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新聞記事に使われた語彙(ごい)を説明した新聞用語ひと口メモ。このページでは新聞に掲載されたワードBOXとその関連記事をピックアップして紹介します。

バイオセーフティーレベル(BSL)4施設

 世界保健機関(WHO)が病原体の危険度を4段階に分類したうち、最も危険な「レベル4」のウイルスや細菌を扱える施設。病原体が外部に漏れ出ることがないよう内部の気圧を低く保ち、二重のフィルターを通して排気しなければならないなど、機能面で厳しい要件が課せられる。長崎大の施設は震度7までの揺れを想定した免震構造を採用する。

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国策BSL4視界不良 長崎大の施設 28日着工 「病原体不安」訴え相次ぐ 研究力強化へ政府、稼働後押し

 西アフリカで大規模感染が発生したエボラ出血熱の原因ウイルスなど、危険度が高い病原体を扱うバイオセーフティーレベル(BSL)4施設の建設が、長崎大の坂本キャンパス(長崎市)で始まる。海外との人やモノの交流が広がり、侵入が懸念されるウイルス。解析やワクチン開発を担う国内2例目の施設となる見通しだが、ウイルス漏出への地元の不安は根強く、反対運動が続く。政府が「国策」として建設、稼働を後押しする中で、その行方は見えない。

 「住宅密集地に危険な実験施設はいらない」

 起工式があった26日、プラカードを手に反対派の住民55人が長崎大のキャンパス正門前で気勢を上げた。式典で河野茂学長は「さまざまな意見がある。謙虚に耳を傾けて、地域の理解をいただく取り組みを続けていく」とあいさつ。予定通り28日に着工し、2022年度の稼働を目指す。

 厚生労働省によると、BSL4施設は世界24カ国の59カ所で稼働、アジアでは中国や韓国にある。施設を設置、運営する長崎大は「病原体が漏れて感染したケースはない」と理解を求めるが、今月22日に長崎地裁に建設差し止めを求める仮処分を申し立てた住民男性(54)は「『事故が起きていない』と『安全である』は意味が異なる」と指摘する。

 ウイルスは危険度に応じて4段階に分類される。エボラ出血熱やラッサ熱など最も危険なランクを扱う施設には、最高度の漏出対策が必要。国内では唯一、東京都武蔵村山市の国立感染症研究所の施設がそれに当たる。

 だがここも、住民側との協議で「患者が発生した場合に限り、診断や治療に特化して稼働する」との条件があり、1981年に完成して以来、レベル4施設でしか扱えないランクのウイルスを扱った実績はない。2020年の東京五輪・パラリンピックを前に検査体制を強化したい国は昨年11月、エボラウイルスなど5種類のウイルスの持ち込みを住民に打診したが、反対が強く提案は宙に浮いたままだ。

 江戸期から海外に開かれた長崎は、海外からもたらされるコレラなどの被害を受けてきた経緯があり、研究の土壌がある。長崎大の熱帯医学研究所は戦前からマラリアの研究に力を入れ、現在は1段階下のレベル3施設として稼働している。

 こうした実績を踏まえて長崎大は感染症対策の研究力を強化する方針。国も大学側の取り組みを「国策」と位置付け、必要な支援を行うとしている。

 一方、反対住民でつくる市民団体は「住宅街にあるキャンパスでウイルスが漏れ出れば、生命や身体が危険にさらされる」などと主張。詳しい施設内容や病原体の種類、入手経路などの情報開示を求める訴訟も長崎地裁で続いている。28日の着工以降も、政府、厚労省、長崎大、地元住民の間でさまざまな問題が浮上しそうだ。

【ワードBOX】バイオセーフティーレベル(BSL)4施設

 世界保健機関(WHO)が病原体の危険度を4段階に分類したうち、最も危険な「レベル4」のウイルスや細菌を扱える施設。病原体が外部に漏れ出ることがないよう内部の気圧を低く保ち、二重のフィルターを通して排気しなければならないなど、機能面で厳しい要件が課せられる。長崎大の施設は震度7までの揺れを想定した免震構造を採用する。

=2019/01/27付 西日本新聞朝刊=

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