ワードBOX

新聞記事に使われた語彙(ごい)を説明した新聞用語ひと口メモ。このページでは新聞に掲載されたワードBOXとその関連記事をピックアップして紹介します。

言語聴覚士

 音声機能や言語機能、聴覚などに障害がある人に対し、訓練や指導などを行う国家資格。嚥下(えんげ)が難しい人にも対応する。年1回、試験があり、これまでの合格者数は3万2863人。日本言語聴覚士協会のホームページから、言語聴覚士がいる施設を検索できる。

※ワードの説明及び記事の内容は更新日のものです。

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役割を増す 「言語聴覚士」とは 「話す」「聞く」「食べる」「理解する」を訓練 福岡市でセミナー 

■認知症の進行を予防 難聴児の発達を支える

 がんで舌を切除したタレント、堀ちえみさんのリハビリを担当したことで知られる言語聴覚士(ST)。認知症の高齢者や脳卒中で失語症になった人、難聴児などの「話す」「聞く」「理解する」機能を訓練し、ものをのみ込む嚥下(えんげ)の回復にも関わる。今後どんな役割が求められるのか。福岡市で7日、開かれた「言語聴覚セミナー」(福岡国際医療福祉大など主催)で、意見が交わされた。

 まず登壇した国際医療福祉大大学院の藤田郁代教授は、STが認知症の人に果たす役割の大きさを強調した。相手の言葉の真意を読み取る「通訳」の立場で、リハビリに当たるという。

 国の調査によると、2012年に認知症の高齢者は462万人。高齢者の7人に1人の割合で、25年には5人に1人となる推計がある。藤田教授はこれに加え、認知症の一歩手前で言葉や記憶、人や物を見分ける能力が低下する「軽度認知障害」の人が400万人いると説明した。認知症症状がある人は計800万~900万人に上るという考えを示す。

 その上で、軽度認知障害に早く対応すれば、年間16~41%は健常な状態に戻るという調査結果を紹介。言葉が出にくいなどの言語障害が生じる「原発性進行性失語」から認知症に移行することも多く、「STの仕事の第一歩は早期発見、早期対応。言葉に障害が出る状態で原発性進行性失語を発見する率はまだ低い。早く気付き、進行を遅らせることが重要」と語った。

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 藤田教授はリハビリの具体的な内容も紹介した。

 コミュニケーションのリハビリは言葉だけでなく、記憶や思考、計画して実行することを指す「認知」も対象になる。メモ帳や携帯電話に大切なことを記録したり、簡単なテレビゲームをしたりして認知機能を刺激する方法を挙げた。

 認知機能は音が聞こえづらくても低下する恐れがあるとし、補聴器の活用や話し掛け方の工夫、雑音が少ない環境をつくることも挙げた。嚥下障害への対応、食事の指導も仕事だ。

 藤田教授は、STが医師や看護師、介護職員などのチームの一員となり、認知症の人に対応するよう提言。「認知症や失語症、聴覚障害の人に最も良い言語治療や支援を研究し、開発するのが任務」と強調した。

 これに続いて、同大大学院の城間将江教授は、難聴の幼児にSTが実施するリハビリを紹介した。遊びを通して聴覚や言語の発達を促すという。

 実際の事例として、城間教授などがリハビリに当たった幼児の動画を流した。難聴のため2歳半で人工内耳を付けたという。

 電車ごっこや絵本の読み聞かせのほか、「卵はどうやって割るの?」などの質問に答えてもらう対話。「猿が木に登る」など、スピーカーの音声を復唱してもらう訓練。これらを通して、幼児が徐々に言葉を発するようになる様子が映し出された。

 「聞くことと話すことは表裏一体。乳幼児期にしっかり聞き、見て、言語能力の基礎を育てることが大事で、STはコミュニケーションの懸け橋になる必要がある」と説明した。

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 最後に登壇したのは、発達障害に詳しい久留米大の山下裕史朗・主任教授。言葉を話すことに遅れがあり、理解することも難しい幼児への対応を取り上げた。

 まず紹介したのは、通常学級に通う児童生徒の6・5%に発達障害の可能性があるとした国の12年の調査結果。言語の発達の遅れや知的障害、自閉スペクトラム症などの子どもについて、「STが小児科医のパートナーとして向き合う必要がある」と強調した。

 言語の発達に遅れがある離島の児童を診療した事例では、STが介入して気持ちを言葉にする訓練をしたほか、医師や看護師と情報を共有し、役割分担したことを挙げた。STが学校と家庭をつなぐ役割も果たしたという。本人も回復に向かったといい、山下主任教授は「全国の小児リハビリの現場では、STの数がまだ少ない。サポートが必要なのに受けていない子も多いはず。全国どこでも同じような支援を受けられる体制をつくるべきだ」と提言した。

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 【ワードBOX】言語聴覚士

 音声機能や言語機能、聴覚などに障害がある人に対し、訓練や指導などを行う国家資格。嚥下(えんげ)が難しい人にも対応する。年1回、試験があり、これまでの合格者数は3万2863人。日本言語聴覚士協会のホームページから、言語聴覚士がいる施設を検索できる。

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