ワードBOX

新聞記事に使われた語彙(ごい)を説明した新聞用語ひと口メモ。このページでは新聞に掲載されたワードBOXとその関連記事をピックアップして紹介します。

火山噴火

 マグマ付近の熱で水蒸気圧が高まり灰や石を噴出するのが「水蒸気噴火」。より大規模なものとして、マグマ本体に直接地下水が触れて起こる「マグマ水蒸気噴火」、マグマそのものを噴出する「マグマ噴火」がある。阿蘇山では水蒸気噴火、マグマ水蒸気噴火が数年ごとに起こり、マグマ本体を噴水状に吹き上げる「ストロンボリ式噴火」などが10~20年周期で起こっている。

※ワードの説明及び記事の内容は更新日のものです。

関連記事

火山学者はあの時 熊本地震3年(中)ピンチ救った大学連携

 熊本地震の本震直後、中岳火口から上る黒煙(小規模噴火)を観測した京都大火山研究センター(南阿蘇村)の大倉敬宏教授は、危機感を募らせた。

 「地震が、阿蘇山のマグマにどんな影響を与えるのか。噴火リスクがあるのなら、一刻も早く知らせなければ」

 地震と噴火の関係は明らかではないが、20世紀最大規模の噴火とされる1991年のフィリピン・ピナツボ火山の噴火では、その前年にマグニチュード(M)7・8の大地震があった。富士山の宝永大噴火(1707年)の49日前には宝永大地震があった。

 活火山の阿蘇山では、10~20年周期でマグマ噴火を繰り返しており、2014年11月から中岳の活動は活発化していた。熊本地震前年の15年9月にも比較的大きな噴火があっただけに、大倉は「最悪のシナリオ」を心配した。

     ■□■

 16年4月16日の本震で施設が被災。地下のマグマの動きを探る地震・傾斜計などのデータの受信・分析ができなくなっていた。翌17日、観測機器を点検。一部の作動を確認できたが、受信不能が続けば、噴火予知の根拠となるデータは消滅してしまう危険があった。

 ピンチを救ってくれたのは京都大地球熱学研究施設(大分県別府市)。阿蘇の観測データを転送して一時保存してもらい、消滅を回避できた。別府市でも震度6弱が観測されたが、施設は無事だった。大倉たちはそのデータを大津町の仮施設に再転送してもらい、観測を続けた。

 観測態勢の復旧には、火山研がある全国6国立大の支援も大きかった。北海道大、東北大、東京大などの研究者たちが、地震後、いち早く交代で駆け付け、連絡調整や目配りに奔走してくれた。

 「あの頃、毎晩ミーティングをしていて、冷静な判断に何度助けられたことか」と大倉。1年後の17年4月、阿蘇市内の旧小学校舎に施設機能を移転させるまでの間、観測を支え続けてくれたのは、研究者たちの「共助」だった。

     ■□■

 そんな中、阿蘇中岳では熊本地震から半年後の16年10月、比較的大きな噴火があり緊迫した。噴煙は上空1万1千メートルにまで達した。

 阿蘇山のマグマは、地震波の計測などから中岳火口に近い草千里直下6キロ、半径1~2キロにあるとみられている。大倉らは地震後、マグマの動向を探るため、中岳火口を挟む2定点間の距離(7キロ)を計測していて、その年の夏ごろから、定点間の距離が約1センチ伸びる異変を観測していた。火山学者には大きな変化だった。

 一般的にはマグマの膨張を意味したが、地震に伴う断層のズレの可能性もあった。観測を続けた結果、マグマ本体の動きを示すものではなく、火山ガス膨張によるものと判明した。

 10月初め、火口直下の浅部で火山性地震が頻発し、マグマ水蒸気爆発が起きた。大量降灰が地震の被災地に追い打ちをかけたが、懸念された大規模な連動噴火には至らず、大倉らは胸をなで下ろした。

 「数千年に一度の大地震と連動噴火。そんなこと、あるはずないと思うでしょ。でも、阿蘇の地層年代を調べると、必ずしもそうとも言えないんですよ」

 大倉の話は続いた。 (敬称略)

   ×    ×

【ワードBOX】火山噴火

 マグマ付近の熱で水蒸気圧が高まり灰や石を噴出するのが「水蒸気噴火」。より大規模なものとして、マグマ本体に直接地下水が触れて起こる「マグマ水蒸気噴火」、マグマそのものを噴出する「マグマ噴火」がある。阿蘇山では水蒸気噴火、マグマ水蒸気噴火が数年ごとに起こり、マグマ本体を噴水状に吹き上げる「ストロンボリ式噴火」などが10~20年周期で起こっている。

=2019/04/12付 西日本新聞朝刊=

PR

PR

注目のテーマ