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生殖補助医療

 人工授精、体外受精(顕微授精や凍結胚を用いた治療を含む)、代理出産などにより妊娠を成立させる不妊治療法。日本産科婦人科学会によると、2015年には国内の医療機関で、体外受精により約5万1000人の新生児が生まれた。代理出産については、同学会は「実施は認められない」としており、件数は不明。

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生殖補助医療制度 先進国NZから学ぶ 出自知る権利の保障を 熊本大大学院 梅澤彩准教授 実親と養親の継続関与が子の利益に

 精子や卵子の提供、代理出産など第三者が絡む生殖補助医療が、国内で法整備が進まないまま広がっている。生まれた子の法的地位は不安定で、出自を知る権利が保障されていないなど、さまざまな課題が積み残されている。ニュージーランド(NZ)は、子の出生に関わる当事者の情報開示を法律で定めるなど、生殖補助医療に関して先進的な国の一つ。NZの制度に詳しい熊本大大学院の梅澤彩准教授(民法、家族法)に、制度の特徴や日本で参考となる取り組みなどを尋ねた。

 -NZで2005年に施行された人の生殖補助医療を規制する法律には、当事者の情報管理と開示に関する章が盛り込まれた。どのような内容か。

 この法律では、精子や卵子の提供者と被提供者、提供を受けて生まれた子などは個人情報の登録を義務付けられており、さらに互いの情報にアクセスする権利が保障されている。個人情報は医療機関が原則50年、国の機関が無期限に管理する仕組みだ。

 子は、原則18歳になると遺伝子上の父母の氏名や生年月日、住所といった個人情報を開示請求できる。子どもの権利条約が規定する出自を知る権利の趣旨にのっとっているといえる。これとは別に、生殖補助医療で生まれた子の法的な親子関係を定める法律もある。

 -生殖補助医療を実施するNZの医療機関は、当事者同士の面会交流を推奨している。

 NZの場合、養子縁組制度の実践を踏まえて生殖補助医療制度ができた。NZでは養子縁組の事実を子に対してオープンにし、実親と養親が継続的に子の養育に関与することが子の福祉に資するとの考えが根付いている。こうした背景があり、生殖補助医療を実施する医療機関も当事者たちが面会交流を望む際には積極的に支援に入っている。子どもの育ちに多くの大人が関わることができる。

 -生殖補助医療を巡る日本の現状は。

 最大の問題は、生殖補助医療で生まれた子の法的な親子関係を定める法律が存在しないことだ。そのため、法的関係を明確にする必要が生じた場合には訴訟を起こさなければならないのが現状だ。さらに、精子や卵子の提供者は多くの場合は匿名のため、子の出自を知る権利が保障されていない問題もある。提供者の病歴など子にとって特に重要な情報は本人に知らせるべきだ。

 -自民党の部会が16年、第三者から卵子や精子の提供を受けて生まれた子の法的親子関係を定める民法の特例法案を了承した。一定の前進はみられるものの、国の立法化の動きは依然として鈍い。出自を知る権利の議論も置き去りになっている。

 NZは、生殖補助医療を実施する医療機関が主導して当事者間の情報開示や面会交流を促し、法律がそれを追認した。そのため法制化によって現場が混乱することはなかった。

 日本では「提供者が減ってしまう」などとして出自を知る権利の保障に反対する声は根強く、意見をまとめるにも時間がかかる。ただ、子どもへの情報開示に関する理解をドナー登録の条件にするなど、子の権利を独自に守ろうとする卵子提供の登録支援団体も出てきた。NZのように、医療機関などの現場での取り組みが生殖補助医療の制度化につながるという事例は、日本でも参考になるのではないか。

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 【ワードBOX】生殖補助医療

 人工授精、体外受精(顕微授精や凍結胚を用いた治療を含む)、代理出産などにより妊娠を成立させる不妊治療法。日本産科婦人科学会によると、2015年には国内の医療機関で、体外受精により約5万1000人の新生児が生まれた。代理出産については、同学会は「実施は認められない」としており、件数は不明。

=2018/08/31付 西日本新聞朝刊=

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