支援を一部中止し、制裁を発動しても意に介さない。中国による巨額の援助や中国企業による投資が相次ぎ、カンボジア経済を支えているためだ。中国も南シナ海の領有権問題などで支持に回るカンボジアを重視する。

 1990年代まで長い内戦に苦しみ、経済的豊かさを初めて経験するカンボジア国民には、根強い安定志向がある。フン・セン氏は「反逆者を排除していなかったらカンボジアは今ごろ戦場だ」と強調。平和を望む国民感情を利用し、救国党の解党を正当化した。

 だが「1強」支配への不満はくすぶったままだ。貧富の格差は拡大し、言論の自由はなく、庶民は汚職の横行に悩まされている。昨年の地方選における救国党の躍進(得票率44%)が物語る。救国党支持者の男性(41)は「半ば強制的に投票に行かせて民主化を演出しても、不満のマグマはいつか噴出する」と語る。

 今後の鍵を握るのは、主力の繊維産業の主要輸出先である欧州連合(EU)の動きだ。フン・セン政権の強権政治を問題視して関税の優遇措置を停止すれば、カンボジア経済の失速は避けられない。ただ、政権が中国寄りの姿勢を一層強める懸念もあり、民主化への道筋は見通せない。 (プノンペン浜田耕治)

=2018/07/30付 西日本新聞朝刊=

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